軍艦を動員した辺野古基地建設強行糾弾! |
◎住民運動に軍隊を動員することなど前代未聞の暴挙
◎法を無視した安倍と自衛隊の暴走を許すな |
[1]住民に軍事力で対峙する意味とは?日米軍事同盟を最優先し、戦争国家へひた走る安倍政権
(1)安倍政権は、海上自衛隊を辺野古基地建設の「事前調査」強行に動員するという前代未聞の暴挙を働いた。日本の戦後史の中で、反政府闘争、反戦運動、住民運動、労働運動等々あらゆる人民運動に対して、それを叩きつぶすために自衛隊を直接動員した例はない。反動政権であった岸内閣も中曽根内閣もやれなかったことを安倍晋三は、いかなる法的根拠も、国会や閣議でのいかなる議論や決定もなしに自らの意志だけでこの暴挙を強行したのである。私たちは断固糾弾する。
(2)海上自衛隊を動員して行ったことは、ダイバーを海に潜らせ珊瑚などの環境調査をするために機材を設置したことである。そのためだけに巨大な軍艦=掃海母艦を母港である呉から横須賀に呼び寄せ、掃海隊群司令や幕僚を乗せて沖縄近海まで派遣するというのは度はずれている。それは重大な軍事作戦であることを意味し、反対運動を威嚇し萎縮させるための政治的デモンストレーションであり、「アメリカの基地再編実施に自衛隊まで動員した」という安倍からブッシュへの外交的メッセージに他ならない。逆に言えば安倍は、ここまでしなければ、「事前調査」に踏み出すことはできなかったのである。
辺野古では丸3年、1000日以上にわたって海と陸での座り込みなどねばり強い住民の反対運動が闘われ、基地建設への着手が阻止されてきた。それを叩きつぶすために安倍がとった作戦が自衛隊派遣であった。したがって、自衛隊派遣は、住民運動への弾圧である。今回の事態は治安活動でもない。なぜなら、沖縄の反基地闘争は、沖縄の治安を攪乱しているわけでも、違法行為を働いて辺野古に無政府状態を作り出しているわけでもないからである。カヌーで海に繰り出し、作業員への説得活動を続けているのである。陸ではおじいやおばあが座り込みをつづけているのである。この非暴力的、平和的抵抗闘争を軍隊を投入することで圧殺しようとしたのだ。
一地域の、正当な要求を掲げた住民運動が、首相の信条と相容れないという理由だけで、軍隊を投入する−−こんな事が許されたらどうなるのか。安倍がやったことは1953年4月の土地収用令に基づいて米軍がやった「銃剣とブルドーザーによる接収」そのものである。主権がない軍事政権下で米軍が沖縄人民に対して行ったことをそっくりそのまま自衛隊がやろうということなのである。しかも、安倍は軍の総司令官である。その安倍が法律を一切無視して、軍を恣意的に動員した。憲法に規定されたシビリアンコントロールを蹂躙するものである。政府はいまだに、この自衛隊派遣の具体的中身についても、その根拠についても明らかにしていない。徹底して追及しなければならない。
(3)この暴挙は安倍政権の戦争国家造りの重大な一部をなす。安倍はすでに国民投票法を成立させ、憲法改悪にむけて一歩踏み出した。日本軍「慰安婦」強制の否定、沖縄戦集団自決への軍の命令の削除など過去の侵略戦争の否定と美化が次々と企てられている。イラク特措法延長法案、教育関連3法案など反動諸法案の成立の危険も高まっている。そして、改憲すら待っていられないかのように集団的自衛権行使研究のための有識者会議を積み重ね、米軍の戦争に日本がさらなる協力と加担をするための解釈改憲が狙われている。さらに米軍基地建設では、5月23日「米軍再編推進法」を強行採決し、成立させた。この法律は、「再編交付金」の新設と、日本によるグアム移転費用負担を2本柱としている。日本をアメリカの侵略基地・出撃基地にする在日米軍再編、そのための住民反対運動への切り崩しと圧殺、周辺住民の人権蹂躙、アメとムチを使った自治体の財政的絞め上げと懐柔、米軍基地のグァム移転のための予算のくれてやり等々、徹頭徹尾アメリカの世界覇権と米軍のための法律である。
