<海外情報>
デーリー・メール
2006年10月23日
(抄訳:TOKAI)
□厚労科学研究費補助金研究事業の一環
「平成17年度厚生労働科学研究費補助金健康科学総合研究事業」という研究事業の一環として、「微量化学物質によるシックハウス症候群の病態解明、診断、治療対策に関する研究」の報告が、厚生労働省から2007年3月発表された。
主任研究者は、北里研究所病院臨床環境医学センターの石川哲顧問である。
□シックハウス症候群研究の延長で電磁波過敏症に明確に言及
厚生労働省は、化学物質過敏症すら正式な疾病として認知していないが、司法の場では、東京高裁が、電気ストーブによる化学物質過敏症を認知する判決を2006年に出した。また、2006年3月には、病院看護師が消毒剤グルタルアルデヒド曝露による化学物質過敏症を認知し、大阪高裁が後遺障害等級認定する判決を出した。
こうした状況の中で、シックハウス症候群の研究がメインではあるが、研究報告概説の部分で次のような記述がある。
「〇石川(注:石川哲氏)や宮田(注:宮田幹夫氏)らは、新しく電磁波に関係すると考えられた症例を報告している。電磁波が生体に及ぼす影響については、北欧諸国で詳しい研究がなされている。最近ではWHOの後援による、専門家による国際会議も開催され、その議事録なども手に入れることができる。わが国では、この問題には多くの医師が無関心を装い、興味があっても、公の場で症例を提示して議論する機会は殆ど皆無の状態である。今回、我々は初診時に最も電磁波過敏が疑われ、精神科領域には問題のない症例を集めることが出来た。他覚的検査の駆使により、電磁波過敏症がいかなる症例かどの様な検査が必要かを理解するために、ここに症例を紹介した。文献的考察は後で述べた。」
□北里グループの勇気を讃える
石川哲北里大名誉教授が主任研究者であったからこそできたことだが、厚生労働省の委託研究で電磁波過敏症を7例も研究し報告書に載せたことは大きな意味がある。石川哲氏・宮田幹夫氏・坂部頁氏ら北里研究所病院臨床環境医学センターの医師たちのご努力に心より拍手を送りたい。
中央行政や医学界は想像以上に保守的な世界であり、こうした慣例や風習を打破していくには、それなりの研究成果と大いなる勇気が必要である。