今回、NTTドコモ九州(以下「ドコモ」と略す)は、福岡県三瀦と無本市捻木の境域住民の要求行動を「工事妨害」呼ばわりし、この禁止を裁判所に申し立ててきた。
住民が住環境を守るため要求を持って行動し意志を示すことは、住民の権利である。住民の主張は、ドコモに対し「企業の説明責任を果たせ」いうことに尽きる。「基地局から発射する電磁波は安全だ」と言うのであれば、ドコモは住民が納得できる説明をすべきであるが、これを逃げている。
いま、携帯電話の電磁波の安全性が問題になっている。人体への影響について未確認であり、現在WHO(世界保健獲関)で調査研究中である。
昨年10月、WHOは送電線などの極低周波電磁波について「発がんの可能性あり」として、各国政府と電力会社に予防的対策を要請した。携帯電話の高周波についても、非熱作用の研究が進む中で、欧米では予防的な措置の採用が広がりつつある。ドコモがこの国際的な動きを無視し、何らの予防的な対応も示さず中継塔を建設することに住民が不安を感じるのは自然なことである。
現実に、携帯電話の基地局建設に反対する住民運動がどんどん増え続けている。当ネットワークで把握している九州内での40ヶ所余のなかで、最近増えて未解決なのは、ほとんどドコモである。
三瀦では移転を要望する住民に、ドコモは条件と期限を定めて候補地を探させている。期日に間に合わなければ「現候補地を了承のこと」という脅し付き。住民は約束をまもり代替え地を提示したにもかかわらず、その後も意味不明の要求で振り回し、挙げ句の果ては、決裂と称して工事を強行してきた。
楡木ではドコモは、住民の説明会開催の要望を無視し、「住民説明を済ませた」と虚偽の報告を行い建築確認を取得していた。熊本市から指導要領違反により指導を受け説明会は開いたものの、住民の疑問に答えないまま一方的にうち切り、工事を強行してきた。住民はドコモの説明会の中に事実に反する説明を見つけて指摘し、再説明会の開催を要求。一度拒否されたが、再度要求中であった。
今回の三瀦と楡木へのドコモのやり方は、一貫して住民の努力も人権も無視し、企業の説明責任を放棄し、トラブルを避けようという努力すら行わず、住民の要求行動を「工事妨害」にすり替えたものである。これは、不誠実さを棚に上げ、ドコモ自らの非を住民に転嫁し、反対住民の分断を狙った陰湿な住民いじめである。この企業体質こそ糾弾されるべきである。
今回と同じような住民いじめを九州各地のドコモ基地局周辺の住民が受けている。今回の三瀦と楡木への攻撃は、基地局間題で立ち上がっている住民運動全体にかけられた攻撃であるごこのことをみんなで確認し、三瀦・楡木の住民を支援し、住民の正当性が認められるよう、ともに間うことを誓う。
最後にドコモに告ぐ!このように企業の営利のために住民の人権を無視するやり方は、国民を敵に回すことであり、企業にとってプラスになることは何もない。このことを自覚する時が必ずやってくる。
ネットワークは、このドコモの不当性を広く全国に訴え、完全勝利まで怒りの炎を絶やすことなく粘り強く闘うことをここに宣言する。
2OO2年2月16日
中継塔問題を考える九州ネットワーク
緊急集会参加者一同