イラク派兵法に反対するアピール
昨年の図書館問題研究会全国大会で、私たちは有事関連三法案に反対するアピールを採択しました。
この法案によれば、政府により一旦「武力攻撃事態」と判断されれば、その瞬間に国民が総動員されることになります。有事下のマスメディアは政府の管理下
に置かれ、国民は「武力攻撃事態」を判断するための情報を受けることのないまま、意見を表明する暇もなく戦争に巻き込まれかねません。
しかし、その後、今年3月には平和を求める世界の世論に反して、米・英軍によるイラク戦争が起こされ、自衛隊は米軍の後方支援を行いました。有事法制は
今年6月、国民の反対を押し切って成立しました。そして現在は、混乱の続くイラクに武装した自衛隊を派遣する「イラク復興支援特別措置法案」(以下、イラ
ク派兵法案)が国会で審議され、すでに7月4日に法案は衆院を通過しました。この法案が成立すれば戦後初めて、武装した自衛隊が外国の戦闘地域に派兵され
ることになります。
テロ報復戦争、イラク戦争と相次いで戦争をしているアメリカでは、一昨年の同時多発テロの直後、テロとの戦いという大義名分のもとで、パトリオット法
(愛国者法)が連邦議会で可決され、プライバシーはじめ人権が制限されています。政府・FBIが裁判なしで疑わしい人物を無制限に拘束したり、所有物や書
類を捜索・押収し、図書館に貸出記録やインターネット利用記録の提出を命じることが日常化していると報じられています。
このような事態が戦争と同時に進行していることは、今や他人事ではありません。
図書館は、平和で民主的な社会の下で発達するものです。国民の知る自由が保障され、多様性が尊重されることが民主的な社会の基礎です。民主主義のための
図書館を求める私たちは、有事法制の発動に反対するとともに、「イラク派兵法案」の廃案を求めます。
2003.7.8
図書館問題研究会第50回全国大会
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