「改 憲手続法」「共謀罪」の廃案を求める決議

 先の国会に提案されていた「改憲手続法」は採決に至らず、継続審議となったが、今秋に開かれる臨時国会において、成立する可能性を残している。

 「改憲手続法」案は、次のように特徴付けられる。
 第1に、国会が発議する改憲案の国民投票における「過半数の賛成」基準を、有権者の過半数でも、投票総数の過半数でもなく、有効投票数の過半数として、 「過半数」のハードルを低く設定していること。
 第2に、国民投票の期間中は、マスコミの報道活動が制限され、公務員や一般市民の自由意志に基づく意見表明をする活動が制限されるという、「自由抑制」 の法案であること。
 第3に、昨年発表された自民党の「新憲法草案」(自衛軍の保持・基本的人権の制限・軍事裁判所の設置などを明記)を念頭に、その実現のための手続法であ ること。

 この「改憲手続法」と並行して、国会に上程されていた「共謀罪」法案もまた継続審議となっているが、これは、懲役刑以上の刑事犯罪すべてについて、その 犯行や準備行為のみならず、犯罪にかかわると判断されたことを話しただけでも、罪に問われることになるというものである。まさに、市民が自由にものを言 え、論議し、判断するという民主主義の原則を否定し、自由を抑圧することを目的にしたものといえよう。

 現実に、これらの法律が準備され、その成立が謀られているなかで、意見を表明するためのビラまきという行為に対し、そのことを理由として、逮捕・拘留さ れ起訴されるという暴挙が相次いで行われている。
 立川ビラまき事件(建造物侵入・一審無罪・二審有罪)、堀越事件(国家公務員法違反・一審有罪)、世田谷事件(国家公務員法違反)などである。堀越事件 の公判においては、警察が被告人を逮捕するために、数か月にわたって尾行を続けていたという事実が明らかになっている。
 市民が監視され、時の政府の方針に疑問を呈したり、批判的な言説は、普通なら犯罪に問われないようなことまで事件化され弾圧されている。まさしく、自由 な言論が抑圧される事態が、この国では確実に進行している。

 自由な言論、自由な表現活動がなければ、民主主義社会は存在しえない。知的権利(知る自由)が侵されてはならない。
 私たち図書館問題研究会第53回全国大会に参加した、図書館利用者・市民および図書館員は、「改憲手続法」と「共謀罪」に強く反対し、これら法案の廃案 を求めるものである。
 右決議する。

2006年7月11日
図書館問題研究会第53回全国大会

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