<海外情報>
マズウェルヒル・ジャーナル
2007年2月15日
(抄訳:TOKAI)
□無線LANは電磁波被曝の多いシステム
マズウェル・ヒル(Muswell Hill)地区の小学校で、無線LANの是非を巡って賛否両論が渦巻いている。
コンピュータとインターネット情報を、コードを使わないで、無線で接続する無線LANシステムは、コードでつなぐ通常のシステムより、子供たちはより多く電磁波を浴びるシステムだ。この技術の安全性は、まだ確立していない。
そのため、小学校の教室に無線LANを導入するかどうかについて、マズウェル・ヒル地区でも大いに論議されている。
グランド通りにあるテザーダウン(Tetherdown)小学校は、この地区で最初に無線LANを導入した小学校である。この学校では、ラップトップ型コンピュータ(訳注:ノートパソコン)が、無線でインターネット情報とアクセスするシステムのため、高周波ビームがあちこち飛び交うシステムだ。コールドフォール通りにあるコールドフォール(Coldfall)小学校でも、近日中に無線LANシステムが導入される予定だ。
しかし、この無線LANにより、子供たちはどれほどの電磁波を浴びるのか、そして、果たして安全なのかについて、まだ賛否論議が続いている。
□英国の多くの学校では反対が多い
英国健康保護庁(HPA)の最近の勧告は、電磁波の影響は大人より幼児や子供により顕著に出てくるであろうが、電磁波の健康への影響を示す確たる証拠はないとしている。
このようにHPAの見解はあいまいさを残しているが、英国の多くの学校では親たちの反対の声が強く、wi-fiネットワークという名前がついている、この無線LANは導入されていないのが現状だ。
オーストリアのザルツブルグ市公衆衛生課は電磁波の影響を警戒し、wiーfiの導入はすべての学校および保育園で禁止すべきと勧告している。
□市民団体・パワーウォッチも反対
英国の市民団体で、電磁波問題に取り組んでるパワーウォッチの科学・技術関係の責任者である、アラスデア・フィリップス(Alasdair Philips)は、「どんな影響がこのシステムで起こるかモニタリングもせず、学校とりわけ小学校に持ち込むのは、まったく無責任なやり方と言わざるを得ない。学校にとって、このシステムが本当に必要とは思えない。学校中を電磁波だらけにして何の得になるのか。たしかに、無線LANから出る電磁波は、携帯電話中継基地局からの電磁波に較べたら、量的には明らかに弱いが、無線LANの電磁波が一番強い所で座って、子供たちはパソコンを扱うのだ。電磁波が原因で、慢性疲労や注意欠陥症や頭痛等の症状になっているのを、私たちは見てきている」と語った。
□ある母親の意見
サラ・パーディは、テザーダウン小学校に通っている子供の母親だが、無線LANシステムの安全性は立証されていないし教育的効果も少ないと批判的だ。サラは以下のように語る。「学校当局は、新技術だから無線LANを使うとしている。しかし、マイクロ波が一日中子供たちに照射されるとは、誰も考えてこなかった。ケーブルで繋がったコンピュータシステムがあるのに、子供たちの健康にリスクのあるシステムを、なぜわざわざ入れなくてはならないのかわからない。予防原則の考えを取り入れるべきだ。このシステムが安全であるか証明できていないのならば、子供たちを電磁波に曝すべきべきでない。私たちに選択権がないからには、子供たちは電磁波を浴びざるをえない」。
テザーダウン小学校は、普通教室に無線LANが入っている。担当教員のエベリン・ピットマンは「私たちは親と何回も話し合ってきたし、様々な状況も検討してきた。これ以上論議する必要はないと思っている」と語った。
他方、セント・ジェイムズ小学校の担当教員キャロル・オブライエンは「私どもの学校では導入する考えはない」と語った。