<海外情報>
デイリー・メール
2006年11月10日
(抄訳:TOKAI)
□ストークオントレント市の事件
イングランド中西部のスタッフォードシャー州ストークオントレント(Stoke-on-Trent)市は、トレント河畔の都市で製陶業で知られる。この市のシューターズ・ヒル(Shooters Hill)地区に携帯電話中継塔が建ったのは1993年のことだ。巨大な携帯会社であるオレンジ社の基地局で、高さは82フィート(24メートル)である。この土地に基地局が建ってから13年間で、死亡も含む27人が被害に遭っていると、住民たちは怯えている。
□被害状況
被害者27人の内で、7人が死に20人が病気に罹っている。
7人死者の内は、エルジー・ジョーンズ、イボンヌ・グリーンスミス、フレッダ・オークスともう1人の4人は、3年以内に脳出血で死んだ。3人はがんで死んだ。3人の内、ジョン・コーンズとジョン・バトラーの二人の死因は脳腫瘍だった。
病気の20人の内、4人はがんで、3人は心臓不整脈で、5人は慢性頭痛と不眠症、6人は高血圧である。残る2人はてんかん症だが、ここ10年で症状は悪化している。
特に、鉄塔の近くの3つの通り(チェリーウッド・グローブ通り、サンドン通り、ミルワードグローブ通り)で被害が多い。
市審議会は“専門家”に依頼して調査したが、原因はわからない。オレンジ社は携帯電話中継アンテナは安全だと主張している。しかし、中継塔を撤去せよという住民の声は増大している。
□被害者の訴えを聞け
40歳のカレン・オーエンスは2児の母だが、ミルワード・グローブ通りに家があり、鉄塔から3百フィート(90メートル)しか離れていない。彼女は2006年5月に乳癌とわかり、11月に乳房を二つとも切除した。いま、彼女は5歳のジェイムズと2歳のハリーが病気にならないか心配している。カレンは「私はがんと診断された時、いつも心配していたあの鉄塔が原因だと思った」と語っている。そして「私は初期外科治療と化学療法をはじめ試みた。しかし、がんの再発がこわかったので、思い切って両方の乳房の切除に踏み切った。手術はうまくいった。まだ気分は良くないが、大丈夫だ。私の家系に乳癌はいない。統計学的にみて、私の年令は乳癌になるには若すぎる」と語った。
クリス・コーンズは、夫のジョンを4年前にがんで亡くした。今は、基地局からの電磁波を防ぐため、屋根裏とベッドの頭の部分に土を50層にしたシールドを施した。測定するとシールド効果は明らかで、シールドを施した側はマイクロ波数値が明らかに少なくなった。
ジーン・ホプキンスは鉄塔のすぐそばに住んでいるが、シールドに千ポンド(約20万円)かけたおかげで頭痛が亡くなった。「私は心気症ではない。思い込みで頭痛がするのでなく、鉄塔が頭痛の原因なのだ。鉄塔は私たちの生活を破壊している。鉄塔は建てるべきでなかった」と語った。
81歳のアルフレッドは51年間もサンドン通りに住んでいる。鉄塔が通りの反対側に建っているが、彼の皮膚ガンは鉄塔の電磁波によるものだと思っている。
□携帯は選択できるが、鉄塔は選択不可
ストークオントレント市南地区の議員ロブ・フレッジョは、鉄塔が健康被害の原因かどうかを調べる調査が必要だとしている。彼は「携帯電話は自分で持つ持たないを選択できるが、基地局鉄塔が建てば、周辺に電磁波を出し、住民は選択ができない。まず家を買った住民は、その後に鉄塔が建ったら、電磁波を浴びる浴びないの選択ができない」と語った。
市審議会は、アンテナが国のガイドラインに沿って運転されているかどうか調査すると答えている。しかし、反対派住民はマイクロ波の熱作用だけでなく、生物学的影響をマイクロ波がもつかどうか、特にマイクロ波が脳に影響するかどうかを調べなければ意味がない、と語った。
ワーウィック大学のジェラルド・ハイランド(Gerald Hyland)博士は、彼の研究からすると、鉄塔から出るマイクロ波ビームが一番強くあたる所では、健康影響が出ることが明らかになったと語った。
デジタル携帯電話の電磁波は脳の電気活動と同じ周波数だ。そのため睡眠不足や頭痛やその他の重大な病気が引き起こされるのかもしれない。
オレンジ社は、中継塔は住民の健康に影響を与えないと主張する。オレンジ社の担当者であるシュー・ハメット氏は「WHOの一番新しいファクトシートは、低レベルの高周波では長期被曝でも短期被曝でも健康影響は出ないとしている。ファクトシートは2006年5月に発表された。我が社としても、この問題はセンシティブな問題であると考えてはいるが、しかしながら、基地局は安全だと思っている。」と語った。