もし建設されれば、すべての高等学校に波及する問題です。学校への基地局建設に、批判の声が上がっています。
□当初は3月中に工事強行を予定
東京都立豊多摩高等学校の校舎屋上に、ドコモが携帯電話中継基地局を建設する許可を、東京都教育委員会は出しました。
アンテナの高さは約8メートル、アンテナとポ−ルの重さは574キログラム、無線電源装置等の付属施設の重さは2490キログラムです。つまり、約3トンの基地局がデンと高等学校の屋上に乗るのです。出力は1方向30ワットで、3方向にアンテナを建てるので計90ワットです。
高等学校職員には、建設することを一応説明していますが、決して職員の了解はとっておらず、校長だけの了解です。当初は3月中にも工事を強行する予定でした。
豊多摩高等学校に建設する動きは2007年6月頃からあり、2008年6月に東京都教育委員会は許可をしました。しかし、その動きは一部上層部だけで秘密にして、教職員には知らせず計画は進められました。
それが、2009年4月5日に東京新聞が大きく報道したことで、事態が広く知られるようになったのです。
□でたらめな安全論
基地局電磁波の健康不安に関して、ドコモは「国の電波防護指針の百万分の1あるいは1千万分の1以下だからご安心を」と言ってます。総務省の電波防護指針は、電磁波の熱作用を基にした指針値であり、非熱作用は考慮に入れてません。また、百万分の1とか1千万分の1というのも、あてにありません。つまり、高周波は時々刻々変化しており、最大値はずっと高いものですので、1週間連続計測値を発表すべきです。
生徒の中には、電磁波過敏症もいると思われますが、「公式な疾病でない」という理由だけでしりぞけています。まったく誠意が見られません。
□「なんで学校に」の配慮まったくなし
生徒が学び過ごす場である学校に、健康リスクが不確定な基地局をどうして設置するのかという当然の疑問に、「周辺の住民からサ−ピス品質改善の要望が出ているのでそれに応えるため」と、ドコモは回答をしています。本当に「携帯電話がつながらない」という声があるのかどうかも怪しいのですが、学校という、センシティブな場所に設置することへの配慮が、全く欠落しています。さらに、「関東甲信越地区に既に10箇所以上の高等学校に設置している」と宣言する始末です。皆さんも、自分の地域でそういう事実があるかどうか調べてみてください。
□横浜の経験を生かそう
1997年に当会は、横浜市で市立小中学校全校に、横浜市教育委員会がPHS基地局を設置しようとしたのに対し、横浜市学校事務組合や神奈川ネットワ−ク市議と連携し、250校中68校設置した段階で「全校撤去」をさせました。この取り組みで横浜市は、市立学校に携帯電話やPHS基地局は、以後設置しないことを約束しました。
□住民たちも動き始めた
2009年5月30日に当会から講師を招き、浜田山会議室で「豊多摩高等学校ドコモ基地局建設問題を考える電磁波問題勉強会」を地元住民有志たちが開催しました。
教育の現場である学校に、携帯電話基地局を建設するという暴挙を許すことは、日本の恥といっても過言ではありません。一度認めたら、KDDIもソフトバンクもイ−モバイルも、争って設置に走るでしょう。ドコモなら良いが他の携帯会社はだめ、といった屁理屈が通るわけがありません。フランスでは、基地局撤去が司法判決でいくつも出ているというのに、あまりにも日本の行政はおそまつです。
当会は、豊多摩高等学校ドコモ基地局問題を重点課題にします。皆さんも、東京都教育委員会あてに、抗議の電話・はがき・手紙を出してください。