□電磁波はリスクありとしている
EPA(米環境保護庁)は「EMF(電磁場)によるがんリスク評価」草稿(ドラフト)を提出した。日付は1995年9月8日のもの。
内容は「いくつかの研究結果からすると小児白血病や脳がんと居住での持続的な磁場被曝による影響との間に一定の関係が存在する。この関係は、いろいろな国で時期や研究方法を変えても認められるので、研究のやり方が人為的だとか偶然出た結果ではないといえる。」とEMF(この場合は低周波)のリスクを肯定している。
□「まぼろしのEPA報告」といわれた
EPA(環境保護庁)は1986年から電磁波の発がん性評価の作業を始めた。そして1990年に「EMFは発がんの可能性あり」のリスクランクを実務部隊は決めたがEPA上層部により却下された。その後も断続的に報告書作成作業は続けられ1994年と1995年にEPA報告書のドラフト(草稿)が作成されたがいずれも草稿どまりで終わった。94年ドラフトは1998年にコピ−が発表されたが、今回95年ドラフトがようやく5年以上経って提出されたのである。
□上院での質問でようやくEPAは出した
1995年ドラフトはウィスコンシン州選出のラッセル・ファインゴールド(Russell Feingold)上院議員が昨年11月にこの問題の調査を上院で求めたため、今年1月18日にEPAが提出して明らかになった。
ドラフト作成担当のロバ−ト・マックゴーイ(Robert McGaughy:EPA環境評価センター)博士は「議会に提出はしても一般に配もりはない」とし、ドラフトどまりで報告書が完成することはないとした。
□1990年当時より「関係強まっている」
EPAは1996年以降報告書作成作業を止めた。その理由は1995年当時の状況の変化にある。95年には「ラピッド計画」が本格化しEPAはずしの動きが米議会筋であったことと、NAS・NRC(米科学アカデミー・研究評議会)が報告書を作成中(96年発表)だったことが大きく作用している。そんな時にEPAから「リスクあり」とされてはたまらない、とする圧力がEPAにあったのは想像に難くない。
1996年当時、マックゴーイは「電磁波とがんの関係は、1990年の時より強まっている」と語っていた。