以上が経緯です。こういった問題でよく言われるように、企業側の強硬な姿勢にたいへん怒りを覚えましたが、その事よりも、マンションの管理組合や理事会が、民主的に運営されていないこと(発言のマナーなどは小学生以下です)、管理会社が「善良なる管理の義務」を果たそうとしない事、また多くの人が自分の目や耳で確かめもせずに、●●や管理会社の言う事を鵜呑みにしていることや、調査やアンケート結果報告などの義務を果たさずに権限を平然と振りかざし、個人の思想や言論の自由を平気で侵害する人が存在することに驚きました。
また、もうひとつショックだったのは、アンテナ設置予定場所に比較的近い同じマンション住民に「(重量などの面で)直接影響がないあなたが、どうしてそんなに一生懸命反対するのか?」と問われた事です。同じマンションに住む住民として、一部の人が困ったり不安に思うのを承知の上で、お金が入ってくるからというだけの理由で、自分勝手に賛成するような事は私には出来ません。しかし、そういう考え方をする事が不思議に見えてしまうなんて、他の人を思い遣る気持を持つ事が珍しくなってしまったのか・・・と、とてもやりきれない気持になりました。
また、反対とか賛成とかの前に、話し合いをしたいと思っていましたが、賛成派の人は堂々と賛成意見を述べる事はなく、反対する私達への的外れな批判に終始したように思います。
私自身も、基地局が自分のマンションに建たないかわりに、どこか他に建つということや、自分が使っている携帯電話への電波もどこかの建物の上から発信されているのも事実で、自分も被害者であるだけではなく加害者でもあると自覚しました。だからこそこうやって声をあげる事で、企業が安全な技術を生み出すため、また国がもっと国民の健康や安全を考えるため、自分ができる小さな一歩を積み重ねていかねばと思いました。
マンション全体の経過とは別に、個人的に●●の社長宛に内容証明付き郵便で「●●は安全というが、信用できない。もし基地局からの電波で身体的な被害を被ったと判断された場合に、住民1人につき1億円以上の賠償と、全国の住宅地のアンテナをすみやかに撤去する事を社長の名で保証して欲しい。」という要望書を送りました。これに対して●●からの解答がないため、担当者に電話で問い合わせ、「あなたたちが言うように安全ならば、賠償などという事も起こらないはずなので、この保証書を書く事はできるはずですよね。私達も安心したいので、ぜひ書いてほしい。」と伝えたが、「こういったものは社長印では出せない。」「何かの団体(電磁派研のこと?)が一枚かんでいるのだろう。」「我々は国の基準を守っているんだから、どんなデータ(文部科学省の調査結果や、WHOやヨ−ロッパでの動きなど)を並べられても、全然相手にしていない。」などの答えが返ってきました。しかし、(●●側は認めないでしょうが)この要望書は効果があったと思います。
また今回の場合、採決の日程が知らされてから危機感を感じて、荻野晃也さんの著作や電磁波研が発行した本を読み行動を起こしましたが、もっと早く、第一回の説明会の前からいろいろな情報を持っていればよかったと後悔しています。●●の配る資料には、おかしなところがけっこうありますが、よく勉強しておけば、その部分に気づいて、反論する事が出来ます。例えば●●は「携帯電話の電波は高周波だから安全」と何回となくいいますが、変調技術が使われているので低周波も混ざっているのが事実だし、基地局を動かす電力が低周波であることにはまったく触れません。また基地局の電力量を47000Wと書かずに47KWと、嘘ではないけれどまるでわざと小さく見せるような表記をしています(47000Wは日常的に使う家電製品などではありえない数値です)。アンテナの出力も本当は96Wなのに60Wと書いてあり、それも最大出力ではないようです。
もうひとつ●●は「国の基準よりはるかに小さい値だ」ということを何度も主張しますが、日本の基準値は非熱作用が考慮されていないことは、もちろん言いません。彼らは聞かないと本当の事は言わないし、都合の悪いことは存在すら認めません。また設計図に光ファイバーの文字があるので、各戸に光ケーブルがひかれるのだと勘違いして賛成の理由にしていた住民もいましたが、●●は携帯会社なのでその光ファイバーはブロードバンドとは関係がなく、基地局設置でインターネットの接続環境がよくなったり、料金などが安くなるような事はありません。
とにかく、よく勉強しておくことが肝心だと思います。実際にアンテナが建っているマンションの写真などを用意するのもインパクトがあります。
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