[投稿]日本軍「慰安婦」証言集会に参加して

 先週の土曜日、ふたりの日本軍性奴隷制度被害者の証言を聴きに行った。(11月17日 クレオ大阪中央『日本軍「慰安婦」問題の解決を求める全国同時集会 in 大阪−−今 聴こう真実の声を! ハルモニから引き継ぐもの』)

 李マクタルさんは85歳。17歳の時、「工場で働こう」と騙され、台湾へ連れて行かれたとのこと。
 「殴られて、殴られて」
 この言葉をマクタルさんの口から何十回聞いただろうか。連れて行かれるときに抵抗して殴られ、性行為を強要されるときにも殴られ、軍人からも、慰安所の主人からも殴られ。被害女性の証言で「殴られる」という言葉は必ず耳にするが、マクタルさんの証言はその言葉に言い尽くされていた。こういうふうに一方的に完膚なきまでに殴りつくされるというのは、尊厳の全否定なのだということを、今更ながらにして思う。「慰安」という言葉は日本軍兵士の側からの勝手な言い方で、やはり客観的には「奴隷」という言葉が適切だろうし(しかしこの言葉も被害女性の前ではとても使う気にはなれないだろう)、逆の意味では「慰安」という言葉がこのねじれた差別構造を皮肉と嫌悪と自己批判を込めて表現していると思った。
 そして直接的被害よりも当然だが、このところ戦後の苦しみを重く感じてしまう。数年の被害体験が被害者の人格を否定し、その後の長い人生を全て否定してしまう。取り返しのつかない加害だということを、ひしひしと思う。

 吉元玉(キル・ウォノク)さんの発言はとても気高かった。
 「あった過去がなくなるわけではない。いつかは明るみに出る。今、一年に数十名ずつ(被害女性が)亡くなっていっているが、一人残らず亡くなれば終わるのか。そうではない。
 真実はいつか明らかになる。いつか明らかになるのであれば、今それをしなければならない。今しなければ後の世代が苦労をする。
 私たちは個人に強姦されたのではない。国にされたのだ。だから謝るのも、個人ではなく、国だ。民間基金などあり得ない。政府が反省し、賠償するようにしてください。
 私たちは今ここにいるのだから、今謝罪して欲しいです」

 数年前にも吉元玉さんの証言を聴いたことがあったが、そのときの印象と全然違っていたので驚いた。吉元玉さんは今では、世界各地を巡って証言し、問題解決を訴えておられる。被害女性として名乗り出られて、証言し行動する体験の中で、被害回復が実現されてきたということなのだろう。一回りも二回りも大きくみえた。数日前まではヨーロッパの議会で証言し、韓国にはたった一日帰っただけで訪日したのだという。この小さい身体のどこにこれほどのバイタリティが潜んでるのかと思うが、彼女の高齢を思えばやはり心が痛む。

 問題解決に向けて私にどのようなことが具体的に出来るのか、このところ思案している。裁判は不当判決続き、政治解決に向けても糸口がみえず、次の一手は何があるのか。こんな状況だからこそ、身近なところから地道に働きかけ続けることが大事だろう。
(2007.11.23.D)