□5月15日に不許可決定
静岡市の安倍川を縦断に近い形で送電線を通過する中部電力の送電線敷設計画に対し、国土交通省中部地方整備局は5月15日「河川占有許可申請」を許可しない決定を下し中部電力に通知しました。
中部電力が建設申請したのは、安倍川河口から上流約16q遡った地点において駿河変電所から川の鉄塔までの2qにわたって27万5千ボルトの送電線を通すというル−ト。完成すれば静岡市への電源安定供給や東京電力への電力融通が担える、というのが中部電力の言い分です。
□住民は建設に反対
周辺住民は、送電線から出る電磁波の健康影響への不安と景観を害する点、さらに洪水で鉄塔が倒壊するおそれ等から建設計画に反対しています。
中部電力が「河川占有許可申請」を中部地方整備局に提出したのは2002年10月のことです。今回中部整備局が不許可とした理由として、河川内に鉄塔を建設することと河川上空を縦断に近い形で送電線を通過することが「基準を満たすものとは言えない」ことを挙げています。さらに河川や周辺への景観・環境への影響も理由に挙げています。
□中電は処分取り消し訴訟も検討
これに対し中部電力は、住民とは1991年から話し合っておりその結果民家が少なく住民への影響の最小化のル−トを選んだ、と今回の決定に反発しています。
決定が出された翌日の16日から60日以内ならば決定の不服申請ができるが、中部電力は「電力の安定供給のために送電線が必要なのは変わらない」として不服申請することを検討しています。また処分取り消し訴訟も検討の視野に入れています。
5月12日、中部電力は2003年度単独決算を発表しました。内容は前年度3%減でこれで3年連続の減収です。もう事業拡張はせず河川ル−トも断念すべきです。