「子どもの読書活動の推進に関する法律案」に対する緊急共同アピール
子どもの読書活動推進は、
まず子どもの読書環境を豊かにする基盤整備から!
私たちは、子どもたちや市民の知る権利を保障し、豊かな図書館活動を創り出すために、日々研究と実践を続けている図書館の研究団体です。とりわけ学校図書館については、小・中学校の段階から日常的に本と親しみ、図書館を利用してわからないことや知りたいことを探求し、生涯にわたる学習の基本となる力を育てる場として、その充実を願ってきました。また、昨年の「子ども読書年」に際しても、子どもと読書に関わる立場から、いろいろな取り組みをしてきました。
そうしたとき、「子どもの読書活動の推進に関する法律案」が準備され国会に上程されようとしていると聞き、また実際に法律案を見るなかで、いくつかの疑問と子どもたちの自由で豊かな読書活動に対する不安を感じています。
読書は、本来個人の自発的意志による自由な活動であり、その機会は子どもも大人も等しく保障されなければなりません。また、図書館サービスの充実など読書環境の整備によって、読書は推進されるべきものと考えます。読書推進の内容が「思想善導的」なものになることを危惧します。子どもの自主的な選択を保障し、強制的、競争的ではないものを基本理念とすることを求めます。
真に心豊かで創造性あふれる子どもたちの育成を願うならば、学校図書館や公共図書館を子どもたちにとって親しみやすく楽しい場所として充実させ、図書費を増やし、資料に詳しい「専任・専門・正規」の図書館職員を配置するなど、子どもたちをとりまく読書環境を豊かにすることこそが、早急に取り組まれなければならないことです。国や地方公共団体の「責務」について言及するのであれば、こういった子どもの読書活動を豊かにするための基盤整備にこそ目を向けるべきだと思います。
私たちは以上の理由から、今国会に上程されようとしている「子どもの読書活動の推進に関する法律案」に対して危惧を表明するとともに、子どもたちをとりまく読書環境を豊かにするための具体的な施策を求めるものです。
2001年10月28日
呼びかけ団体 学校図書館問題研究会
賛同団体 大学図書館問題研究
図書館問題研究会