◎IT革命はこうして出てくる
東京に二つの通信企業が巨大なタワ−ビルをつくろうとしている。一つは、日本テレコムの「新東京センタ−」で、東上線北池袋駅前敷地(豊島区)にA棟(50m)とB棟(30m)を建設する計画のもの。すでに高さ32mのA棟は完成しその上に約20mの通信塔を建てる段階まできている(図参照)。
もう一つは両国北口地区再開発地区で建設予定の「NTTグル−プ墨田ビル」である。こちらは墨田区のJR両国駅近くに高さ200mのタワ−付きビル(図参照)を建てるというもの。当初は99.5mのオフィスビルの予定だったのを、突然NTTは変更し、そのオフィスビルの上に100mの通信タワ−を乗せ一挙に200mの超高層建築物に内容変更してきた。
◎3月11日に北池袋で学習会
日本テレコムの方はすでにA棟がタワ−を除いて完成し、続いてB棟の建設説明会をするというので、住民が3月11日(日)に池袋第一小学校で学習会を開催し当研究会から講師を派遣した。当日は緊急学習会だったにもかかわらず20数名が参加した。学習会には区議会議員も2名参加し、「電磁波はこんなに問題がある」ことを知った参加者は、3月末予定の日本テレコムの住民説明会への対応を決めた。
◎「電磁波に関する確認書」は使える
すでに豊島区(行政)と日本テレコムは「電磁波に関する確認書」(案)の作成の段階に来ているが、その中に「第4項 隣接する小学校や近隣住民への不安の解消を図るため、基地局からの電磁波の影響と安全性について常に留意し、電磁界の強度の測定や情報公開を行うこと等により、住民への配慮と不安の払拭に努めるものとする」という項目があるので、この精神で住民の不安を払拭させるため「徹底的に説明させる」ことが大事でこの確認書(案)はいい方向で使える。
◎非常識な立地条件
建物は埼京線と東上線が隣接して走る脇に立ち、しかも豊島区立池袋第一小学校の隣という非常識な所。住宅も密集していて住民や子どもたちへの影響をまるで考慮していない。アンテナは送信電力が「最大96W・回線数最大288本・周波数最大48波」としているが、現実にはもっと大きくなると思われる。(都内の普通規模の中継基地局で最大96Wあるからだ)。
またA棟は6千6百Vの高圧受電だが、B棟は6万6千Vの特別高圧を受電すると計画書にはある。このため周辺地域への低周波漏洩も心配である。
◎両国は昨年11月に説明会
両国のNTTグル−プビルの方は、2月の当研究会定例会に当該住民が参加し、内容について報告がされた。ここも墨田区立両国中学校や私立安田学園と隣接し、病院施設等もあり最悪の立地条件だ。昨年11月に住民説明会(両国北地区再開発計画全体の説明会)があり、約2百名が参加したがその時住民代表はNTT側に要望書を渡し回答を書面で求めたがあまり誠意は見せていない。今年2月に使用周波数帯や出力等の提示があったが十分なものではない。
◎「はじめに計画ありき」は許されない
二つの計画で共通するのは、事前に住民へ計画を説明をせず、別に内部で十分計画してから住民に提示してくるという、「はじめに計画ありき」のスタイルであることだ。こんな理不尽なやり方はもう電磁波問題で通用しないようさせねばならない。
<図>日本テレコム・新東京センター(東京都豊島区):ふかん図
<図>日本テレコム・新東京センター(東京都豊島区):A棟のイメージ図
<図>NTTグループ墨田ビル(東京都墨田区)と東京タワーとの比較