※米軍再編法 参院で可決、成立 移転費用は日本側負担に(毎日新聞)
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070523k0000e010039000c.html
※米軍再編推進法 「お金で釣るのか」 受け入れ候補地 住民、怒りと困惑
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/politics/20070523/20070523_007.shtml(西日本新聞)
このような中で安倍は、アメリカが進める世界規模での米軍再編への協力と普天間基地の移設を、反対運動を叩きつぶして具体的に強行することが、「血の同盟」としての日米軍事同盟を強化する最大の軸の一つと考えているのである。
しかし、安倍は民意を踏みにじった強硬路線の代償の大きさに気づくだろう。沖縄では怒りが爆発している。米軍基地、自衛隊基地を抱える全国の自治体は反発を強めている。米軍基地押しつけは重大な壁にぶち当たるだろう。
※安倍政権:「主張する外交」と「血の同盟」(署名事務局)
[2]反対運動への威嚇と弾圧のための自衛隊派兵は、全くの違法行為。
(1)那覇防衛施設局は5月18日未明から、米軍普天間飛行場の移設先であるキャンプ・シュワブ沿岸部海域で、辺野古基地建設の「事前調査」=「環境現況調査」に本格着手した。海上での座り込み、反対闘争が続く中での強行である。
まず私たちは、この「環境現況調査」なるものが全くの違法であり、沖縄の住民と地方自治への愚弄であることを問題にしなければならない。そもそも基地建設など、環境に影響する可能性がある事業の実施手順は、環境影響評価(アセスメント)を実施し、住民や自治体の首長から意見を聴取して事業計画をつくらなければならないと定められている。環境アセス法である。しかし、防衛省は、沖縄県が政府移設案の修正を求めていることから、政府案を前提にした環境アセス法に従った手続きを放棄し、「環境現況調査」という、防衛施設庁が勝手にでっち上げた調査方法を強行し、その調査結果を「環境影響評価」にねじ込むという強引なやり方を編み出したのである。調査海域をV字型滑走路の沿岸案より、長島や平島を含む広範囲に設定することで名護市と沖縄県の許可を無理矢理取り付け、「現況調査」に踏み切ったのである。
※県、事前調査に同意 ジュゴン配慮求め 普天間移設(琉球新報)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23258-storytopic-3.html
※施設局、作業場設置へ/辺野古海域調査(沖縄タイムス)
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705151700_05.html
(2)防衛庁は、この事前調査に海上自衛隊のダイバーを参加させた。在日米軍基地建設に海上自衛隊が関与するのはもちろん初めてである。防衛庁は11日、掃海母艦「ぶんご」を横須賀から出向させ、沖縄近海に停泊させた。陸上自衛隊のヘリが低空で辺野古上空を旋回、ぶんごからは海上自衛隊のヘリが何度も飛来、ホワイトビーチ(米軍港)には自衛隊の補給艦・護衛艦が集結するなど自衛隊による威嚇行為がエスカレートし、ついに18日未明、海自ダイバーがぶんごからボートで調査海域に派遣され、作業が強行されたのだ。
ぶんごは、排水量5700トン、ペルシャ湾に派遣された掃海母艦はやせ、機雷敷設艦そうやの機能をあわせもつ、対機雷戦用の掃海母艦である。そのような巨大な軍艦から対機雷戦部隊のダイバーを派遣するというのは、体を張った基地反対運動に対する威嚇と弾圧に他ならない。市民の間からは、「自衛隊が国民に銃口を向けるような行為」「国家による新たな弾圧」「県民に対する軍事的恫喝だ」等々怒りの声が起こった。
