□十分な調査をした、というウソ
電力会社は送電線建設にあたって、(1)ボ−リング調査をはじめ多角的な調査をし安全性を確認し、活断層の疑いのある地形のところは避けている(2)そのうえで鉄塔の基礎床盤部は強化しているので倒壊の危険性が発生したり増大することはない、と建設前は住民に説明する。
しかし鳥取西部地震での事態はこの主張に科学的根拠はないことを明白に示した。
そもそも技術に絶対はない。ロスアンゼルス大地震で高架高速道路が倒壊した時、日本の建設省やゼネコンは「日本の技術は優秀なので日本では倒壊はありえない」と豪語したが阪神大震災でこれが見事に覆された。
□だれが責任をとるというのか
地震・台風等の自然災害が起こった時にいつも出てくるのが「不可抗力」とか「当時の知見では知り得なかった」という言い訳だ。しかし地震列島で台風や集中豪雨など地盤を軟弱にする要素の多い日本の風土を考えれば「危険の可能性のあるもの」はなるべく避けるのが賢明な道である。それでも建設せざるを得ないならば、周辺住民に対し徹底した情報公開と事前同意をとるという民主主義のル−ルが必要である。
それがなく、それでいて責任もとらないのである。だとしたらやはり住民が声を上げていくしかないといえよう。