□電磁波反対の市民団体ができている
ドイツには、電磁波スモッグを問題にしている市民団体「ビュルガ−ヴェレ」(Buergerwelle)というNPOが1998年2月に結成され活動している。「ビュルガ−ヴェレ」とは“市民の波”の意で、メンバ−は3千人以上を擁し、年間予算2万5千マルク(1万八百ドル=約130万円)でしっかりした団体である。
「ビュルガ−ヴェレ」は、携帯電話や中継基地局から出る電磁波は不眠症やがんなど広範囲の健康障害を引き起こすとして、訴訟を提起している。
□ドイツテレコム相手に勝訴のケ−スも
「ビュルガ−ヴェレ」のメンバ−とそれ以外の市民が合同で、フランクフルト郊外の教会に建つ中継アンテナからの携帯電話用電磁波の発信を「ドイツテレコム社」に止めさせる訴訟を起こした。そして1999年9月、ドイツ初級裁判所で勝訴判決を勝ち取った。
「ビュルガ−ヴェレ」は、ドイツ内の約200の中継基地局建設の阻止に成功していると語っている。
□リ−ダ−は44歳のツヴェレンツ
「ビュルガ−ヴェレ」のリ−ダ−はバイエルン州出身のジ−クフリ−ト・ツヴェレンツ(Siegfried Zwerenz)で44歳の男性だ。彼は「携帯電話から世界を守り、携帯電話中継基地局による健康被害をこれ以上許してはならない」と語っている。
「ビュルガ−ヴェレ」はドイツの市民団体だが兄弟関係にある市民団体は、スイス・イタリア・ルクセンブルグ・オ−ストリアにもある。
□反対の波は英・スイス・伊でも
携帯電話電磁波が人体に有害であるという証拠はいまのところ確定しているわけではないが、中継基地局建設に反対する運動はドイツだけでなく、英国・スイス・イタリアでも広がっており、建設のピッチを鈍らせるおそれが存在している。
表面的には、ドイツの通信会社はビュルガ−ヴェレなど反対運動の影響などない、という姿勢でいるが実際はそうではない。