※普天間移設調査 「なぜ自衛隊動かす」 反対派反発 識者「法的根拠ない」(西日本新聞)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/20070518/20070518_037.shtml
しかも辺野古海域には、海上保安庁が巡視船4隻や巡視艇数隻、十数隻のゴムボートなどを展開し、海上阻止行動に向かうメンバーの抗議船などを狙い打ちにして、出港前の立ち入り検査を強行した。海難救助や交通安全、領海警備などを任務とするはずの海上保安庁が、自衛隊の事前調査への動員に合わせて、露骨に住民の側を狙い打ちにし嫌がらせをするというのは明らかに越権行為であり、違法行為である。これは、首相官邸と防衛省、防衛施設庁、海上保安庁が事前に連絡をとりあって、自衛隊派遣を成功させるために住民弾圧体制を敷いた事を意味する。
(3)今回の自衛隊派遣は全くの違法行為である。調査であろうと機器設置であろうと、自衛隊が米軍基地建設に参加・関与できる法律など存在しない。住民弾圧であればなおさらである。自衛隊の存在は憲法に違反している。それだからこそ、政府与党自体がシビリアンコントロールの原則を守らざるを得ないのであって、自衛隊が行ってもいいことは厳しく自衛隊法で規定され、自衛隊の活動は厳しく規制されている。それ以外のことをすることはできない。
※自衛隊法 http://www.houko.com/00/01/S29/165.HTM
たとえば、安保条約に基づき米軍基地を警護する活動は認められている。それは9.11の時の米軍基地警護のために作られた項目である。しかし、沖縄の反対運動が、無差別殺戮と破壊活動を狙うテロ集団と規定する以外この規定の適用は不可能である。しかも辺野古の沖(調査地域)は、一部は米軍に提供しているものの、全域が米軍への提供地域という訳ではない。従って政府はこの項目を適用することはできなかった。あるいは、9.11を受けてアフガンへ出動する米空母の護衛に自衛艦を出動させた際に政府が持ち出した根拠がある。それは自衛隊法ではなく、防衛省設置法(当時は防衛庁設置法)の4条の18項がそれにあたる。すなわち、「十八
所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行うこと」。しかし、これも今回は適用することはできなかった。
自衛隊の本来任務は、名目上「本土防衛」である。たしかに自衛隊法の改悪によって、海外派兵が本来任務に付け加わった。しかし、国内警備は警察や海上保安庁の役割である。自衛隊に、平時における治安活動の規定は存在しない。海上自衛隊の派遣目的は、調査機器設置ではない。明らかに住民弾圧である。それは、久間自身が認めている。久間は18日の記者会見で「反対派が力ずくで調査をさせないというのは異常だ。何か起きた場合は万全の対策を講じる」と語った。不測の事態に備えた対策として、反対運動の封じ込めのために自衛隊を派遣した事を公然と認めたのである。
(4)政府は自衛隊派遣についての法的根拠を明らかにしていない。できないのだ。久間は5月25日、社民党の辻元議員の質問に対し、「さっぽろ雪まつりも自衛隊が応援するが、自衛隊法のどの条項に基づいて出るのか問われると非常に難しい」と説明し、「さっぽろ雪まつり」と同じだと答弁した。なんと、防衛大臣が、「自衛隊は出したが根拠はない」と開き直ったのである。防衛大臣ともあろうものが、自衛隊は法的根拠もなく勝手気ままに出動することが可能とでも考えているのか。これは全く許し難い暴言である。
「さっぽろ雪まつり」参加は、私たちがその根拠を受け入れるかどうかは別として自衛隊の「雪中訓練」あるいは「広報・宣伝活動」という法的根拠に基づいている。久間はこのことを知らないのか。また、自衛隊法100条等にオリンピックや国体への参加、南極観測への協力などの項目がある。自衛隊が行うどのような些細な活動であっても、法的根拠無しに出動することなどできない。それが、天皇制軍国主義が侵略戦争を行った反省から生まれた法治主義であり、シビリアンコントロールである。久間は自衛隊に課せられたこの決定的な制約を知らないのか。
