石川逸子さんの詩
子どもたちの墓地
子どもたちの墓地
石川逸子
バスラ 子どもたちだけの墓地
あの子は ピンポイント爆撃で 真っ黒に焼かれて
あの子は 戦車からのそれ弾にあたって
(もう 聞こえない わらいごえ はずむ足音)
バスラ 子どもたちだけの墓地
あの子は 飛び散った放射能で 白血病を病み
あの子は 飢えで 顔も頬もしわしわに縮み
(もう 聞えない わらいごえ はずむ足音)
バスラ そんな墓地にひびく わらいごえ
二〇〇二年一二月 墓石によりかかり はにかむ子どもたち
とりどりの服 とりどりの夢
(あと三ヵ月後の 砲撃もしらず)
バスラ 子どもたちだけの墓地
また ふえた 墓石 また ふえた 嘆き
どれだけ無事だったの ビデオに写った子どもたち
(もう 聞えない わらいごえ はずむ足音)
バスラ 子どもたちだけの墓地
あの子たちの たった一人の顔もしらずに
遠い地からはるばる 一人の男は攻撃命令をだしたのだね
(もう聞えない わらいごえ はずむ足音)