□疫学雑誌に発表される
「スイス鉄道従業員の白血病・脳腫瘍と極低周波電磁波(ELF−EMF)被曝」と題する論文が、『アメリカン疫学ジャ−ナル』(American Journal of Epidemiology)5月10日号に掲載された。執筆者はC.E.ミンダ−(Minder)とD.H.プフルガ−(Pfluger)の二人。
□高被曝者と低被曝者を比較
二人の研究者は、高被曝者と低被曝者を職種別に比較した。高被曝者は職種では鉄道保線技術者で平均で25.9μT(マイクロ・テ周波磁スラ)=259mG(ミリガウス)被曝する労働者係」に新たな証で、低被曝者は職種では駅長で被曝量は1μT(10mG)である。
内容をみると、「白血病の死亡比率」は高被曝者(鉄道保線技術者)が2.4倍(95%信頼区間:1.0−6.1)で、「脳腫瘍の死亡比率」は高被曝者(操車場技術者が実に5.1倍(95%信頼区間:1.2−21.2)だ。95%信頼区間はともに1以上をクリア−しており疫学的に有意である。
白血病と脳腫瘍の死亡比率のこのような数字は次のように評価される。
1μTの被曝を何年も累積して受ければ10μT以上の磁場を受けるのと同じ効果となる。
□10μT以上はとくに数字高い
10μT(100mG)以上の被曝下で何年も過ごした時は影響が特に強い。その増加率は白血病の場合、1年につき62%であり95%信頼区間は15−129で有意であった。ただし脳がんリスクでは「投与−反応関係」(被曝量に正比例する関係)は成立しなかった。
今回のスイスの疫学研究は「極低周波磁場高被曝と白血病の相関関係」に新たな証拠を提供するものである。
スイスの鉄道は162/3(16と3分の2)ヘルツを使っており、もちろん交流である。
☆<電磁波問題市民研究会からのコメント>
鉄道関係者に電磁波の影響が高く出ることは以前から疫学調査で指摘されていたが、今回また高い数値の証拠が出たことになる。鉄道沿線にある鉄道変電所は特に要注意である。