アメリカのフィリピンへの軍事介入に反対する! 沖縄をフィリピン軍事介入の出撃基地にするな! 名護の米海兵隊新航空基地はフィリピン・アジアへの米軍事介入の 即応力・攻撃力強化、恒常化につながる。 名護の新航空基地建設を阻止しよう! |
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(1)出鼻を挫くこと――アフガン後の最初の国フィリピンへの介入をこれ以上拡大させないことが重要。問われる日本の反戦平和運動。
米軍は1月15日、フィリピン国軍との合同軍事演習に名を借りた、フィリピン南部のイスラム原理主義組織アブ・サヤフへの大規模な軍事行動を開始しました。フィリピンへの軍事介入はアフガン後の最初の「テロとの戦争」になろうとしています。ラムズフェルド国防長官は、演習の開始に当たり、対テロ戦争が「地球規模」に及ぶと表明しました。イラクへの戦争拡大を思うように進められないブッシュ政権は、政権内部や同盟諸国内から異論の出にくい、すぐ勝てそうな相手を探して、何が何でも戦争を続け、それを政権維持の手段にしようとしているのです。
ブッシュ大統領の戦争拡大の最初の第一歩で失敗させること、挫折させることが、今一番重要なことです。それによって、更に拡大しようという目論見を挫くことができるかも知れないのです。しかもイラクやソマリアと違い、フィリピンは日本の在日米軍基地、とりわけ在沖縄米軍基地と文字通り直結しています。つまり出鼻を挫くためには、日本の反戦平和運動の取り組みが決め手になるのです。私たちには荷が重いのですが、日本の反戦平和運動が、今全世界から注目され、問われているのではないでしょうか。
(2)名護市長選の新しい意義――フィリピンへの出撃拠点で基地問題で痛打を与えること
沖縄は、米軍によってフィリピンへの介入の最大の「後方基地」、「出撃拠点」として位置付けられています。既に沖縄の部隊がフィリピンでの作戦行動に参加し始めています。作戦が長期に及ぶということになれば、沖縄が長期にわたり出撃基地として使用されるのは間違いないでしょう。
沖縄の名護では今、米海兵隊新航空基地を推進する現市長と反対派の宮城候補との一騎打ちの市長選が闘われようとしています。米の対アフガン戦争と日本の参戦のどさくさ紛れに、政府・稲嶺沖縄県知事・岸本名護市長が建設強行突破に動き始めたのです。宮城氏の立候補で、現職信任投票かと言われていた市長選が、一転して激しいつばぜり合いの場に変わりました。もしここで基地反対派の宮城氏が市長選に勝利すれば、名護の新基地阻止に展望を見出すと同時に、在沖縄米軍基地をフル活用してフィリピンへ軍事介入している米政府とペンタゴン、そしてそれに加担する日本政府に痛打を与えることになるでしょう。私たちはもうこれ以上、沖縄を侵略の出撃基地にしてはなりません。沖縄の皆さん、メッセージビラ入れなど沖縄に連帯していただいた全国の署名協力者の皆さんとともに、沖縄からフィリピンへの出撃に反対し、名護の新航空基地建設に反対する取り組みを一層強化したいと思います。
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(フィリピン軍のヘリに同乗する米軍事顧問)
(1)長期軍事演習を口実としたフィリピンへの軍事介入。2月から本格化。
フィリピンのイスラム原理主義者に対するブッシュ政権の「新たな戦争」が本格的に開始されました。米軍650人、フィリピン国軍1200人が参加する大規模な米比合同軍事演習です。しかしこれは演習ではありません。演習とは口実に過ぎず、イスラム原理主義組織アブ・サヤフ掃討のための共同軍事作戦であり、アフガン後の最初の「テロとの戦争」であり、米の直接的軍事介入なのです。
ラムズフェルド米国防長官は16日、既に240〜250人の米軍要員がフィリピン国内に展開していることを明らかにしました。アブ・サヤフが同時多発テロと「関連があるのは疑いがない」と断言し、軍事作戦を開始したことを認めたのです。もちろん対アフガン侵略戦争の時と同様、「テロとの関連」については何の根拠も示されていません。
ブッシュ政権は、昨年10月から3回にわたりフィリピンに特殊部隊を派遣し、フィリピン国軍の特殊訓練を行うとともに、通信設備の設営などを進めてきました。今回の「演習」では、第1段階でミンダナオ島サンボアンガでの米軍部隊受け入れ準備と作戦行動計画の立案が行われ、第2段階でバシラン島での実際の作戦行動が開始される予定です。2月には、大規模な米軍部隊を投入した戦闘が始められようとしています。沖縄からもこの大規模な軍事作戦に参加すると言われています。そしてフィリピン大統領スポークスマンは、同作戦は「約半年間行われる予定だが、1年に及ぶ可能性もある」と述べました。
