4月中にも採決が! 危険きわまりない国会情勢 実はこの間、「共謀罪」は国会での審議再開が見送られたかのような報道が、ひっそりと行われ、今国会での審議再開は無いかもしれない、そのような思いさえ抱かせるマスコミの扱い方でした。ところが実際には、最悪の場合、何と4月7日に国会審議再開、その後委員会採決を野党欠席のまま強行する可能性もあると言われており、事態はきわめて切迫していることが明らかとなりました。 与党は、開店休業状態の民主党を抱き込むために、「対象を(暴力団などの)組織的犯罪集団に限ることを明記」「客観的な準備行為を要件に加える」といった、まやかしの「修正」で一気に強行しようとしています。 話し合っただけで逮捕! 思うがままの治安弾圧をもたらす「共謀罪」創設 「共謀罪」創設は、憲法を頂点とする刑事関連法の根本原則−−犯罪とは一定の法益を侵害する具体的な行為であり、行為に対して処罰を加える−−をかなぐり捨てるものです。具体的な実行を伴わなくとも、犯罪となるようなことを単に考えたり、言葉に出したりしただけで逮捕したり、裁判で処罰を加えたりできるようにする刑法の根本的改悪法案なのです。こんな法律が決まったら、市民生活はむちゃくちゃです。 「国会議員どもをぶん殴ってやろうか、くだらん法律ばかり作りやがって・・・」−このように仲間内で冗談をいったつもりでも、充分に警察による逮捕の口実となってしまいます。実際に殴らなくとも言葉にしただけで捕まってしまう、それが「共謀罪」の怖ろしい所です。常に警察に言動を監視され、「悪いことは何もしていない」のに捕まる、まさに「物言えば唇寒し」の、監視・スパイ・密告社会が到来する危険が間違いなく強まります。 憲法改悪の先取りとしての「共謀罪」 またこの法律は、どこから見ても憲法違反です。憲法の保障する「思想および良心の自由」(第19条)、「集会・結社・表現の自由、検閲の禁止、通信の秘密」(第21条)、「奴隷的拘束および苦役からの自由」(第18条)、等々。また何よりも「基本的人権−個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利」(第13条)に違反していることは明らかです。 憲法改悪、教育基本法改悪、これと並んで刑法の換骨奪胎、行為抜きの「思い」だけで犯罪とし、処罰する刑法への根本転換が行われれば、単に個々人の生活が激変させられるだけではありません。イラク反戦、反米軍基地・反自衛隊の運動、労働組合運動、反原発運動、環境保護運動、などなどありとあらゆる反体制や反権力や反政府の運動・団体はいつでも勝手気ままに警察権力の治安弾圧にさらされることは必至です。こんな法律を絶対成立させることなどできません。 実体がわかればみんな反対。ひとりでも多くの人々に真実を語ろう! 私たちは、この「共謀罪」法案の危険な本質を知る人は皆、必ず反対せざるを得ないと確信しています。ぜひこの講座に参加して、「共謀罪」への理解を共に深めましょう。そして私たちの周囲の人一人一人と話をして、「共謀罪」創設は絶対許さないという声を広げて行きましょう。皆さんの参加を心よりお待ちしています。 ※「共謀罪」採決が切迫している危険を考慮して、講師の了解を得た上、主催者の一存で急遽「共謀罪」についての講座に変更しました。ご理解ください。なお、「基本的人権と憲法改悪〜『公共の福祉』から『公益』へ」(弁護士 冠木克彦さん)は、第4回(6月4日)となります。よろしくお願いします。 弁護士 永嶋靖久さんのプロフィール 1955年生まれ。1984年より弁護士登録(大阪弁護士会)。1989年 枚方法律事務所開設。大阪労働者弁護団所属。在韓被爆者郭貴勲さん裁判で主任弁護人を勤める。最近では扇町公園住民登録事件などを担当。現在、共謀罪問題に精力的に取り組んでいる。
2006年4月2日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局 <案内チラシダウンロード(pdf 42KB)> |