<海外情報>

インディペンデント
2008年3月30日
(抄訳:TOKAI)

携帯電話はタバコより危険

超一流の神経外科医が多くの科学文献を精査した結論

□タバコやアスベストより危険だ
 数々の賞に輝くがんの専門家による研究が、「携帯電話はタバコやアスベストよりも人間を死に至らしめるであろう」と結論づけた。その専門家は「携帯電話はできるだけ使用は避けるべきだし、政府や携帯会社は携帯電話の電磁波曝露を低減させるための早急の対策をとる必要がある」と語っている。
 この専門家の名はヴィニ・ク−ラナ(Vini Khurana)博士で、ク−ラナ博士の研究結果は極めて激しい内容だが、研究論文として発表されている。
 ク−ラナ博士の研究論文は、2007年6月に『インディペンデント日曜版』に掲載された。その研究論文は、携帯電話を10年以上使用すると脳がんリスクが2倍になるという証拠を引用している。
 初期の頃の研究結果を基にした公式見解(初期の研究は、携帯電話を10年以上使用している例はほとんど含んでいない)は、「携帯電話は安全だ」としていたが、ク−ラナ博士の研究結果はそれを否定する内容になっている。

□仏や独の見解は「携帯電話に注意を」
 今年初めに、フランス政府は「携帯電話の使用、とりわけ子供の使用は注意を」と警告を出した。ドイツ政府も「携帯電話の使用時間はなるべく少なく」という勧告を出している。EUの欧州環境局は「携帯電話の電磁波曝露量を減らせ」と要求した。
 ク−ラナ博士は過去16年間に14の賞を受けており、神経外科医としては第一人者である。これまでに36以上の科学論文を発表しており、携帯電話の健康影響に関しては百以上の論文をレビュ−した。今回のク−ラナ博士の研究結果は脳外科関係のウェブサイトに掲載した。この研究結果は、科学ジャ−ナル誌掲載に必要な事前論文審査を現在受けている最中だ。
 ク−ラナ博士は、携帯電話が緊急時に救命に役立つことは認めている。だが、「携帯電話の使用と特定の脳腫瘍の間に相関関係が成立するという重要な一連の証拠が次々と出ている」と結論づけている。そして「今後10年以内に携帯電話と脳腫瘍が関係が示す明確な証明がなされるであろう」と考えている。
 また「悪性脳腫瘍は死につながる疾病であることはわかっているが、現在のところこの疾病は病気の進行がわかりにくいし、危険な状況に私たちは置かれている」、と彼はとらえている。ク−ラナ博士は「携帯電話企業や政府が迅速で有効な対策を講じないと、悪性脳腫瘍件数は今後10年以内に世界的に増えるし、それにともなって死亡率も上昇するであろう」と懸念している。また「この疾病に対する医学的な対策はあまり進んでおらず、今後10年以内に対策が確立することはないであろう」ことも懸念している。

□公衆衛生へのインパクトは大きい
 ク−ラナ教授は「携帯電話の健康への危険度はアスベストやタバコより大きいので公衆衛生への影響はより大きいと予想される。その理由の一つは、携帯電話が世界中で30億人が使っているからだ。この数はタバコを吸う人の3倍に達する。タバコすなわち喫煙で毎年、世界で5百万人が死んでいる。アスベスト被害で死ぬ人数は英国では交通事故死亡者数と同じである。
 携帯電話企業連合は、先週、「ク−ラナ研究は、論議の対象となる数ある科学論文の一つにすぎない。この研究がバランスある分析とは言えないし、WHOや30以上の他の独立専門家たちのレビュ−で出した結論とは食い違った結論であると思う」と、この研究を否定する見解を発表した。


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