<海外情報>

英国議会委員会プレスリリ−スより
(翻訳:TOKAI)

携帯電話基地局建設に関し英国議会内の委員会が画期的勧告行なう

その意味するところは「鉄塔建設不許可」も含まれる

□7月20日に超党派委員会が勧告
 英国議会が設立した「携帯電話問題超党派委員会」(All Party Parliamentary Mobile Group=apMobile)は、7月20日に「携帯電話中継塔調査報告書」を発表した。
 この「携帯電話問題超党派委員会」(以下委員会)はフィル・ウィリス(Phil Willis)下院議員が委員長で、携帯基地局の建設場所に関し調査するため2004年3月に設立された。今回の報告書にある勧告等は、2000年に出された「携帯電話問題独立専門家委員会」(いわゆるスチュワ−ト委員会)報告以後、継続して設立されてきた独立調査委員会を引き継いだものである。

□中心となる勧告の一つは「鉄塔不許可」
 委員会報告は、携帯会社・政府・地域団体・地方自治体、から幅広く意見を聞いた上で、今後政府が、中継塔建設計画システムを現行より厳しくし、計画をオ−プンにさせ、合理的で信頼性のあるものにするよう求めている。
 今回のキ−となる勧告は、許可された携帯中継塔でも取り消されることを認めたことである。勧告は19項目あるが、政府と自治体が地域でもめるようなケ−スを減らすために、携帯会社と一緒に解決のため動けるようにするためにこれらの項目はある。

□委員長は勧告を歓迎
 フィル・ウィリス委員長は報告内にある勧告を歓迎し以下のコメントをした。
「携帯中継塔や基地局の設置をめぐって住民たちの不安と関心があるが、これに応えるために今回の報告書が大きな貢献するものである、と私は歓迎する。」
「今回の調査にあたっては、携帯中継塔や基地局の設置を巡って関与する関係者つまり政府・企業・自治体・住民団体・政党から幅広く証言を聞いた。」
「報告書は現在の基地局建設にあたっての計画システムは問題が多いという立場に立っている。その上で報告書は、携帯会社によってつくられた自主的建設実施コ−ド(規準)は一貫性がなく、決定過程において住民から不信感を持たれている、と結論づけている。」
「19項目の勧告は、政府・企業・自治体がこの勧告に積極的に従うよう求めている。そしてこの勧告が実行されるならば企業と住民にとって大きな影響をもつであろう。」
「委員会は携帯電話業界の社会的経済的利益を抑制することにも関わる。携帯基地局の建設問題を解決するために、企業と住民がともに影響を与え合うことが求められている。」

