東京急行電鉄すずかけ台駅変電所建設計画白紙撤回に

□変電所建設計画中止の連絡
 東京急行電鉄の代理人(弁護士)から、本件計画(変電所建設計画)を取りやめる旨の文書が届いたのは2008年6月2日でした。建設計画が中止になったのは、住民たちの運動の成果であることは明らかなはずです。ところが、この文書の中では、(すずかけ台駅以外の場所で)電力を貯蔵するシステムを新設するので中止したとしています。このシステムは、電車がブレ−キをかけた際に発生する電力をバッテリ−に蓄え、それを走行する電車の供給して、電車の安定運行を支援するシステムとのことです。そうすることで、電力の有効活用を図るので環境に配慮したというのです。
 すずかけ台駅に変電所をつくる理由として、総合的に判断した結果と言っていたのです。このような環境に配慮したシステムがあったのなら、初めからそれを採用すれば良いのに、実に不真面目な話です。

□関係住民たちは慎重に対応した
 この変電所建設が中止なったことは喜ばしいことですが、地域の建築協約を守る由縁はないとの発言を撤回するのかしないのか、今回は中止したが、将来にわたっての保障はあるのか、さらに、工事途中の跡地はどうするのか等々の問題が残っていましたので、関係住民たちは、そうした問題が解決されるまでは警戒心を解きませんでした。

□ついに白紙撤回文書来る
 2008年6月23日に、東京急行電鉄・鉄道事業本部長名で、今後、すずかけ台駅に変電所あるいはそれに類する施設を建設することはいたしません、と文書で明言しました。
 マンション管理組合と東京急行電鉄との間で、これまでに確認がとれているのは以下の点です。

  1. 東急が交渉時に表明していた、地域の建築協約を守る由縁はないとの趣旨の考え方は撤回し、協約は尊重する。
  2. すずかけ台駅構内に、今後、変電所あるいはそれに類する施設、及び住民に不安を与える施設は建設しない。
 工事途中の跡地については、2008年6月5日に諸設備の撤去が行なわれました。

□画期的勝利をもたらした力は何か
 東京急行電鉄を相手に、住民たちは、白紙撤回を掲げて、妥協することなく闘い、所期の目的を貫徹しました。回答も文書回答であり、変電所建設反対運動としては画期的な全面勝利です。
 勝利をもたらしたのは、第一に、すずかけ台変電所対策協議会を中心に住民側が団結していたことです。
 第二に、住民側に明確な戦略と具体的な戦術があったことです。明確な戦略とは、東京急行電鉄のみを相手と位置付け、幅広い関係者を味方につけて、堂々と戦う路線を堅持したことです。戦術としては、専門家、市議会、周辺住民団体、マスコミに対し積極的に働きかけ、適時講演報告会の開催やビラまき、東京急行電鉄との交渉等々を精力的にこなしたことです。
 第三に、会社法の駆使というユニ−クな戦術を採用したことです。東急グル−プのコンプライアンスとこの変電所計画がいかに乖離しているかを鋭く衝く方法は貴重であり、今後の活動に大変に参考になります。


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