<海外情報>
セルラー・ニュース 2004年3月22日)
(翻訳:TOKAI)
□イングランドとウェールズ対象法案
英国下院議員リチャード・スプリングはイングランドとウェールズに建つ携帯電話中継塔の設置場所を自治体がコントロールできる新しい法案を提出した。スコットランドではいち早く中継塔建設の際、地方自治体に設置場所についての権限を与えており、イングランドとウェールズにも同様の権限を与えようというのが法案の狙いだ。
リチャード議員は中継塔問題に長い間取り組んできており、昨年のこの時期に中継塔建設問題について議会で「休憩討議」するよう要求した。彼の選挙区で多くの住民が基地局アンテナは健康に有害ではないかという不安を抱いているので、彼もこの問題に熱心に関わるようになった。
□予防原則の立場で対処
ウィリアム・スチュワート卿が委員長を務めた政府の「携帯電話独立専門委員会」は2000年5月、基地局計画場所の決定には予防原則を適用すべきだ、と結論づけた。リチャード議員は、基地局から出る電磁波と病気が関係しているという科学的証拠がある、とは主張していない。しかし法案の内容は、どこに基地局を計画するのか許可する際、地方自治体が予防原則を採用することを保証している。
このリチャード法案には、彼の選挙区の自治体当局・下院議員の多く(全会派に及んでいる)・地方自治体連合が支持を打ち出している。
□住民無視の鉄塔建設のケースが多い
この法案を提出するきっかけとしてリチャード議員は次のように語った。
「学校や住宅密集地に中継鉄塔を建設することに地域住民から大きなそしてもっともと思うような抗議が出ているが、それでもそういう場所に建設するケースがいかに多いことか悲しくなるほどだ。また、携帯電話会社は住民の信頼を損なうような目に余るような行動をとっている。」「私はこの問題を調べれるうちに、英国中で同じようなことがいかに多く繰り返されているかを知り、驚きを禁じえない。私は個人的には中継鉄塔と病気やがんが関係している多くのケースを知っている。こうしたケースがいかに多いかは、ほとんどすべての下院議員がこの問題でなんらかの陳情等の依頼をあ受けていることで明らかだ。」
□だからリチャード法案が必要なのだ
スチュワート報告は予防原則を採用するよう勧告したが、現実にはこの原則は無視されている。そこで実行性を持たせるために地方自治体に建設場所選定に大きな権限を与えるというリチャード法案が必要なのだ、とリチャード議員は主張する。「そうでなければ住民の不安はなくならない」と彼は語った。