総務省にSARの法制化に対する意見を提出

人体側頭部のそばで使用する携帯電話端末等に対する電波防護規制の導入に係る、無線設備規則及び特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則の改正案に対する意見

 携帯電話・PHSで使われるマイクロ波は、「熱効果」が強くかつ頭部に密着させて使用するので携帯電話等から放射される電磁波の約半分が人体頭部内に吸収されるといわれいます。そのことによる人体への影響はまだ不確定ですが、なんらかの生物学的効果がある可能性は否定できません。
 しかもマイクロ波の領域は「熱集中点(ホット・スポット)領域」と呼ばれるように、局所的にエネルギ−が吸収されやすい性質をもっています。高周波がどれだけ生体組織に熱吸収されるかをみる尺度として、「全身平均(エネルギ−)吸収比(全身SAR)」と「局所における吸収比(局所SAR)」がありますが、携帯電話等の電磁波では「局所SAR」が特に問題となります。さらに生体への熱吸収比は、「生体組織10gあたり」と「組織1gあたり」の二種類がありますが、脳組織10gは直径3pの球、脳組織1gあたり直径1.4pの球に相当します。またホットスポット現象は場合によれば0.5pの球以下にに絞られる可能性があります。そのため「組織1gあたり」がベタ−といえます。しかも組織10gあたりと組織1gあたりでは携帯電話の場合、1gあたりの「局所SAR」の方が10gあたりより3倍もSAR値が大きくなります。
 SARについてもうひとつ留意しなくてはならないのは「局所ピ−クSAR」か「局所平均SAR」の違いです。携帯電話の標準的な使用方法と最悪ケ−スの使用方法(アンテナが頭に触れて使用するケ−ス)を比較したスイスのクスタ−論文では、SAR値で10倍以上の差が出ています。米国では「局所ピ−クSAR」を採用していますが、日本では「局所平均SAR」をガイドラインで採用していますが、この際「局所ピ−クSAR」に改善すべきです。
 なお、SAR値を法制化してもそれが携帯電話等利用者に周知徹底されねば意味がありません。利用者が携帯電話等を購入する前に製品によってSAR値の違いが比較できるような具体的措置が必要です。すなわち宣伝段階でSAR値はわかりやすく公表し、かつ説明書はもとよりパッケ−ジ箱にも明瞭に表示するよう義務付けることが大切です。
 以上の観点を踏まえて以下要望します。