[投稿]小学校学習指導要領案 愛国心教育は、「天皇への敬愛の念」まで要求
和歌山の英語教員の方の投稿『また教科書に墨を塗らせたいのか』で、文部科学省へ改訂意見(パブリック・コメント)を送るよう提起がありましたので、私も以下のような意見を文科省に送りました。みなさんも是非送って、改悪教基法の学習指導要領への反映を食い止めましょう。
2008.2.29.大阪Na
小学校学習指導要領案について
私は四人の子どもを育ててきました。一番年下の子どもは今小学生です。どのような教育が子どものためになるのかを日々模索しつつ、学校とも緊密に連携しながら、子どもとの毎日を過ごしています。
今回改定された学習指導要領案の第1章総則に「生きる力をはぐくむことを目指」すと書かれていますが、これに関しては、私も大賛成です。しかしながら、第2章第1節国語の第3の3の「(2)教材は、次のような観点に配慮して取り上げること。」という項目に、「日本人としての自覚をもって国を愛し、国家、社会の発展を願う態度を育てるのに役立つこと」とあり、また第2章第2節社会の3の(2)に「天皇についての理解と敬愛の念を深めるようにすること」とあります。
国家によってこのような内容が盛り込まれたことに、私は重大な危惧を感じます。私の父母、子どもたちにとっての祖父母は戦時中に小中学生として教育を受け、天皇を敬愛する愛国心に満ちた軍国少年・少女でした。当時小学生であった父の日記には、例えば次のような一節があります。「鬼畜米英を地球上より徹底的に葬り去れといふ通り我々は宮様の為死なう。」そう書いた父の文章に対して、担任の教師は「感心な覚悟です。」というコメントをつけていました。小学生が「死のう」と述べているのに対して教師がこれをほめたたえているのです。なんと恐ろしいことでしょうか。しかしながら、「国を愛する」ということは、このように、個人がそのために自己犠牲を払うこと、極端な場合には「死ぬ」ことまでが奨励されてしまうのです。
私は自分の子どもにこのような教育を受けさせたくありません。戦時中に「天皇が神で絶対に正しい」「日本は神の国で戦争に絶対に負けない」と思い込まされていた私の父母の二の舞をさせたくはありません。
さらに言えば、子どもたちの通っている学校には、日本国籍の子どもたちだけが通っているわけではありません。とりわけ、日本がかつて植民地として征服して無理やり「日本人」にし、敗戦と共にまた日本の都合で日本国籍を剥奪した人々の子どもたちに「日本人としての自覚をもって国を愛」させるとはどういうことでしょう。かつて日本が植民地化して彼らのアイデンティテイを奪った愚を再び犯すのでしょうか。子どもたちどうしの絆を「日本人としての自覚」があるかどうかで分断してしまうことになるこのような記載を削除してほしいと考えます。
文部科学省への意見(パブリック・コメント)の送り方
指導要領改訂案の本文その他関係資料は、
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/080216.htm
改訂案への意見(パブリック・コメント)募集は、http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/02/08021505.htm
・意見募集期間は2008(平成20)年3月16日(日曜日)必着。
・意見提出方法は、電子メール(kyokyo@mext.go.jp)、FAX(03-6734-3734)、郵送は〒100-8959 東京都千代田区霞が関3-2-2 文部科学省初等中等教育局教育課程課教育課程企画室宛。
・「意見公募要領」を熟読のこと。たとえばメールのタイトルは:「学校教育法施行規則の一部を改正する省令案について」、「幼稚園教育要領案について」、「小学校学習指導要領案について」、「中学校学習指導要領案ついて」のいずれかを明記。1メール1意見、1枚1意見の原則で、複数の論点について意見を送る場合には、論点ごとに別に送る。