静岡県南伊豆町に35基の巨大風車建設計画

温暖化対策を建前とした環境破壊の実態

静岡県南伊豆町は、緑豊かな森に囲まれた温泉と漁業の町です。そこに、巨大風車を建設する風力発電所の計画が降って湧いてきました。自然エネルギ−自体は、今後重要であることが、環境を破壊することもあることを考慮せず、さらに地元住民の意向を聞こうとしない計画は間違っています。以下の文は地元住民からの寄稿です。
□計画の内容
 現在、静岡県南伊豆町で変電所と送電線(2.2kV 2回線 約4キロメートル)建設に関する問題が起きています。
 計画としては、電源開発(株)、M&Dグリ−ンエネルギ−(株)、豊田通商(株)が共同出資する(株)ジェイウインド石廊崎が行なう大規模風力発電事業(高さ118メートルで30階建ビルに相当、風車直径80メートルで2kW×17基)を推進するとしています。
 これらの事業は、至近距離に住む住民をはじめ、大部分の町民が知らないまま進められました。計画がおおやけになった今年4月以降に、「南伊豆の自然を考える会」や「風力発電問題伊豆ネット」等が結成されました。
 風車では、自然生態系破壊や健康被害(騒音・低周波音・ストロボ効果)等の問題点。電力設備では、地元や地権者への業者説明会が、工事が始まって4ヵ月も経ってから初めて行なわれたり、合意のないまま強行されようとしたりとか、住宅地に埋設するケ−ブルからの電磁波の不安などが大きく問題視されています。

□健康障害を引き起こす問題を軽視するな
 この問題の特徴は、第1に、地球温暖化対策ということで、総事業費の3分の1を国からの補助金でまかなうという新エネルギ−事業であることです。
 第2に、エコキュ−ト等でも問題になっていますが、風車からの低周波音公害が引き起こされる問題です。低周波音空気振動病については欧米では被害の報告や研究が進んでいますが、日本ではまだあまり知られていません。しかし、物理的刺激が光(電磁波)か音かの違いはあるものの、生体への作用は似ていると言われ、頭痛・睡眠障害・しびれ・吐き気・めまい、などの症状は電磁波過敏症に酷似しています。愛媛県伊方町、愛知県豊橋市、静岡県東伊豆町等で、すでに非常に深刻な被害が出ていますが、電磁波問題と同様に、国はその存在を認めていません。2006年度末で、風車1314基、約149万kWですが、2010年までに300万kWに倍増する目標なので、今後被害の拡大が懸念されます。

□いろんな市民団体との連携が大事
 低周波問題研究会は、「電磁波から健康を守る百万人署名連絡会議」に入っています。今後は、電磁波や低周波音に関わる市民団体や、風力発電に関連する市民団体、などと連携する場面が出てくるかもしれません。
 エネルギ−や電気について考えることは、私たちがそれぞれの暮らし方や心の在り方について考えるきっかけになると思います。大量エネルギ−消費を前提とした、大規模自然エネルギ−開発よりも、省エネルギーの生活や技術、エネルギ−の効率的な利用を進め、母なる大地、自然に感謝し、すべての生命が健やかで調和する希望を分かち合いたいです。

◎参考文献
『低周波音症候群』 汐見文隆著
『左脳受容説』   汐見文隆著

<工事行程>
平成20年1月 事業着手
平成20年春  風力発電所造成工事着手
平成20年10月 風車基礎工事着手
平成20年11月 送電線工事着手
平成21年5月 変電設備工事着手
平成22年3月 運転開始


会報第54号インデックスページに戻る