ブッシュ政権は昨年11月に訪米したアロヨ比大統領に対し、フィリピン国軍強化に総額1億ドル相当を供与することを約束し、すでに10日までにC130輸送機や多目的ヘリ8機、ライフル銃3万丁などを提供、今後さらに米軍機や船舶の投入を予定しています。
米比両政府は、今回の軍事行動を「訪問米軍の地位協定」と「相互防衛条約」に基づくものと説明し、米部隊が「戦闘に直接参加することはない」と強調していますが、これは全くのウソです。「何らかの装備の使用などを補助することはあり得る」、「自衛のための攻撃はあり得る」と、直接介入を現に示唆しているだけではありません。米が供与したフィリピン国軍の軍事ヘリコプターに米軍事顧問が同乗している写真が既に新聞紙上などで報道されています。CNNによると、米部隊は戦闘の前線にも同行し、直接行動をとることを比政府に打診していると言います。比国内施設に米軍の武器・装備品の貯蔵を認める相互軍事補給協定の締結も検討されています。米軍は、テロ組織掃討を口実に、再びフィリピンに基地を作り軍事力を強化しようとしていることは明らかです。
(2)「米の直接介入は違憲・違法だ」「これは合同演習ではなく共同軍事作戦だ」――高まるフィリピン国内の反米・反戦平和運動
フィリピン国内では、米軍の作戦参加を受け入れたアロヨ政権に対する批判が強まっています。不協和音は政権内部や議会にも拡大しています。上院は、多数の米兵士が長期駐留するのは憲法違反だとして演習の合憲性を調査する委員会設置の決議案を提出しました。政権内部でも一時副大統領兼外相の辞任説が流れました。比憲法は「外国の基地、軍隊あるいは施設は、上院の同意による条約か、住民投票による過半数の同意なしでは、国内で存在が許されない」と明記されているのです。
多くの反戦平和団体、反核団体、学生団体が反米姿勢を鮮明にして米軍の介入に反対運動を高揚させています。1年前にエストラダを退陣させた市民団体も「ベトナムの二の舞になりかねない」と、演習の中止を要求し、「前任者と全く同じだ」「絶望的に汚れた狂信的なアメリカびいきの軍国主義政権だ」「米国−アロヨはバシランのテロリストだ」などと、米軍を受け入れたアロヨ政権批判を強めています。
フィリピン国民はかつて反対運動の力で米軍基地をフィリピンから撤退に追い込んだ経験を持っています。再び米軍がフィリピン国内に居座り、なし崩し的に基地を建設するようなことを絶対に許さないでしょう。私たちは、こうしたフィリピンの反戦平和運動と連帯して闘いたいと思います。
(1月20日、「ピープルズ・パワー」1周年デモ
アロヨ政権を親米軍国主義政権と批判)
参照記事:
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200201/17/20020117k0000e030027000c.html
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200201/14/20020115k0000m030062000c.html
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200201/15/20020116k0000m030054000c.html
http://www.asahi.com/international/kougeki/K2002011100339.html
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20020121k0000m030018000c.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020118-00002067-mai-int
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(1)既に2年前から準備されていたフィリピンへの軍事介入
1月20日には、沖縄の嘉手納基地から、30人以上の米兵と機材を乗せたMC130輸送機3機がサンボアンガのアンドルーズ空軍基地に到着しました。今後、作戦の本格化に伴って、さらに大規模な部隊が沖縄から参加するのは確実です。このままいけば、2月以降、沖縄の米軍基地、嘉手納と普天間はフル回転することになるでしょう。
米軍は既に一昨年の1月末から3月初めにかけてフィリピン軍との共同演習「バリカタン2000」を行いました。1992年の米軍比基地完全撤退の1年後、1993年から始まった共同演習「バリカタン」は95年以降中断していましたが、それが5年ぶりに再開されたのが「バリカタン2000」だったのです。「訪問米軍の地位に関する協定」(VFA)の批准後初めての演習でした。米軍佐世保基地を出たドック型揚陸艦フォート・マクヘンリーが沖縄海兵隊800人を乗せてマニラに運んだといいます。演習に参加した2500人の米軍のうち6割、1500人が沖縄をはじめとする在日米軍基地からの参加でした(他はアラスカ、ハワイなど)。ルソン島で島内の「敵」を想定したヘリコプターと揚陸艇による強襲揚陸訓練が行われました。