※久間防衛相「海自動員雪まつり同様」 自衛隊法根拠示せず(琉球新報)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-24044-storytopic-3.html
(5)政府が今回の自衛隊派兵について出してきた唯一の法的根拠が、国家行政組織法に基づく官庁間協力なるものである。官庁間協力は、単に省庁間の事務が円滑に進むように定められた形式規定に過ぎない。こんなものを根拠にするなどでたらめも甚だしい。久間が辻本議員に追及された前掲の答弁では、防衛省の山崎運用企画局長が、海自動員について自衛隊法の中に規定はないことを明言した上で、環境現況調査については防衛省設置法4条19号、すなわち「駐留軍に提供した施設および区域の使用条件の変更および返還に関すること」を根拠としていると主張した。なぜ、久間ではなく、防衛省の一役人が法的根拠を主張するのか。そのこと自体がでたらめである。
国家行政組織法の官庁間協力のような一般的規定が根拠として認められるならば、米軍基地建設そのものを自衛隊が担い、米軍施設の防衛もできることになってしまうだろう。
[3]軍の総司令官=安倍首相が法律を無視して、軍を動員。シビリアンコントロールのあからさまな蹂躙
(1)しかし問題は、久間ではない。首相である安倍こそが、米軍基地建設に自衛隊を動員するという暴挙を先導した張本人である。私たちは安倍の責任を徹底して追及しなければならない。
5月19日付きの毎日新聞は、「安倍首相から次官に調査を急ぐよう指示があったようだ。日米同盟強化をうたう首相にとり、米軍再編はどうしてもやらなければならない」と語る防衛省幹部の発言を伝えている。次官とは、防衛省の守屋武昌事務次官のことである。実に安倍首相自身が、環境現況調査への自衛隊派遣を先導したというのである。
※普天間移設調査:海自参加 「米軍と一体化」加速(毎日新聞)
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/feature/news/20070519k0000m010176000c.html
塩崎官房長官は10日の記者会見ですでに「一般論で言えば、反対運動や反対行為を排除しようという任務は、警察、海上保安庁が負っており、自衛隊は負っていない。」ただ「(海自隊員を)施設庁の身分として、今言ったような作業をやる可能性はあるかも分からない」と述べている。この発言は、10日の時点で、「反対運動の排除」を目的としながら、露骨な治安活動との批判を避けるために、自衛隊員の防衛施設庁への出向という体裁と、機器設置という作業内容を隠れ蓑にして海上自衛隊を派遣する方針を内閣として固めていたことを示唆している。
※海自動員可能性を示唆 辺野古事前調査で官房長官(琉球新報)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23663-storytopic-3.html
安倍は辺野古事前調査への自衛隊派遣が強行された18日、「知識、技術を持っている自衛隊が協力をしたということ」とまるで他人事のように平然と語っているが、一連の計画が官邸主導で行われたことは間違いない。
しかし、「防衛秘密」をテコに、一体何人の自衛隊員がいかなる身分で何をしたのか等々全体の詳細は全く明らかになっていないのである。
