海外情報

(抄訳 TOKAI)
マイクロウェ-ブ・ニュ-ス2001年3〜4月号より

遂にマイクロ波兵器ベ−ルを脱ぐ

射程距離200m、群衆用に“殺さず、焼くような痛み”で制圧する

<写真:トラック掲載の移動用マイクロ波兵器の例>
(ペンタゴンの計画で実際は明らかにせず)

☆噂は本当だった
 米空軍(USAF)は「群衆統制用」にミリ波を利用したマイクロ波兵器を開発したこと、を3月1日のペンタゴン(米国防省)報告で明らかにした。
 「この革命的技術は致死兵器の代わりに貢献する」と共同非致死兵器計画の責任者である海兵隊ジョ−ジ・フェントン大佐は報告書で述べた。
 軍が「行動否定技術」と呼ぶこの兵器は細いビ−ムエネルギ−を数百ヤ−ドほど飛ばす。そのビ−ムは人間の皮膚下1/64インチ(約1/21p)以内にしか入らず皮膚表面だけ熱作用を及ぼすというもの。ペンタゴンは20年以上流布されてきた「マイクロ波兵器」の噂の実在を最終的には認めたものの、マイクロ波兵器の詳細つまり電磁波の周波数・ミリ波発生源の出力・兵器の有効範囲といった重要なことは明らかにしなかった。

☆百kW、95ギガヘルツの電磁波を使う
 だが、「人権監視」団体上級アドバイザ−のウィリアム・ア−キンは「送信機の発生源は100kWで95G(ギガ=10億)ヘルツで操作される」と語った。
 バ−モンド州サウスポンフレットで活動するア−キンは「大雑把な計算で、射程距離は約200メ−トル」とみている。

☆“電球を触った程度の痛み”というが
 USAFは熱に誘因する痛みは「ふつうの電球を少しの間触った程度」で「ビ−ムに繰り返し被曝すると皮膚がやわらかくなるが持続的影響はない」と言っている。
 昨年『健康物理学』(Health Physics)でテキサス州サンアントニオのブルック空軍基地研究グル−プがミリ波の人体への影響について発表したレビュ−論文は、「(ミリ波を)目と皮膚に照射されると被曝を感じるが、熱による被害を被る前に避けられるので大部分は自己制御できる」と結論づけている。そして「温度上昇の95%は94ギガヘルツのラジオ波を被曝することで起こるが、それは皮膚の1.2oの部分で起こる」としている。
 ブルック基地の「誘導生物影響部門」のチ−フであるマイケル・マ−フィ博士は、「ミリ波技術研究を多く実施したが、有害な健康影響は見られなかった」と3月1日の記者会見で述べた。

☆2009年に配備予定
 ワシントンのウォルタ−リ−ド陸軍調査研究所の前マイクロ波研究部門長エドワ−ド・エルソン博士は「(このミリ波を当てても)身体ダメ−ジが出るまで痛みの知覚がないから群衆統制効果はないし一方で危険である。1970年代から軍はマイクロ波兵器開発を考えているが、私たちはそれは努力する価値のない悪い考えだと判断した」と手厳しい。軍は時期にふれていないが、多くの報道は「マイクロ波兵器配備は2009年になろう」としている。
 群衆をコントロ−ルするマイクロ波兵器はDIA(国防情報機関)の機密報告書で、1976年に初めて出た。以来25年間この兵器は噂されてきた。
 軍は過去10年間で約4千万ドル(約45億円)この技術に費やされたというが、エルソンはそんな少なくないと見ている。バックにはレ−ダ−を開発した「レ−セオン社」と空軍の軍産共同体が蠢いている。


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