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駒ヶ根市立図書館の財団委託の再考を求めます

図書館問題研究会

委員長 川越峰子

 私たち図書館問題研究会は、住民のくらしやしごとに役立つ図書館の発展を願う個人加入の団体です。このたび、駒ヶ根市立図書館の財団委託の構想を聞き、大変、危惧を覚えるものです。図書館サービスの発展のために、委託構想の再考を求めます。

1 財団委託の問題点

(1)公共図書館は「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」に位置づけられているように学校と同様の「教育機関」です。教育機関は行政が責任を持って運営すべきものであり、委託にはなじみません。著作権法第31条も図書館法に基づく図書館について、図書館資料の一部について複写を認めるなど、教育機関としての公共性を前提としています。図書館は直接利用した人だけに役立つ施設ではありません。図書館資料を通じて得た知識によって行われる市民の活動の成果は市民全体に還元されるものです。図書館は大変公共性の高い教育機関です。

(2)図書館法は公立図書館に専門職としての司書を配置することを求めています。専門職としての司書は、資格取得のための学習とともに経験の蓄積により、より良いサービスを提供することができます。司書が経験を蓄積し、図書館サービスを発展させるためには、自立して生活できる保障があり、公務に携わる責任の明確な正規・常勤の公務員として採用されていることが必要です。財団運営の図書館では、このような専門職制度を運用することができず、長期的な図書館サービスの発展が望めません。

(3)委託先として考えられている財団は市が全額出資しているものであり、民間活力の活用にはなりません。財団で運営した方がコスト面でメリットがあるのは、単に財団で雇用する非常勤職員の方が報酬が安くすむからです。図書館サービスはその質や量から言って、本来、労働単価の安いものではありません。財団で図書館運営をした場合、単なる安上がりだけのものになってしまう可能性があり、図書館サービスの発展を望むことができません。

2 図書館のサービス向上へ向けて

 駒ヶ根市の図書館は、現状でも、日本の図書館の中では比較的サービスの水準の高い部類です。また、インターネットを市民が自由に利用できるようにコーナーを設けたり、0才児から本に親しむ「ブックスタート」事業に取り組むなど先進的な試みもなされており、図書館の努力に敬意を表します。このようなサービスの質的な向上が図書館にとっては最も大切です。

 今後もこのようなサービスを維持・発展できるように、ぜひ、司書を正規職員とすることを検討してください。そして、資料案内やレファレンス・サービスの充実を図ってください。学校の総合的な学習や、市民が生活や仕事の上で必要な調べものの支援ができることが必要です。また、図書館利用に障害のある人へのサービスに取り組んでください。  駒ヶ根市の図書館サービスの発展に大きな期待をいたします。

2001年12月13日