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船橋市西図書館の蔵書廃棄問題に関するアピール

 船橋市西図書館が「新しい歴史教科書をつくる会」の会員らの著書107冊を、昨年8月に廃棄していたと報道されました。その後、船橋市教育委員会及び日本図書館協会の調査により、西図書館の司書がこの蔵書廃棄を行ったことが明らかになりました。
 当該職員は、思想的意図や外部からの圧力はないとしています。しかし、この廃棄処分は「図書館の自由に関する宣言」が「多様な対立する意見のある問題については、それぞれの観点に立つ資料を幅広く収集」し、「正当な理由がない限り、ある種の資料を特別扱いしたり・・・廃棄したりはしない」と述べて示している寛容と多様性の原理を、図書館の担い手である図書館員自らが踏みにじるものです。
 私たちは、「図書館の自由に関する宣言」で表明した図書館の社会的責任を自覚し、「社会の期待と利用者の要求をよりどころとして職務を遂行する」ことを表明する「図書館員の倫理綱領」を支持しています(1980年、全国図書館大会決議)。
 しかしながら、今回の廃棄問題は、図書館員が社会との緊張の中で不断に努力することを怠るとき、この倫理綱領は、図書館員自らによってとり崩されることを示しています。
 私たちは、図書館と図書館員に対する信頼を失墜させた、船橋市図書館と当該職員が責任を自覚することを求めます。同時にこの問題を図書館員一人一人が自らの問題として受け止め、図書館の自由と図書館員の倫理を踏まえた図書館サービスを実践することで信頼の回復に努め、国民の知る自由を支える図書館員の使命を担っていく決意を表明します。

2002年7月9日

図書館問題研究会第49回全国大会