(2)安倍首相は4月末、就任後初の訪米を行いブッシュとの会談を行った。4月27日の日米首脳会談について日本では、「慰安婦」問題や拉致問題に関する情報が大々的に報じられたが、実は基地問題が重要なテーマになっている。安倍首相は会談においてブッシュに、在日米軍再編について「去年5月の日米合意の着実な実施が重要であり、沖縄の普天間基地の移設も合意どおり実施していく」と伝え、辺野古基地建設への取り組みをブッシュに約束している。また安倍は会談後「みずからの政治信条として戦後レジーム・体制から脱却する考えを説明し、訪米直前に集団的自衛権の行使をめぐる研究を深めるための有識者の懇談会を設置したことを伝えた」と述べている。日米同盟の強化について、集団自衛権の研究会の立ち上げをブッシュへの手みやげにしたこと、辺野古基地建設を持ち出してブッシュの歓心を買ったことを自ら吹聴しているのである。
同時に行われた4月末の日米防衛首脳会談でゲーツ国防長官は、「(計画の)一部を変えたりせず、そのままの形で実現することが重要だ」と滑走路建設案の修正を口にしたことのある久間にクギをさしている。5月1日の日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同文書にも「2014年までの代替施設完成」が盛り込まれた。アメリカは、辺野古への移設が進まない状況にいらだちを強め、日本政府に迫った。安倍は強行突破へと舵を切り、日米同盟のために調査を指示したのである。06年5月に日米両政府が合意した米軍キャンプ・シュワブ沿岸部V字形滑走路計画は、日本政府が閣議決定、3年間で環境影響評価を実施、最初の1年はサンゴの産卵状況などを調べる現況調査(112カ所)に充てられることが決められている。日本政府にとっては、米との関係でこれ以上遅れることができない状況に追い込まれていたのである。もはや安倍は、昨年5月30日の閣議決定「沖縄県及び関係地方公共団体と協議機関を設置して協議し、対応するものとする」との条項を実質破棄し、「地元合意」の名分もかなぐり捨てて、基地建設への着手に突き進んだのである。
(3)私たちが特に問題にしなければならないのは、国会での議決や内閣の閣議決定もなしに、総司令官である安倍の独断的な指示によって、制服組の事務的やりとりだけで今回の暴挙が強行されたことである。シビリアンコントロールの完全な破壊である。しかも張本人である安倍自身は国会などでもまともな答弁さえをしていない。曖昧な答弁をくりかえしたのは久間や塩崎である。「官庁間協力」などという根拠についてのこじつけを発言がでたのも、事前調査に自衛隊員が動員される前日の17日、掃海母艦ぶんごが横須賀を出港してから一週間もたってからのことであった。これも安倍の口からではない。国会で議論もなく、堂々と派遣の根拠を主張するのでもなく、右翼の首相が、直接制服組に指示し、防衛省制服組と施設庁が勝手に違法な自衛隊派遣を行ってしまう、恐るべき事態が生じたのである。
国家行政組織法に基づく「官庁間協力」という根拠は、ちょうど「非戦闘地域」「復興支援」などのトリックによって、小泉首相が自衛隊のイラク派遣を正当化した詭弁と同じである。それはそのまま、日米同盟最優先の日本政府の態度を示している。はじめにイラク戦争支持ありき、はじめに自衛隊派兵ありき、そしてはじめに海上自衛隊の辺野古動員ありき、理由はあとで考えろ!である。
しかし、このとき小泉はまがりなりにも国会論戦の矢面に立たされた。「自衛隊がいくところが非戦闘地域」「大量破壊兵器はないと断定できない」などとデタラメを絶叫したものの、一応答弁した。ところが安倍は一切それについて答えていない。安倍は、「官庁間協力」という全く事務的な手続きに矮小化することによって、沖縄反基地闘争弾圧に自衛隊を動員するという前代未聞の暴挙をやりとげのだ。このような「官庁間協力」が今後もまかり通ることになればどうなるのか。国家行政組織法で規定された省庁がおこなうあらゆる職務に自衛隊が関与できることになるではないか。
[4]支持率急落、成立以来最大の危機にある安倍政権に反撃を!
