マイクロウェ-ブ・ニュ-ス2001年1/2月号より
(抄訳 TOKAI)
☆ペ−ブポ−ズ・レ−ダ−とは
ボストンの東方にあるコッド岬に1980年から稼働している「ペ−ブポ−ズ・レ−ダ−」は、主に潜水艦から発射されるミサイルを探知する目的のレ−ダ−で、米空軍の地上設置式フェ−ズドアレイ型超大型早期警戒レ−ダ−である。
フェ−ズドアレイ型というのは、放射素子間の位相を変化させてアンテナそのものを動かさずにビ−ム(電磁波)の方向や放射パタ−ンを変えるレ−ダ−アンテナで、出力はピ−ク時582kwで通常は420〜450kwで扱う。
レ−ダ−そのものが人体に悪影響なものとされるが、さらに新型のこのレ−ダ−は強力で1970年代に建設が発表されてからずっと周辺住民から抗議の対象になってきたレ−ダ−である。
☆現職空軍軍医が懸念を表明
最近になってまた反対運動が盛り上がったのは、テキサス州サンアントニオのブルック空軍基地に勤める軍医リチャ−ド・アルバニ−ズ(Richard Albanene)が、コッド岬のあるマサツセッチュ州健康局に「医学的見地から、フェ−ズドアレイ・レ−ダ−による放射線被曝はほとんど調査されていないのでこのユニ−クなレ−ダ−信号型の研究が十分される必要がある。私はとても懸念している」と手紙を出したからだ。
☆ケネディ上院議員も乗り出した
エドワ−ド・ケネディ(Edward Kennedy)上院議員はこうした状況から、コッド岬のペ−ブポ−ズ・レ−ダ−(PAVE PAWS Radar)の健康影響研究を「米アカデミ−・学術研究会議(NAS−NRC)」が実施し、資金は空軍が出すよう要求した。
1月11日にケネディ上院議員は空軍長官ホィッテン・ピ−タ−ズ(Whitten Peters)に手紙で「過去20以上にわたって、ペ−ブポ−ズ・レ−ダ−による健康影響があるならどんなに小さくても取り組むよう」要求した。またケネディは、コッド岬で公開フォ−ラムを空軍が開き、そこにアルバニ−ズ軍医を参加させ彼の意見を表明させるよう要求した。
☆当然軍医を批判する人はいる
コネティカット州ニュ−ヘブンにあるエ−ル大学名誉物理学教授ロバ−ト・アデア(Robert Adair)博士は、アルバニ−ズ軍医を厳しく批判している。「彼はこの問題でまったく権限はないし、その研究は途方もないものだ」と。また「ペ−ブポ−ズのマイクロ波は他のレ−ダ−から出るものと違いはない」とも言った。
これに対しアルバニ−ズは、「フェ−ズドアレイ放射線(電磁波)とりわけペ−ブポ−ズから出る放射線は他の型と質的に異なる。具体的にはパルス間に無音の間隔がペ−ブポ−ズにはない。だから他とは違った科学的・医学的注意が払われる必要がある。この型の放射線で起こる無力症を回復する細胞のための方法はまったくない」と語っている。
なおアデア博士の妻エレアノ−ル(Eleanor)はブルック空軍基地で働いている。
1979年に、NAS−NRC(米アカデミ−・学術研究会議)はペ−ブポ−ズ放射線に関して二つの報告書を出している。一つは「被曝レベルと潜在的生物影響」、もう一つは「レ−ダ−によって伝送される放射線信号の強度」である。