□国際がん研究機関の2Bランクが引き金
WHO国際EMFプロジェクトの今回の勧告は、6月27日発表の1ARC(国際がん研究機関)評価ワ−キンググル−プによる極低周波電磁波を「2B(発がん可能性あり)」とランク付けしたことに基づいて出された。
□3年前と様変わりの見解
3年前の1998年にWHO国際EMFプロジェクトは極低周波電磁波についてのファクトシ−トを発表したがその時のファク
トシ−トは今回と全く別の見解だった。というのは、その時
は「ICNIRP(国電離放射線防護委員会)が勧告した曝露基準以下では一般人(住民)に対する特別な防護方策は全く必要ない」としていたのだ。
ICNIRPは以前から“企業より”と批判される立場の見解が多い民間機関だが、ここの基準は電磁波の刺激作用や熱作用といった急性の健康被害に対してのレベルの基準で、がんなどの非熱作用によるリスクは考慮していないものである。その時のEMFプロジェクト責任者マイケル・レパチョリ(Michael Repacholi)は「各国政府に慎重なる回避を勧告することはWHOの任務でない」と言っていた。その点では今回の勧告は、WHOの「政策大転換」と言っていい。