携帯電磁波の健康リスクに関する質問書

「中継塔問題を考える九州ネットワーク」が総務省に提出

「中継塔問題を考える九州ネットワーク」(宮崎用事務局長)は4月28日付けで、総務省に対し、以下のように「携帯電磁波の健康リスクに関する質問書」を提出し、5月末日までに回答するよう求めました。
 総務省は表紙にアザラシの写真の入ったリーフレット(以下「アザラシ・リーフ」)を発行していますが、最近、携帯電話基地局を建設しようとする業者は、この「アザラシ・リーフ」を住民に配布し住民への説得材料に利用しています。そしてリーフの問題点を指摘されると「疑問は総務省に聞いてくれ」と逃げます。そこで「中継塔問題を考える九州ネットワーク」は質問書として総務省の見解と釈明を求めたのです。

「携帯電磁波の健康リスクに関する質問書」

質問事項

質問1:「アザラシ・リーフ」の膨大な科学的知見に基づいた基準値とは?
 我が国の防護基準は1997年に「膨大な科学的知見に基づいて」作成されたようですが、この「膨大な科学的知見」とはどのようなものを指しているのでしようか。WHOに電磁界プロジェクトが設置された1996年当時は「科学的知見は空白」と書いてあります。日本とWHOの違いを説明してください。

質問2:国民の健康への危機管理のあり方は、これで良いのか?
 国際的に基準見直しの時期が明示されている時期に、総務省が電波の安全性を強調するリーフレットを発行しているのはなぜでしようか。このような対応が国民の健康への危機管理のあり方なのか。国際的にはWHOも「予防原則の適用」に動いています。総務省は「予防原則」をどう考えますか。

質問3:WHO文書「資料193」の訳文の改ざんか、意図的な意訳か?
 WHOのHPにある「資料193」と「中間報告」に添付された「資料193」の訳文の違いに理由と経過についてご説明をお顧いします。また、「中間報告」にWHOの現在のHPにある「資料193」を添付すれば、「中間報告要旨」の冒頭の文章との間に矛盾が生じますが、これをどう説明されますか。

質問4:「生体電磁環境研究推進委員会」は何のためにつくられた組織か?
「生体電磁環境研究推進委員会」は「中間報告要旨」の冒頭に「電波防護指針」の安全性を主張し、「悪影響は認められない」という認識を表明しています。自らわざわざ研究に対する消極性を印象づけています。総務省が事務局を務めていると思いますが、なぜ、このような書き方になったのでしょうか。現在の「委員会」では国民の支持が得られないと思いますが、この点をどう考えますか。

質問5:WHOが推奨するリスク・コミュニケーションについて
 国民の安全と安心、そして信頼を確立するためには、WHOが推奨するリスク・コミュニケーションが必要だと考えますがどのようにお考えでしょうか?

質問6:『アザラシ・リーフ』発行の目的は何ですか?
 最後に、この『アザラシ・リーフ』発行の目的は何ですか。このようなWHO文書と矛盾し、引用も安全性を誇張した宣伝物をなぜ総務省が発行したのですか。この宣伝物を今後も発行されますか。

実際の質問書には主旨説明が付属してますが割愛しました。しかし、「質問3」についてはわかりにくいので「主旨説明」から抜粋して、以下に補足します。

WHO文書(資料No.193)の原文
With the advent of such devices as walkie-talkies and mobile phones, it has become apparant that few studies address the consequences of localised exposures to RF field to the head.
WHO文書(資料No.193)の訳文;HPに掲載
携帯電話のような機器の登場で、頭部への曝露による影響については、ほとんど研究されていないことが明らかになりました。
総務省「生体電磁環境研究推進委員会中間報告」(2001年1月発表)の「要旨」の中に添付された「WHO資料No.193」の訳文
携帯電話のような機器の登場で、頭部への曝露による影響がいくつかの研究で示唆されていることが明らかになりました。


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