「公共図書館職務区分表2003年版」職員問題委員会報告にあたって
職員問題委員会では、1998年第45回大会を受けて、図書館職員の専門性を明確にする取り組みの一つとして公共図書館職務区分表の検討を進めてきました。
委員会、大会分科会などでの検討を経て、「公共図書館職務区分表2003年版」を報告いたします。
各委員の業務多忙、あるいは、項目の構成・整理をどうするかの苦慮などにより、当初の予定より長引いてしまいました。そのため、図書館のサービス、図書館を巡る状況も変わるなか、それを反映させるよう努めました。2003年版として報告しますが、その日々の見直しが求められます。また、新館準備など当初、検討を予定しながら、今、報告にはもりこめない項目がありました。
現委員会は、これで解散しますが、これを基に、あるいは、別の視点からの検討がされることを歓迎し、期待いたします。
最後に、失礼ながら、お名前はあげませんが、ご助力、激励いただいた方、検討にあたり、各分野についてのご助言を頂いたかたがたに、あつくお礼を申し上げます。
先行事例の取り組み、その紹介の労をとられた諸先輩への敬意を表します。
さらに、参考文献としての活用とその項目を『図書館評論』39号に掲載をお許しいただいた、かたがたにもあつくお礼を申し上げます。
公共図書館職務区分表2003年版
総則
目的
この表は、図書館業務を分析し、その専門的職務を明確にすることを目的に作成する。
司書職制度を確立するには、社会一般に、司書職の専門性を明らかにし、社会的評価に堪えるものでなければならない。
図書館業務を列挙し、各図書館での運営・業務改善の参考とするとともに、司書自身の専門性の向上に資するものとする。
対象
図書館員の職務を以下の四区分とし、それぞれ「1」「2」「3」「4」と区分欄に記した。
1 司書が直接行うべき職務
2 一定の研修受けた職員がマニュアルに基づき、司書の立会いの下、直接指示を受けられる状態で行う職務
3 一定の研修を受けた職員が、規則、マニュアルに基づき行う職務
4 その他の範囲
「司書が直接行うべき職務」とは、図書館員としての一定の実務経験の上で、@その分野について、専門的知識を必要とする職務、A網羅的な知識を必要とする職務、B高い実務能力を必要とする職務、C高度な技能を必要とする職務、D経営能力を必要とする職務である。
表の見方
この区分表は、図書館に専門的職員が配置され、業務も一定水準の実質を伴って遂行されている場合を前提に作成した。
業務を分析し、それを構成する職務に細分し、その専門性を評価したものである。業務量等から、ある業務を一人で行なう場合、その業務が異なるレベルの職務にまたがることもある。その場合は、より高いレベルの職員により行なわれるべきである。レベルが異なれば、それぞれのレベルの職員によってのみ、行なうべきものではない。
小規模の業務量の図書館では、司書によりおこなう範囲が広いこととなる。
検討経過
公共図書館の業務を基に、後掲の先行事例・文献等を参考に作成した。
職員問題委員会で原案を作成し、以下の会議に提起し、さらに職員問題委員会で検討を重ねてきた。
・1998年度第3回全国委員会(1999年3月7、8日)に提示。
・第46回全国大会(1999年7月4〜6日)第2分科会で検討
・1999年度第2回全国委員会(1999年9月12、13日)で論議
・『みんなの図書館』2000年3月号に目次一覧、総則、奉仕的項目の12月現在案を掲載
・研究集会(2000年2月27、28日 関西地区)
・討論集会(2000年3月13日 関東地区)
・第47回全国大会(2000年7月9〜11日)全体会・第2分科会で検討
・第48回全国大会(2001年7月8〜10日)全体会・第2分科会で検討
先行事例、参考文献
1 アメリカ図書館協会「職務区分表」(1948年)大庭一郎「「司書および司書補の職務内容」−日本の公共図書館における専門的職務と非専門的職務の分離の試み」『図書館学会年報』(44)3:1998.12,p.118−121の表4
2 「司書および司書補の職務内容」(昭和25年9月文社施第370号文部次官通牒)
3 イギリス図書館協会編(岡田温、小田泰正訳)「図書館における専門的日専門的職責(1962年)」『現代の図書館』(1)3:1963.9,−(3)3:1965.9に連載
4 全国国立大学図書館長会議編『大学図書館の業務分析』日本図書館協会 1968,p.209
5 [川崎市]社会教育会議(図書館研究)編『川崎市立図書館サービスの課題と展望』1996,p.41の「図書館職員意識調査」
6 岩淵泰郎、常盤繁「図書館職員の専門職性についての意識に関する研究」『東洋大学社会学研究所・研究報告集第9集』1990,p.138
7 日本図書館協会専門性の確立と強化を目指す研修事業検討ワーキンググループ編「公共図書館の業務分析」『研修事業についての意見交換会資料』1999,p.42
8 日本図書館協会専門性の確立と強化を目指す研修事業検討ワーキンググループ(第2次)報告書2000・3
日本図書館協会ホームページ研修委員会http://wwwsoc.nii.ac.jp/jla/kenshu/kenshuwg/index.html
上記 1−5は『図書館評論』図書館問題研究会(39):1999.3に「項目」を掲載
職員問題委員会(現職)
委員長 常世田良(浦安市立中央図書館)
事務局長 鬼倉正敏(日野市立中央図書館)
委員
川越峰子(横浜市中央図書館)
塩野幸枝(和光市勤労青少年ホーム)[中期より]
高橋優子(さいたま市立南浦和図書館)[中期より]
林千賀(横浜市西区役所)[中期まで]
中野陽子(鎌倉市中央図書館)[中期より]
西村彩枝子(江東区立江東図書館)
前村安範(練馬区立光が丘図書館)[中期より]
松本芳樹(上福岡市民図書館)[初期まで]
三村敦美(座間市立図書館)[中期まで]
公共図書館職務区分表2003年版(CSV)
公共図書館職務区分表2003年版総括的業務(エクセル)
公共図書館職務区分表2003年版奉仕的業務(エクセル)
公共図書館職務区分表2003年版資料組織化(エクセル)
以下は普通のブラウザで開けますが、若干時間がかかる場合があります。
公共図書館職務区分表2003年版総括的業務(html)
公共図書館職務区分表2003年版奉仕的業務(html)
公共図書館職務区分表2003年版資料組織化(html)