<海外情報>

BBCニュ−ス
2007年10月4日
(抄訳:TOKAI)

スコットランドの送電線計画に関わる公的健康調査

□高さ65mの鉄塔が600本建つ計画
 英国スコットランドのスコ−ティッシュ・サザン・エネルギ−(SSE)電力会社は、インバ−ネスに近いビュ−リ−(Beauly)からグラスゴ−に近いデニ−(Denny)まで、137マイル(約220キロメートル)に及ぶ送電線計画をはすすめている。
 電力会社によれば、この送電線計画は電力エネルギ−需要に対してどうしても必要だという。この区間に、高さ65メートルの送電線鉄塔が600本必要になる。
 先月、一流の科学者たちによる調査により、送電線から出る電磁波(EMF)曝露による健康影響に関する詳細な内容が発表された。これに対し、送電線計画を審議する役人は「今回の調査は発表が遅かったので審議に間に合わない」と語った。しかし、送電線計画に反対する住民たちの力で、何とか審議の対象とさせることができた。

□公的調査によれば「現行基準は不十分」
 送電線計画に対する健康影響に関わる公的調査は、今年の2月から行なわれてきた。先週、スタ−リング州議員で州議会事務責任者であるブル−ス・クロフォ−ドは、今回の調査報告を当初「発表が遅いから」と受け入れようとしなかった、関係者の態度は「誤り」であると批判した。
 今回の公的調査のタイトルは、「電磁場に関する生物学に基づく公的曝露基準の理論的根拠」であるが、結論として「送電線・携帯電話等、日常的なEMF発生源に対する許容量を決めた現行の基準値は、不十分なものである」とした。
 住民団体「鉄塔のないスタ−リング」は、調査報告の提出を認める今回の決定を歓迎すると語った。

□1ミリガウス勧告に適合しない計画
 住民団体スポ−クスマンのキャロライン・パタ−ソンは、「送電線計画をまとめる人は、今回の公的調査の内容を学んでもらいたい。そして、高圧送電線に関するキ−となる勧告を、計画に反映させてもらいたい。今回の公的調査では、新規送電線周辺の住宅に対して、暫定的に0.1マイクロテスラ(1ミリガウス)の基準を勧告している。この勧告内容に、今回の送電線計画は不適合だ。なぜならば、約百軒の住宅でEMFは0.1マイクロテスラをはるかに越えている」と語った。
 一方、スコットランド政府スポ−クスマンは、「公的調査は11月20日までに届く他の調査も認めるし、送電線計画をまとめる担当者は、住民団体“鉄塔のないスタ−リング”や他の団体が、意見等を今回の公的調査に寄せることも了解している。EMF問題は、パ−ス州の調査において、2007年2月に12週間の長きにわたって議論された経験がある」と語った。


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