米比演習は昨年も行われました。「バリカタン2001」です。4月27日〜5月10日までの2週間、米軍1700人、全体で4300人の参加により、マニラ湾に面するテルテナでの着上陸訓練などが行われました。
(2)離島と民間空港をも出撃拠点化
「バリカタン2000」以降、フィリピンでの米比軍事演習再開に合わせて、沖縄の「後方基地」化、あるいは出撃拠点化が急速に進められてきました。2000年2月15日には、石垣空港で米軍KC130空中給油機がフィリピンに向かう軽攻撃機ヘリ4機に滑走路上で給油を行いました。米軍への提供施設外の第三種空港であり、県の自粛要請にもかかわらず、地位協定を根拠に、抗議行動の騒然とした雰囲気の中で着陸・給油を強行したのです。図に乗った米軍は3月2にも石垣空港の使用要求を出しましたが、地元住民、市長や市議会など石垣市ぐるみの反対運動の力で米軍自らがその要求を取り下げるという勝利を勝ち取りました。
「バリカタン2001」では4月28日に、演習に参加する普天間基地所属の米海兵隊給油機、攻撃用ヘリなど13機が、下地島と波照間の民間空港で燃料補給を行いました。5月16日にも両民間空港にヘリが飛来しています。沖縄の離島と民間空港の軍事利用が強引に進められてきたのです。おそらく今回もこうした離島や民間空港が侵略に利用される危険性が十分あります。
(3)フィリピンなどアジアへの軍事介入用に在沖縄米軍基地を再編強化
また最近の情報では、米軍は名護市のキャンプ・シュワブ海兵隊基地内に新たな対テロ訓練施設を建設しようとしています。そこで来年から実戦を想定した訓練強化を行うというのです。かつて恩納村のキャンプ・ハンセンに建設された都市型戦闘訓練施設は、地元の強い反対で1992年に撤去されました。米比合同の軍事作戦、フィリピン米軍基地の復活と合わせて、沖縄の米軍基地の再編強化が次々と打ち出されているのです。
フィリピンを標的にした対テロの「非対称型の戦争」の準備、沖縄をそれへの出撃拠点として整備することが、実は9月11日の同時多発テロ以前から着々と進められていたのです。それは、対アフガン戦争がやはりそれ以前から周到に準備されていたのと全く同様のことです。
(4)後方基地、出撃拠点で反対することの意義は大きい
今回始められた米比合同軍事演習「バリカタン02−1」は、昨年、一昨年の演習よりはるかに長期間続けられるだけではなく、そのまま実戦になだれ込んでいくという非常に危険な計画です。この戦争が半年から1年も続くとなると、仮に軍事顧問団だけとしても、投入する部隊を張り付かせるわけには行かず、ローテーションを組んで数ヶ月ごとに交代させることが必要になるのは必至です。沖縄は、フィリピンへの軍事介入と侵略の長期にわたる出撃拠点となるのです。
私たちは、沖縄の人々や全国の反戦平和を願う人々の運動と連携して、またフィリピンの反戦平和運動と連帯して、フィリピン介入に沖縄の基地・空港を使わせない闘いを構築していきたいと思います。名護の米海兵隊新航空基地建設を阻止し、フィリピンへの介入に反対することによって、つまり後方基地、出撃拠点である沖縄の新基地建設、軍事利用に反対することによって、米軍の作戦を後方から思惑通り進めさせないよう監視と抵抗を強める決意です。全国のできるだけ多くの皆さんのご理解とご協力を、この取り組みでもお願いしたいと思います。
参照記事:
http://www.ryukyushimpo.co.jp/shasetu/sha18/s020122.html#shasetu_1
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20020121.html#no_2
http://www.ryukyushimpo.co.jp/news01/2000/2000_02/000215ea.html
http://www.ryukyushimpo.co.jp/news01/2001/2001_04/010428ea.html
http://www.ryukyushimpo.co.jp/news01/2001/2001_05/010516eb.html
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20011222.html#no_1
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200112211300.html#no_1
2002年1月24日
アメリカの「報復戦争」と日本の参戦に反対する署名運動事務局
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