<海外情報>
サン・ディ−プ記者
The HINDU
2010年8月10日
□「規制すべき時期だ」と大臣語る
インド連邦政府は、基地局と携帯電話の放射線(電磁波)の健康ハザ−ド問題に、ついに気がついたようだ。連邦政府の通信情報技術省は、基地局オペレ−タ−会社と携帯電話メ−カ−に対する規制強化策を制定する目的で、基地局と携帯電話のEMF放射線レベルはどうあるべきかを探る、高水準の研究に乗り出す意向だ。
通信情報技術省のサチン・ピロット大臣は、『ザ・ヒンドゥ』紙に次のように語った。
「放射線問題を扱うべき時期に来ている。なぜならば、国民の健康に重大な影響を与える可能性のある基地局が野放しに建設されていることや、同じく健康に影響する可能性のある安価な携帯電話が輸入されていることに対し、専門家や市民団体から強い反対の声が上がっているからだ。私は、この問題が発生するメカニズムを監視することを含む、健康と通信の専門家会議を早期に開催する予定である」。
□詳細な研究を予定
インド連邦政府は、インド医学研究協議会(ICMR)にこの問題に関する詳細な研究を依頼する予定でいた。インドの国内事情は西側諸国とは違うからだ。
ピロット大臣は次のように語った。
「私たちは別の見通しでこの問題を見ていく必要がある。ヨ−ロッパでは携帯電話オペレ−タ−企業の数は3つから5つがふつうだが、インドでは現在15企業もある。基地局はものすごい勢いで増えている。現在でも基地局は40万〜50万基あるが、携帯電話がさらに6千5百万台増えるので、それに合わせて基地局建設が必要だ。携帯電話は毎月1千5百万台増えており、これは世界で一番の増加率だ。欧米では、基地局と携帯電話に関してとても厳しい監視メカニズムを導入している。しかし、インドには独自の規制がまだない」。
□専門家は警告している
専門家は以下のように警告する。
「携帯電話を耳に当て20分間通話すると、ユ−ザ−の脳を通して血流温度が上昇する。これは危険な可能性を生む。また基地局からのハイレベルな放射線は周辺の住民の生活に影響を与える」。
ピロット大臣も、以下のように語る。
「携帯電話オペレ−タ−会社やその業界団体あるいは携帯電話メ−カ−は、インドの放射線レベルは定められた基準値以内にあると主張する。しかし、独立機関によれば基準をオ−バ−している報告が多数出ている。継続的な電磁放射線の曝露は重大な健康問題を引き起こすので、脅威となる前に、すぐにこの問題に取り組む必要がある。そして、インドの電話産業が成長していることを気に留めて置くことがとても必要である」。
インドには、放射線曝露基準が無いのが現状だ。複数の政府機関が基準値について提案しているが、その提案値は、米国や欧州諸国の基準値より何倍も高い値である。
携帯電話の場合、西欧ではSAR(特異吸収率)として厳しい基準値を設定している。SARとは、携帯電話を使っていた時の身体が吸収する放射線量のことだ。インドの携帯電話メ−カ−は、SARを発表すべきだ。