(1) 第二次集約に集まった小泉首相宛有事法制反対署名は、大阪の事務局に寄せられた2,862名、東京分104名、合計2,966名になりました。廃案の意思表示を込めて、早速この署名を7月23日に衆議院議長に提出しました。今回の提出でも、第一次提出行動でご尽力いただいた社民党の東門美津子衆議院議員にご協力いただきました。5月29日の第一次提出行動の8,513名分と合わせ、総計11,479名分になります。法案が国会に提出されてから3ヶ月、実質審議はわずか2ヶ月。短期全力疾走の慌ただしい、厳しい闘いでした。本当にありがとうございました。 有事法制反対の今回の取り組みほど、私たち市民一人一人が声を挙げることの大切さ、力強さを実感したことはありません。政府与党の強引な採決を前にして、全国津々浦々の人たちが様々な格好で意思表示をしました。私たちの11,479名はその一部に過ぎません。署名だけではなく、メール・電話・FAXなどの抗議行動でも、国会審議の重要な局面で皆さんの積極的なご協力を得ることが出来ました。その結果、議会・永田町で圧倒的な力を持つ政府与党の厚い壁に対抗することが可能になり、有事3法案の強行採決を出鼻で挫くことが出来ました。彼我の力関係から見れば、明らかに緒戦での「勝利」です。私たちも含めて、全国各地、様々な市民運動の皆さんが、次の闘いの足場を築いたのではないでしょうか。 (2) しかしまだ闘いは始まったばかりです。廃案に追い込むことは出来ませんでした。与党3党は失地挽回を果たすべく悪知恵を働かそうと躍起です。7月23日、有事3法案について今国会での成立を断念し、継続審議とすることを正式に決定しました。その上で今秋の臨時国会であくまでも成立を目指すとともに、「国民保護法制」の「輪郭」を提示する方針を確認しました。そしてこの夏中に民主党を抱き込む協議機関設置を画策しているとのこと。全く予断は許しません。 「国民保護」とは名ばかり、その実は戦前のような「隣組」を復活させ、戦争への「国民総動員」を狙うものです。戦争に反対したり違和感を持つ住民を「非国民」扱いするつもりなのでしょうか。思想統制や報道統制の動きも見せています。住基ネットの推進へ向けた異常な強硬姿勢や防衛庁ブラックリスト問題での開き直りを考えても、何か恐ろしい国民総監視時代に向かいつつあるとの印象です。 (3) また、国際情勢に目を転じると、すでにアメリカはイラク包囲網を着々と狭めています。大統領自らがマスコミを前にCIAと政府機関にれっきとしたイラクの元首を殺せと命令する。世界中に向かってイラクに先制攻撃すると言う。場合によっては核を使用すると凄む。クーデタ首謀者を米政府が招待して会議を開く。イギリスでクーデタ謀議を公然とする。君主制とヨルダン王家をイラクに復活させることをブッシュ政権が認める。軍を周辺地域に集中させ大規模に展開する。隣国ヨルダンで軍事演習をする。フルスケールで大規模侵攻する、いや中規模で侵攻するなど、次々と侵攻計画をマスコミにぶち上げる。それに合わせてペンタゴンと国務省高官が中東を歴訪し、特にトルコでイラク攻撃について討議する。ヨルダンが侵攻計画にゴーサインを出した、どこそこは攻撃を黙認したなどの報道。イラクの生物化学兵器攻撃に備えてワクチンを数十万人規模で飲ませる。等々。−−これを戦争挑発と言わずして何と言うのでしょう。 イラクは一個の独立した主権国家です。まるで19世紀の植民地時代の宗主国のような傲慢な態度で一方的に首をすげ替えるという傍若無人の振る舞い。戦争しか頭にないブッシュ政権のお歴々、彼らは一体何様なのでしょう。 そもそもフセイン政権を打倒するというブッシュ政権のその根拠は一体何なのか。一言も提示されていません。大量破壊兵器についても、アルカイダとの関係についても、面倒くさいのか、そんなものはお構いなし。臆面もなく「絶対的な証拠なんていらない」と開き直っています。いきなり最後通牒なのです。国際法の公然たる蹂躙です。 何としても、アメリカのイラク攻撃を阻止しなければなりません。もしブッシュがそこで万が一、勝利でもすれば・・・。その次は朝鮮民主主義人民共和国、朝鮮半島が狙い目になることは必至です。絶対ブッシュに戦争を起こさせてはならないのです。 (4) 夏は原水禁の取り組み、敗戦の日の取り組み、戦争責任追及の取り組みなど、反核・反戦平和の重要な取り組みの季節でもあります。これらの集会や行動に精一杯参加し、有事3法案廃案、イラク攻撃阻止を訴えていこうと思います。 夏から秋に向け、小泉首相宛の有事法制反対の署名についても、イラク攻撃反対のブッシュ大統領宛署名についても、これからが本番です。私たちは、署名集めの他、チラシ配布や学習会、写真展、講演会、映画会など多彩な手段を使って有事法制とイラク侵略の危険性を一人でも多くの市民の方々に広げていく決意です。とりあえず、これから始まる長い闘いに備えて英気を養いましょう。そしてともに頑張りましょう。 2002年7月25日 アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局 |