<海外情報>

<米国食品医薬品局の資料>
メディカル・デバイス・セイフティ
2006年11月22日
(抄訳:TOKAI)

核磁気共鳴画像診断装置により患者がやけど

□皮膚につける電極でヤケド
 MRI(磁気共鳴画像診断装置)にかけられる患者はECG(心電図)用の電極を身体につけ、電極にはケーブルが繋がっている。その電極下の皮膚が2度〜3度のヤケドになるケースがあった。この報告は、米国食品医薬品局(FDA)に提出された。ヤケドはMRI検査を受けた後に発見された。

□なんでヤケドしたのか?
 MRIで発生した高周波電磁波(radiofrequncy field)はECGケーブルや電極を熱くし、電極の当たっている皮膚にかなりのヤケドを引き起こす。

□なにか予防対策はあるのか?
 MRIを使った検査は数多く、その検査件数は毎年増加している。画像処理技術は進歩しており、いろんなタイプの検査が増え、かついろんな身体部位を検査したいため、患者へのMRI検査はどんどん増えている。したがって、MRIを使っても、患者への危害がなるべくでないような方策が必要である。

 その方策とは以下である。

◆画像処理研究をする前に、MRI機器で使われるケーブルや電極が適切な状態にあるかどうか、操作スタッフともに事前のチェックをしておくこと。また、電極が期限切れのものでないかも事前にチェックすること。

◆前に使用した電極やケーブルが、着衣やシーツや患者の身体に不注意に置き去りにされていないか十分調べること。検査する必要がなくなった電極やケーブルはかならず除去すること。そうすることが、古い電極によるヤケド事故を防ぐことにつながる。

◆たとえ適切な管理状態の電極やケーブルであっても、電極が皮膚表面にきちんと接触されていなければ、重大なヤケドを引き起こす可能性があることを認識すべきである。(具体的には、体毛の多い人の場合適切に体毛処理していないとまずいし、電極と皮膚が密着せず空気の隙間がある場合もまずい)。空気の隙間があると電気の流れが悪くなり、アーク(電弧)が電極と皮膚に生じたり、電極の中心で熱が発生し、ヤケドになる。また、ケーブルを輪のように巻く状態にしてはいけないし、ケーブルの下に毛布を置くといったように患者の皮膚からケーブルを離してはいけない。

◆MRI検査の終了後は、電極のあった部位の皮膚が赤くなっているかあるいはヤケドしていないかどうかチェックすべきである。特に口のきけない患者に対しては特別な配慮が必要である。

◆もし患者がヤケドした場合は、適切な治療が必要だ。そしてそのことを医療記録や事故記録として文書にして保管しなくはならない。かつ、病院の生体工学課に知らせ、事故を起こした電極はすぐにわるように包みにし分離保管すること。


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