(1)辺野古沖海上事前調査の強行と自衛隊の投入に対して、また米軍再編推進法の成立による沖縄への締め付けと恫喝に対して、沖縄では激しい怒りが生まれている。それだけではない。沖縄戦での「集団自決」の軍による命令の記述を削除させる教科書検定に対する反発も強まっている。これらは、戦中から戦後の一貫した沖縄「捨て石政策」、沖縄の現在と歴史に対する蹂躙である。今回の辺野古基地建設事前調査への自衛隊動員は、日本の自衛隊が日米軍事同盟優先のために住民に牙をむくことを改めて明らかにした。
※改めて戦争責任を追及する[シリーズその3]政府・文科省が沖縄戦「集団自決」の日本軍関与削除を強制
沖縄県の仲井真弘多知事は18日、東京都内で記者団に「自衛隊の船まで行ってやるのは、県民感情を考えると荒っぽい。銃剣を突きつけるような連想をさせ、強烈な誤解を生む。防衛省のやり方は、デリカシーに欠ける」と「批判」せざるを得なかった。一旦は現況調査をみとめたものの、自衛隊まで出動させるという政府の強引さに動揺し始めているのである。
※仲井真知事、自衛隊投入を批判 沖特委「配慮足りない」(琉球新報)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23949-storytopic-3.html
(2)現在安倍政権は成立以来最大の危機に陥っている。松岡農水相の自殺は、安倍政権が史上まれにみる右翼反動政権であるだけでなく、大スキャンダル政権であることを改めて明らかにした。発足以来わずか数ヶ月で、本間政府税調会長辞任、佐田行革担当相辞任など要人辞職に追い込まれ、ついに戦後初となる現役閣僚の自殺者まで出した。あきらかに政権末期の異常事態である。
松岡の問題は、「ナントカ還元水」の問題ではない。一方では人民生活を破壊する小泉の新自由主義的構造改革を継承しながら、他方ではいかがわしい右翼勢力や松岡のような農林族・建設族の利権体質に依存する安倍政権そのものの矛盾が吹き出たのである。安倍政権の右翼的・反動的・腐敗的体質を徹底して追及しなければならない。松岡をかばい続けてきた任命権者としての安倍の責任が問われなければならない。
※松岡農相自殺:疑惑を自ら封印/首相の擁護裏目(その2)恐れた「辞任ドミノ」(毎日新聞)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070529ddm002040105000c.html
(3)国民投票法成立によって安倍は任期内の改憲に一歩踏み出した。だが、人民を愚弄した安倍の反動的諸政策の強行は支持率を急落させた。支持率急落の直接的な原因は社保庁・年金問題である。それは象徴的な意味を持っている。国民の老後の支えであるなけなしの年金さえ不法に削り取り開き直るという安倍政権の傲慢で高飛車な政治姿勢が厳しい批判に曝されたのだ。グローバル企業が軒並み史上最高益をあげる一方で、貧困層やワーキングプアが急拡大し、定職も住むところもなく、最低賃金以下で不安定労働を強いられる若者が急増している、福祉や介護予算が削られ、生活保護世帯や母子世帯など貧困層がますます切り捨てられていく、これに対して安倍政権は「再チャレンジ」という一言で片づけ、自らの反動諸政策を強行する−−これら全体に対する批判である。人々は、改憲どころではない、格差の拡大、窮乏化する人民生活をどうするのかと問うているのである。
「戦争国家」は、自衛軍と交戦権を合憲化するだけではない。国民の忍耐と犠牲を強いる。権利を制限する。職のない若者を派兵要員として軍に徴用する。国と社会全体の反動化と人民生活破壊と不可分である。安倍の戦争国家造りに対する反撃をあらゆるところから開始しなければならない。
※毎日世論調査:内閣支持率32%に急落 不支持率は44%(毎日新聞)
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070528k0000m010091000c.html
2007年5月31日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
5月21日 防衛省前〜
辺野古新基地建設の着手強行に反対し、
海上自衛隊派遣に抗議する集会
5月21日6時半から防衛省前で、辺野古新基地建設の着手強行に反対し、それへの海上自衛隊派遣に抗議する集会が、85名の参加者のもとで行なわれました。海上自衛隊が掃海母艦「ぶんご」を沖縄近海に進出させ、米軍普天間基地の辺野古移設調査に海上自衛隊員を派遣するという前代未聞の異常事態が生じています。これは、自衛隊による反対運動に対するあからさまな威嚇・弾圧行動であり、法的根拠も何もない全くの違法行為です。
集会では冒頭、沖縄の「命を守る会」代表である金城祐治さんの死に黙祷をささげた後、沖縄から、首都圏から、労組から、市民団体から、怒りの抗議、連帯の挨拶が続きました。
最後に、防衛省係官に抗議文を手渡して、「辺野古基地建設を許さない!」などのシュプレヒ・コールをあげました。
(2007.05.21 東京 F)
(写真は、1.防衛省前での集会の様子、2.防衛省係官への抗議文読み上げ場面)
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