(ここに示された文章は、<アイシスラテール2003.春号>より、電磁波問題市民研究会が抜粋したものです)

暮らしの中の電磁波汚染から身を守る

ケータイ・パソコン・電化製品は大丈夫?

「何となく気分がすぐれない」という症状に始まって不眠症、記憶障害、最悪の場合にはガンなどの発病によって死に至るとされる「電磁波汚染」。欧米ではすでに「電磁波は21世紀の公害」という認識が主流になっています。「まさか…」と思うかもしれませんが、謙虚にこれらの警告に耳を傾け、電化製品とのつきあい方を見直してみてほしいのです。
文部科学省(旧・科学技術庁)がWHO(世界保健機構)からの要請を受け、1999年から行っていた疫学調査の結果が「0.4マイクロテスラ以上の電磁波で小児白血病のリスクが2倍以上」と出たことから、日本でも電磁波汚染への関心が急速に高まっています。

0.4マイクロテスラという値は、蛍光灯の真下20〜30センチ付近の強さ。すでにWHOの下部機関であるIARC(国際ガン研究機関)は、調査の対象となった電磁波(極低周波)を「人に対して発ガン性の可能性あり」にランクづけしています。


不眠、多痰、関節痛、そして・・・「電磁波過敏症」の患者の深刻な訴え

「電磁波被害者クラブ」を結成した女性は、今回の調査結果について「『何を今さら』という気持ちです。調査がもっと早ければ、転居もせずに済んだかもしれないし、夫も無事でいたかも…」と悔しそうに語ります。
 転居前、その家では実測値で30ミリガウス(3マイクロテスラ)もの電磁波にさらされていました。高圧送電線の真下に位置するこの地区では、これまでわずか12軒で7名もの人が肝臓ガンで死亡。ご本人も、気がつけば不眠、膝の痛み痰がたまるなど、電磁波汚染特有の症状に悩まされていました。
 隣近所で「おかしい」と話し合ううちに、ようやく電磁波汚染の存在を知ったのです。現在(2002年12月)この地区の送電線移設を懸命に働きかけていますが、文科省の調査結果が明らかになったこの期に及んでも「50000ミリガウスまでの磁界では有害で再現性のある影響は認められない」と電力会社はくり返すだけとのこと。


電磁被汚染かとくに心配なのは[極低周波」とマイクロ波

 さて電磁波は、もともと自然界に豊富にあるもの。太陽から地球には、あらゆる種類の電磁波がシャワーのように降り注いています。ただしX線や紫外線など、有害な電磁波は大気中の水蒸気やオゾン層によって一定以上は生物圏に届かないよう、地球が守ってくれています。
 これらさまざまな電磁波の関係を示したものが、115ページの図ですが、いわゆる「電磁波汚染」として最近とくに問題になっているのは、送電線や家電品から発生している50〜60ヘルツ前後の「極低周波」と、携帯電話を中心に普及が著しい1.5ギガヘルツ前後の「マイクロ波」です。これらは自然界に存在する量が極めて少なく、人類がこの100年近くの間に送電や通信目的で人工的に作り出してきたのが特徴。
 今、生物圏は、人が作り出した不自然なものによって未曾有の不安にさらされていますが、電磁波もまたその不安の要因として危惧されています。


ヨーロッパでは政府も公認!携帯電話の脳へのリスク

 携帯電話のマイクロ波は、長期間使用することによって遺伝子損場や脳腫瘍を引き起こす可能性が疑われています。たとえば、アメリカのレイ・ティス博士とグレイアム・フック博士は1999年、3機種の携帯電話を使ってヒトの血球にマイクロ波を24時間照射する実験によって、染色体の損傷を確認しました。
 スウェーデンのレナード・ハーデル博士が翌年発表した報告は、もっと衝撃的です。腫瘍の部位がわかっている脳腫瘍患者198人のうち、常時携帯電話を使っている側に腫瘍ができる確率は、2.4倍だったというのです。ヨーロッパ各国はすでに、こうした携帯電話の健康リスクへの予防策をこうじ始めており、フランス政府は昨年、16歳未満の子どもに携帯電話使用を制限することや、成人にもイヤホンとの併用、妊産婦は本体を腹に近づけないことを勧告しました。
「携帯電話は、消費者がリスクについて十分知らされないまま広まった商品。あくまで『緊急用』と割り切って1分以内に切り、なるべく公衆電話を使ったり、イヤホンを併用するなどの自衛策が必要」と語るのは、「電磁波問題市民研究会」事務局長さん。イヤホンによって、電磁波の脳への影響は約20分の1に下がるといいます。
 携帯電話ではもう1つ、日本中に建設されているアンテナ(基地局)からの電磁波汚染も見逃せません。神奈川県に在住の男性とその母が住むマンションの屋上に、見慣れぬアンテナが建ったのは約4年前のこと。それから半年後、2人には頭痛、睡眠障害、記憶障害など、さまざまな原因不明の症状が現れました。
 問診の結果、2人はともに「電磁波過敏症」と診断されました。住んでいる6階の部屋にコンクリートを突き抜けて、電磁波の影響が及んだらしいのです。転居した今も、蛍光灯の下や電柱のトランスの下などでは肌がチクチクと痛み、重圧感を感じると訴えています。


「夢の21世紀」は電磁波だらけわが家できる予防対策?

 前出の電磁波問題市民研究会事務局長さんは、パソコンや家電品についても「これだけ統計的に有害と見られるデータが集まっているのだから、市民の側も「予防原則」で臨んでほしい」と呼びかけます。たとえば中古パソコンは、電磁波の漏洩基準が甘いので使うべきではありません。最新機種でも、家電品と連動したリ無線でインターネットできる「ブルートゥース」という技術に、電子レンジとほとんど同じ2.4ギガヘルツのマイクロ波が使われています。
 キッチンでは「火を使わない」と評判の電磁調理器がとくに問題です。周波数は20〜30キロヘルツと、電子レンジとは異なる原理で加熱するのですが、最大で1800ミリガウス、通常の調理する位置で約30ミリガウスもの電磁波が発生しています。電子レンジを含め、これらの調理器具は使わないほうが賢明です。
 ほかにも、家電品ではこまめにプラグを抜く、使用時間を減らすなどの工夫が必要です。電磁波対策が比較的進んでいるヨーロッパの家電品を買うという選択肢もあります。EUでは1996年の「EMC指令」によって厳しい電磁波規制が導入されていて、掃除機などこれら「CEマーク」の付いた家電品が、日本でも低電磁波商品として販売されています。
 これからの日本の家電各社には「高性能」や「新生活」だけではなく、何よりも電磁波対策を求めたいものです。私たちも家電品を購入したり買い換える際には、電磁波の害がより少ない製品を応援していきたいものです。


日本の住宅の電磁波対策は遅れている!

 日本の住宅では、クモの巣状に家屋を包むように電気が配線されていることが大きな問題」と語るのは、「日本パウビオロギー研究所」の代表。改築・新築できないまでも、せめて家電品にアースをする、コードレスホンやリモコンを使わない、などの対策を徹底したいものです。
 地磁気の影響も無視できません。地磁気は、電磁波と異なる静磁場で、一般には人体に無害とされていますが、場所によっては自然界に存在する電磁波と相乗作用がはたらき、思わぬ悪影響を人体に与えかねません。中国で風水などが発達したのも、古代人がそのような現象を知っていたためとも考えられます。


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