<海外情報>
(抄訳:TOKAI)
携帯電話を使うと目の障害を起こす
イスラエルの研究結果に英国で「携帯電話安全論議」が再燃
デイリ−・テレグラフ
2005年8月7日
□白内障などを引き起こす
携帯電話を長く使うと白内障など目の障害を起こす、とイスラエルの科学者が発表した。
この研究を行なったイスラエルの医学研究チ−ム責任者はレビ・シェクタ−教授である。彼はハイファ市にあるイスラエル技術研究所ラパポ−ト医学部門の教授をしている。
研究結果によると、携帯電話と同じマイクロ波の照射で目の細胞が“泡立つ”ような状態になった。これは白内障の一歩手前の現象だ。こうした状態は水晶体の焦点化を妨げる。
□「安全」とわかるまで携帯は使うな
イスラエルの研究者たちは雄の牛の水晶体を取り出してマイクロ波を浴びせて変化をみる研究を行なった。2歳までの牛の水晶体は、人間の水晶体にとてもよく似ているので使われるだ。
携帯電話を長く使うと当たっている身体部位が温かくなるが、その程度の穏やかな熱がマイクロ波照射で生まれる。実験に使ったマイクロ波の強さは、携帯電話程度のもので決して強くない。照射2週間後に、照射した水晶体と照射しない水晶体を比較して、生物学的変化を調べた。その結果、マイクロ波を浴びた水晶体は、光のビ−ム(光線)を焦点化する力が弱まった。そのため見たものがかすんで見えるようになる。電磁波照射を止めて、相当時間をおくとダメ−ジは回復する。しかし電磁波照射時間が長くなり、水晶体細胞内が“泡立つ”ぐらいまで照射すると(これは白内障の前兆だが)、目のダメ−ジは回復できなくなる。
シェクタ−教授は「私たちがアドバイスできることは、さらに研究を重ねて安全だと確認されるまでは、もし固定電話が使えるのであれば、携帯電話は使わないほうがいい」と語った。
□イスラエル議会は研究を奨励
この研究が『生体電磁気学ジャ−ナル』に発表されてまもなく、シェクタ−教授はイスラエル議会の健康委員会に招かれ、研究結果を説明した。そしてイスラエル健康諮問機関は、政府がこうした研究に資金をもっと出すよう勧告した。
昨年、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が、公表された全ての研究を再検討した見解を発表した。その見解は、「携帯電話が健康に悪影響をもたらすという確かな証拠は見出だせない」であった。
しかし、今回のイスラエルの研究結果は英国内にショックを与えている。英国健康保護庁のスポ−クスマン、マイケル・クラ−クは「英国の研究者はもっと幅広く危険性について研究すべきだ。このイスラエル研究はいい研究なので、内容を慎重に調べているところだ。もし今後も今回の研究結果と同じような研究結果がもたらされるならば、公衆衛生政策を再検討することも考えられる」と語った。
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