神奈川県の団地のドコモ携帯電話基地局設置工事が、中止に至った経緯についてご報告させていただきます。
私が工事の案内に気が付いたのは、平成22年8月に、団地エントランスの掲示板に、A4の紙に工事予定が1ヵ月ほど延期になったという内容を見たときでした。工事が延期にならなければ気付かず、団地内の反対運動も発生しなかったと思います。
その案内を見て、会社の同僚に、携帯電話用のアンテナが建物の屋上に建てる計画があることを、雑談として話しました。その同僚が言うには、アンテナ近くで生活すると、弱い電子レンジの電磁波を四六時中あびることになるということでした。この例えが正しいかどうかは別として、直感的に体には良くないものだと感じました。その会話を境に、携帯電話用アンテナ、電磁波についての勉強を始めました。しかしながら、勉強しても専門的なことは十分には理解できなかったことも事実です。ただし、携帯電話会社や工事の施工業者は、自社の売り上げや利益のこと以外は考えていないことは、良く分かりました。
一人ではどのように対応したら良いか分からないため、知人から、市民運動家の大久保先生のことを教えてもらい、大久保先生に相談しながら、反対運動を進めることとしました。団地住民の戸別訪問を始めると、ほとんどの方がアンテナ設置には反対であること、そして、電磁波過敏症の方も住まわれていることが分かりました。その電磁波過敏症の方は、団地に引越して来る前は詳しくは伺っていませんが、電磁波の影響が強いところに住まわれていたとのことで、団地に来てからは体調が良くなったそうです。さらには、もしアンテナを設置するのであれば、ここの団地から出て行くという方もいました。
ドコモ及び施工業者は工事説明会を開くこともなく、住民に対しては結果として団地エントランスのA4の紙1枚で、工事を始めてしまうという姿勢でした。多数の住民は、その掲示に気が付かなかったのです。ドコモ及び施工業者は、法を犯していないということは確かなことかと思いますが、このような進め方が誠意あるものと考えられますでしょうか。自社の都合ばかりで、住民への誠意ある配慮は感じられず、憤りを感じました。私は大久保先生のアドバイスに従い、団地住民へのちらし配り、大久保先生の電磁波についての勉強会の開催、住民の反対署名集めとその署名のUR都市機構及びドコモへの提出、ドコモ及び施工業者による工事説明会の開催などを、団地自治会の協力を得ながら進めました。幸せな生活というものは、住民一人ひとりが大切にされるということから始まると思います。今までも、そしてこれからも、公害は発生していくと思います。住民一人ひとりが危険なものへの感度を高め、適切な対応をし続けることが重要と思います。
最後に、適切なアドバイスをしてくださった、大久保先生には厚く御礼申し上げます。そして、私と同じように、こういった反対運動が初めての方であっても、住民の安全な生活、住民一人ひとりを大事にするという考えをしっかり持ち、適切な指導者がいれば、目的が達成できることと思います。頑張ってください。
[寄稿一覧に戻る]