<海外情報>
インディペンデント日曜版
2007年7月8日
(抄訳:TOKAI)
□英国人も同じく3人のうち2人が思う
英国人の3分の2は「携帯電話や中継基地局から出る電磁波は健康に影響を及ぼすと考えている」という、驚くべき内容の公式調査が明らかになった。同時に、この潜在的脅威に対して「政府は電磁波は“安全”だとしか説明しない」ことに、大多数の人は失望していることも調査で明らかになった。
この調査は、欧州人2万7千人を対象に意識調査をした、EU(欧州連合)実施による公式調査である。このうち、英国人対象数は1375人である。この調査結果をみると、電磁波に対する懸念は、反対運動に取り組む市民活動家が考えている以上に、高い割合であることがわかる。そして、電磁波問題を軽視しようと試みている政府の企てが、逆効果となっていることも示している。
□「ユ−ロバロメ−タ−計画」
本誌(インディペンデント日曜版)は、今年の4月から、電磁波は私たち人間や野性生物にどのような影響を及ぼすのか、という問題を提起してきたが、この本誌への反響は極めて大きかった。その反響と結びつく例を紹介しよう。
今月、ロンドン市のハリンゲイ地区とウェ−ルズのカ−マゼンシャイア−地区で、学校に無線LAN(Wi-Fi)の導入を許可するかどうか巡って検討が続いている。論議のきっかけは、英国健康保護庁長官ウィリアム・スチュワ−ト卿が学校への無線LANへの懸念を表明したことにある。BBCテレビ番組『パノラマ』でウィリアム・スチュワ−ト卿はこう語った。「Wi-Fiなどについて再検討する必要性があると私は考えている。そう、今がそうした問題を再検討する時期なんだと思う」。
今回のEUの調査は「EUユ−ロバロメ−タ−計画」の一環として実施された。この計画は、欧州大陸の民衆の意見をサンプル抽出することを目的として、実施している計画だ。今回の調査結果では、英国人の65%が携帯電話電磁波は健康に影響を及ぼすと考え、携帯電話基地局電磁波が健康に及ぼすと考えている英国人は71%もいることがわかった。
□欧州全体ではもっと高い割合
欧州全体でみると、携帯電話電磁波が健康に影響を及ばすと考えている人は73%で、基地局電磁波については76%が影響を及ぼすと考えている。5年前の調査では、携帯電磁波に対しては55%で、基地局電磁波に対しては58%だったので、この5年で不安に感じている人が大きく増加したことを物語っている。
□影響示す証拠が増えたことと関係あり
ここ最近になって、携帯電話のリスクを示す証拠が増加している。たとえばスカンジナビア半島諸国の研究では、携帯電話を10年以上使用すると脳腫瘍が増加するとしている。そして、携帯電話の電磁波は脳細胞を殺し、現在の若者が40代から老化現象が出てくるようになるとしている。
携帯電話に比べると、基地局電磁波が健康に及ぼす影響を示す証拠ははるかに少ない。しかし、実施された研究からすると、携帯基地局電磁波の影響で、頭痛・疲労・吐き気・記憶力への影響等の症状が現われることを示している。反対運動をしている人たちは「基地局電磁波ががんをもたらすおそれがある」と訴えている。
また、この問題に対して政府役人や一部の学者が「電磁波は心配ない」と言っているにもかかわらす、英国人の50%以上がそれを信じず、かなり不安を感じていることが調査でわかった。