<海外情報>

(抄訳 TOKAI)
マイクロウェ-ブ・ニュ-ス2002年1〜2月号より

映画『オ−シャンと11人の仲間』にみる時代の変遷


□フランクシナトラとジョ−ジクル−ニ−
 いま日本で公開されている映画『オ−シャンズ11』(スティ-ブン・ソダバ-グ監督)は米国では2001年にロ−ドショウされた作品だ。ジョ−ジ・クル−ニ−、ブラッド・ピット、ジュリア・ロバ−ツと現在のハリウッド映画界の人気スタ−が登場する話題の映画だ。
 オ−ルドファンならおわかりだろうが、この映画は1960年に公開された『オ−シャンと11人の仲間』のリメイク版である。前作はフランク・シナトラはじめ当時のビッグスタ−が競演し話題を呼んだ。

□どのように“電源を切る”か
 カジノから金を奪ったり、アラ−ムの電源を切ったり、監視ビデオカメラのパワ−を切るとき「電源を切れ(Turn off the lights)」という言葉がこの映画でしばしば使われる。
 1960年の作品ではシナトラとその仲間のギャングはラスベガスに電気を供給する送電線鉄塔を爆薬で倒すことで「電源を切る」方法をとる。
 2001年の作品を作ったスティ−ブン・ソダバ−グ監督はそれではあまりにもロ−テクだと感じ、ハワイのワイキキビ−チの通りの灯りが太平洋上で1962年に行なわれた核実験が原因でミステリアスに消えたことをアイデアを取り入れた。そこで、ジョ−ジ・クル−ニ−をボスとするギャングはある研究所からポ−タブルなEMP(電磁パルス)発生機を盗み出し、EMPが作動している間ラスベガスを暗くするという作戦を映画に取り入れた。

□EMPはいまや“常識”?
 新旧作品のもう一つの明白な違いは、1960年版では盗まれた大金はほとんど炎上してしまうが、リメイク版ではクル−ニ−は美女(ジュリア・ロバ−ツ)と共に戦利品を持って逃げてしまう。
 ハリウッドの映画ライタ−とってはEMPはもはや驚くことではない。
 1995年のジェ−ムズ・ボンド映画『ゴ−ルデンアイ』は、電子機器を不能にするために衛星を利用してEMPを使うロシアの殺し屋と007が闘うスト−リ−だ。
 その翌年に公開されたア−ノルド・シュワルツネッガ−主演の『イレイザ−』ではEMPガンで武装した企業や政府の殺し屋と主人公が闘っている。
 同じ年の1996年で『ブロ−クン・アロ−』や『Escape from L.A.』でもEMP兵器が登場している。


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