2008年11月14日
堺市立中央図書館長
河野俊英 様
図書館問題研究会
委員長 中沢孝之
「BL図書」の利用制限措置について(要請)
貴館が所蔵する「BL図書」の利用制限措置(今後は、収集および保存、青少年への提供を行わない)を見直し、原状に復するよう要請します。
理由は以下の通りです。
貴館では、市民の申出により、所蔵する「BL図書」をすべて書庫に入れ、「今後は、収集および保存、青少年への提供を行わない」とする方針を打ち出され
ました(堺市ウェブページ「市民の声」7月30日受付 Q&Aより)。
貴館が取った措置は、特定資料の排除、収集方針の変更、特定利用者層への提供拒否など、資料の収集、保存、提供という図書館の基本的任務に反するもので
す。また、該当資料は5,499冊にのぼり、資料の提供制限の規模としても前代未聞のものです。このような重大な措置にも関わらず、その明確な理由や資料
の排除基準は未だに明らかにされていません。
今回の措置は、一市民の投書に対する過剰反応であり、外部の圧力に屈した結果であると受け取らざるを得ません。貴館は「図書館の自由に関する宣言」に基
いて「BL図書の処分」を要求した市民に対し説明を尽くし、理解を求めるべきでした。
利用者の多様なニーズに対応するため、図書館が提供する資料にも多様性が求められます。図書館の特定の資料はある利用者にとっては不快かもしれません
が、そのことを理由にその資料を排除することは許されません。今回の措置は、あらゆる資料要求にこたえ、すべての図書館資料を国民の自由な利用に供するこ
とを謳った「図書館の自由に関する宣言」に反するものであり、容認できるものではありません。
また、図書館(員)は青少年の親でもなければ、道徳の教師でもありません。有害図書でもない資料に対する提供制限は、青少年の知的自由と図書館資料へア
クセスする権利を侵害するものです。
10月8日付けで質問状を提出させていただきましたが、回答期限が過ぎた現在も回答をいただいておりません。本来ならば回答を踏まえて要請すべきとこ
ろ、事態の重大性に鑑み、要請いたします。早急に質問状の回答を寄せていただくよう重ねてお願いいたします。