UQコミニュケーションズのモバイル基地局の建設を阻止

団地内の住宅密集地に電波塔

2011年5月16日 「無線設備計画のお知らせ」なる簡単なプリントを、UQコミニュケーションズ株式会社(以下「UQ社」と略す)が相模原市郊外の住宅団地内建設予定地周辺(30m以内)の住宅数軒に配布。物件はモバイルWiMAX基地局(14.5m)、施主:UQ社、施工:鰍jDDIテクニカルエンジニアリングサービス。(注)現場は不在地主の土地で、団地が住民の駐車場として借上げ、駐車料金の集金や草刈などの管理を行っている。
2011年5月21日 近隣対応完了として社内合意を取り付け

2011年6月3日 UQ社と地主との間で契約締結。この時期、道路向かいのI氏が倒壊や環境保護等について抗議。

電波塔設置についての説明会の開催

2011年6月14日 説明会もなく、一方的に事が運ばれる状況を危惧したが、自治会長と相談、UQ社に説明会の開催を要求。

2011年6月27日 近隣の住民30名で、基地局の電磁波問題について勉強会開催。電磁波及び基地局による被害の実態を知り、地域住民に緊張が走る。

2011年6月29日 UQ社と第1回目の話し合い。UQ社及び施工のKDDI側5名出席。地域住民出席30名。UQ社のWiMAXについての説明の後、質疑応答。地域住民側より、設置反対の声明書並びに地域80名の署名簿を手渡す。

2011年7月26日 夫妻が地主を訪問し、電波塔の危険なことを話す。UQ社の説明では、基地局の設置は地域住民にとって非常時にためになりますと言われ、いつも世話になっている地域の人のためになるならばと契約した。しかし、今事情を地域の人から聞いて当惑している。地域の総意が反対であれば別に土地を貸す必要は無いとの意向を得た。

2011年8月4日 UQ社の建設1部長名文書で、工事は中止せず9月12日〜16日に行うと通告。

UQ社に対する態勢の強化

2011年8月7日 理事会において、団地自治会として阻止行動を行うことの承認を得る。

2011年8月20日 UQ社野坂社長宛てに、工事を中止するよう内容証明文書を送付。

2011年8月21日 相模原市議会N副議長と会合。現況の説明と市への請願等の打ち合わせ。

2011年8月26日 UQ社と第2回目の会合。県や相模原市に陳情する策もあるが、この際事を荒立てずに、この団地側のことだけにして、穏便に収めたいと説得する。

2011年9月5日 相模原市都市計画まちづくり支援課を訪問、市条例等について話し合い。

2011年9月17日 神奈川県議会議員来所。現地視察後現況説明と対策の打ち合わせ。

2011年9月27日 UQ社と第3回目の会合。冒頭、UQ社より工事は予定通り続行との通告あり。これに対し、団地側より住民が危惧する事項について文書で回答せよと要求。

2011年9月28日 県議会議員がUQ社訪問。住宅地の真中に基地局を設置せねよう要望。

モバイルWiMAX基地局建設の終焉

2011年10月27日 UQ社建設1部長より、当該無線設備の設置を中止すると文書で通知があり、降って湧いたように住宅団地を騒がせた当事件の終結をみた。

<解説>

  1. UQ社は電波法と建築基準法等各腫法令ならびに各自治体の条例に基づく手続きを遵守しており、地主との賃貸契約も終えている。つまり、わが方になんらの手落ちもないと終始強気の論法だった。
  2. これに対し、当方は法律論争を避け、このように危険なものをなぜ住宅地の真中に建てるのか、公共事業というからには近隣の公の土地を使えばよいのではないかとの粘り強い説得に穏やかながら徹した。
     なお、そのような工事許可証があれば、地主との契約書を含めてこの席上に持参せよと要求した。しかし、UQ社側は言を左右にして、一切の書類を出さなかった。
  3. 最初の説明会では、UQ社側は、付近住民はせいぜい5〜6名が参加する程度のつもりで安易な考えで来たと思われるが、地域住民は30名が出席し、勉強会で得た知識を基に、厳しい質問が出された上に、基地局設置反対の声明書並びに近隣住民80名の署名簿を渡され、これは説明会ではなく反対闘争ではないかと戸惑っていた。
  4. 勉強会の資料は、電磁波問題市民研究会がネット上に載せていた文章を、20数ページにまとめて、各自に配布した。
  5. UQ社にすっかり騙されていた地主は、当初は電話も受け付けないように言われていた様子であったが、当事者夫妻の熱心な説得が功を奏し、最終的には、地主が(自らの意志で契約を撤回されたので工事は中止すると、UQ社の文書に書かれている。
  6. 当初は近隣地域だけで解決しようとしたが、相手が折れないので、自治会の理事会に掛けて自治会としての支援を得、さらに市議会や県議会への働きかけ、基地局設置を阻止する条例の実現化を図るべく段取りを進めた。
  7. 工事に先立って、まず先に地主を取り込むのは事業者の常套手段であるが、問題の土地は不在地主の所有で、草刈りなど土地の管理の他に駐車場としての使用料などを得て、地域住民に感謝している地主の心理につけ込み、UQ社側は、基地局の設置は地域住民の人たちに非常にためになると言葉巧みに近づき、それに惑わされた地主がやむなく契約に至っており、その後はすべて、オーナー様に意向と社内の部署を説得し、工事の進捗を画策している。
  8. 予定地の隣地も不在地主であるが、工事については了承済みとUQ社側は説明したので、確認に伺うと地主は絶対反対と断ったはずだと、その場でUQ社の担当者に電話を入れ、文書での回答を迫っている。その場限りの言動は、説明会においてもたびたび見受けられ、そこを厳しく衝かれて、担当者も言い訳が出来なくなってきた。
  9. 第3回目の話し合いで、UQ社側の工事続行通告に対し、自治会側より、どうしても工事を行うというのであれば、人体への影響、倒壊落雷等への被害、TV等への影響、ストレス、景観、地価の下落などについての見解及び対策を文書で回答せよと要求したが、相手にとってはできない相談で、最後まで回答はなされなかった。
  10. 県会議員が積極的に先方へ出かけ、住宅地の中ではなく周囲の山林など公の土地を探したらどうかと話した結果、UQ社の担当者が計測機器を持って付近の公共用地を歩く姿が見られている。また、市の当局には、供与できる土地がないかと問い合わせがあったようである。

<総括>

今回の事件解決の鍵はいろいろ考えられるが、下記のような事柄が事件の早期終結に功を奏したのはなかろうか。
  1. 現場直前に住む夫妻の危機感といち早い行動力。
  2. 地域住民の協力と団結。
  3. インターネットによる情報の収集。
  4. 相手の出方を予測し、常に先手を打った行動。
  5. 県議会や市議会の議員による素早い対応を行った行動力。
  6. 中心として動いた当事者夫妻、自治会長、前自治会長などの人脈、話し合い、文書作成など、それぞれの経験と持ち味を生かした動き。
 最後に、今回種々の資料を提供され、また指導を賜った電磁波問題市民研究会には、あらためて感謝の念を捧げる次第です。


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