<19項目勧告概要>

  1. 「携帯電話に関する独立専門家委員会報告」でウィリアム・スチュワ−ト卿が提起した「携帯電話基地局の建設を取り消す権利を認める」という提案を政府が実行すること。
  2. 通信に関するGPDO条項は包括的に見直される必要がある。条項の第1項目(及び第5項目)に関する携帯基地局の新規建設の許可の見直しも含めて、誰でもわかる言葉で、かつ解釈が容易な観点で見直しがされる必要がある。
  3. ODPMは、関係省庁と協力して英国内の関連法律や政策を総合的に見直し、今回の勧告が有効に機能するよう政策と措置を保証するため、主導的な役割を果たす必要がある。
  4. GPDO条項の見直しに関して、政府は緊急規定(例えば許可された基地局を取り消す規定)が有効に機能する方法を調査する必要が生じるであろうし、緊急規定に伴う厳しい規則の制定も必要であろう。また企業がこの規定に従わない場合は罰則(ペナルティ)を課すことも検討する必要がある。さらに臨時的許可条項も見直しが必要である。
  5. PPG8条項の見直しに当たっては、携帯電話ネットワ−クのための戦略プランを事業者と共同して自治体が積極的に公表するために、定期的に事前公開討論会を設定し住民との協議ができるよう具体的取り決めをつくる必要がある。
  6. 自治体は、地域における開発計画(LDS=Local Development Scheme)の中に「地域開発文書」(LDD=Local Development Document)のような‘通信計画’について策定できる権限を国務大臣から受ける。
  7. PPG8条項の見直しに当たっては、基地局建設の許可権限を自治体が持てるようにするため、建設計画を事前に申請させ協議できるような詳しい手引きつくるような規定を入れるべきだ。協議と周知のための取り決めをつくることで、事前に基地局建設計画を誰でも知ることができるようになる。
  8. 携帯電話中継塔や基地局は景観上圧迫感があるので圧迫感をなるべく減らすため、設置場所や設備のデザインや外観について自治体が政策や手引きを制定できるようにする。
  9. 携帯電話設備のデザインの代替案や外観上の圧迫感を減らすための装具のデザインの代替案を提案するために、あるいはPPG8条項の見直しに伴う要綱や手引きをより良いものにするために、ODPMや携帯電話事業者は調査研究をすすめる必要がある。
  10. 携帯電話中継塔や基地局の設置場所を示す全国マップを法令調査に基づいて作成されるようにするため、携帯電話事業者は共通のデシタルマッピング技術を採用する必要がある。
  11. 中継塔建設申請の際の自治体の取り決めや政策手引きの統一化について政府に適切に情報提供するため、どこに基地局を設置することが妥当なのかについてさらに研究が行なわれることが必要だ。それまでは自治体と共同で携帯会社がどこに基地局を設置するのがベタ−かを追求することだ。
  12. 基地局の健康影響が懸念されているが、理解されているリスクや不安を減らすためには住民たちとの協議を行なうことが必要だ。
  13. 携帯電話の健康影響について詳細でしっかりした情報が獲得されるまでは、中継塔の設置について議論したり許可するにおいて予防的アプロ−チ(the precautionary approach)が採用されるべきだ。予防的アプロ−チについては、2000年のIEGMP(携帯電話に関する独立専門家委員会)報告書のウィリアム・スチュワ−ト勧告と、勧告に沿って制定されたPPG8修正条項に反映されている内容と同じである。
  14. 自治体に対する技術的アドバイスの提供方法については、積極的に追求されるべきだ。そのために政府が雇った企業の影響を受けない独立した知識と技術をもつ献身的な専門家が自治体のために貢献されるべきだ。そして携帯電話中継塔に関する問題について、を国がスポンサ−になっている「(企業の支配を受けない)独立情報を提供するウェブサイト」に情報を提供すべきだ。さらに自治体に専門家を振り向けるための財源を政府が自治体に保証すべきだ。とくに財源の少ない田舎の自治体に対してそうした措置をとるべきだ。また携帯電話問題を扱えるために自治体職員に特別な訓練を施すための財源をどのように措置すべきか調査する必要がある。
  15. 携帯電話問題に自治体が対応できるようにするためには財源が必要なので、その分携帯電話料金を上げてそこから自治体に回すべきだ。そして基地局建設にあたって事前申請するための討論ができるようにするため、国務大臣は詳しい手引きを発行する必要がある。
  16. 携帯基地局建設計画を作ったり計画の事前討論を行なうことで、予定地を探すプロセスや基地局割り当て場所について現行より厳しい手順を踏んでいくことが大切である。土地所有者から独立したそうした手順で予定地を選定することで最適地が選択可能になる。
  17. 欧州の他の国でも最善で、かつ英国でも採用できるような調査研究がなされるようにすべきだ。
  18. 政府と業界による共同組織を設立すべきだ。その組織には自治体と規制機関(英国ではOfcomと呼ばれている)の代表も加わる。その組織は以下のことを担う。
  19. 法令改正には時間がかかることは承知している。基地局建設計画システムを信頼あるものにするには、携帯電話設備のための建設前・申請前の段階で協議できるようにすることが大事だが、そのために政府の声明ができるかぎり早く出されることが必要だ。                      


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