国会の7月31日まで、42日間の延長が決まりました。政府と与党は会期延長と鈴木宗男逮捕許諾をきっかけに国会を正常化して、法案審議を促進しようとしています。有事法制についても28日の理事会で7月3日に審議を再開することをきめ、与党は10日地方公聴会、11日参考人審議を提案しています。 しかし、小泉政権と与党は行き詰まりにあります。もはやかつてのような勢いはありません。小泉政権は有事法制の単独強行可決の失敗、福田官房長官の非核3原則見直し発言、防衛庁のブラックリスト問題、支持率の急低下と与党内の抗争などで深刻な打撃を受けました。また、地方議会からは次々と有事法制反対、慎重審議の決議が上げられています。反対の意見書を決議した県、市町村議会は数十に上り、慎重審議の意見書はその数倍の数に達しています。有事法制、個人情報保護法を成立させることはおろか、健康保険法と郵政法案を通す見込みさえ極めて苦しい状況にあります。私たちの反対運動の闘争の余地は広がっています。 非核三原則の見直しに言及し、他国への核先制攻撃さえ合憲と認めさせようとした福田官房長官、安倍官房副長官の責任はあいまいなままです。徹底的に追及しなければなりません。情報公開請求者をブラックリストに載せて監視し、リストを自衛隊の諜報機関=調査隊に流していた防衛庁の組織的犯罪を「個人的な」ものにすり替え、市民を勝手に身元・思想調査することは許されると開き直っている防衛庁を許してはなりません。石破自民党政調副会長の「徴兵制合憲発言」、自衛隊制服組の暴走によるインド洋派遣艦隊の米軍命令下への組み込みなど、次々と明らかになる与党と軍部の暴挙を徹底的に追及しなければなりません。居直ったままの状態を絶対に許さず、福田、安倍、中谷長官の罷免を要求し続けなければなりません。 まだ有事立法の危険は去っていません。小泉政権は決してあきらめた訳ではありません。小泉首相は沖縄の慰霊の日(23日)に、戦争に協力することで極めて深刻な被害を受けた沖縄の人たちを前に「備えあれば憂いなし」と有事法制成立への意欲を露わにしました。自民党の幹部たちも「成立断念はマスコミが書いているだけ」と今国会での成立をめざすと公言しています。正常化した国会の中で、苦しいとはいえ完全に有事法制の息の根を止めたわけではありません。政府与党は不成立の場合でも継続審議にして、民主党などに修正協議を持ちかけて少なくとも9月の臨時国会で可決、成立させることを狙っています。 有事法制は今国会で廃案にさせなければなりません。二度と提出できない状況に追い込まねばなりません。そのためには市民の声で政府を取り囲むことが必要です。署名事務局は、今国会で廃案に向けた山場にあわせて署名の第2次集約を7月17日に設定し、それに向けて取り組みを呼びかけることにしました。(現在署名数は約12000名に達しています)。また、7月20、21日の両日に、大阪府堺市でフォトジャーナリスト・広河隆一氏のパレスチナ・アフガン写真展を開催し、有事法制と合わせて市民の関心を掘り起こしていきたいと思っています。今国会のぎりぎりまで廃案しろという声を集め、衆院提出を目指したいと思います。7月17日に向けて、もう一度可能な範囲で署名運動を広げてください。衆院採決強行のような緊急事態もないとはいえませんので、まだお手元に署名用紙があればできるだけ早くお送りください。力を合わせて有事法制を葬り去りましょう。 2002年6月28日 アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局 |