郭貴勲さん・李在錫さんの裁判を支える会 声明 在外被爆者「被爆者援護法訴訟」、 郭貴勲さんに続き、長崎でも勝訴! □国・長崎市は李康寧(イ・カンニョン)さんへの控訴をやめよ! □国・大阪府は郭貴勲さんへの控訴を取り下げよ! □厚生労働省は18日発表の新たな「援護策」=切り捨て 強化策を撤回し、在外被爆者に援護法を適用せよ! |
12月26日、郭貴勲さんと同じ趣旨で長崎地裁で行われてきた在外被爆者・被爆者援護法裁判において、原告・李康寧(イ・カンニョン)さんが勝訴判決を勝ち取りました。「援護法には国家補償的配慮があり、国籍を問わず援護対象としている」「在外被爆者だけが不利になる解釈はすべきでない。日本から出ても手帳は有効」。厚生労働省の在外被爆者排除を明快に批判し、李さんの健康管理手当受給権を認めて、国・長崎市に韓国帰国以後の健康管理手当の未払い分の支給を命じたのです。6月の郭貴勲さん勝訴に続く画期的勝利です。私たちは、大阪で郭さん、李在錫(イジェソク)さんの在外被爆者裁判を支援するものとして、また昨年夏の韓国旅行で李康寧さんと交流し、その思いに触れたものとして、李康寧さんや長崎の裁判支援の方々と共に、この勝利を喜びたく思います。
李康寧さんは、昨日・今日と上京し、政府・厚生労働省に控訴をやめるよう要請と座り込みの行動を行っておられます。私たちはこの闘いに連帯し、国・長崎市が控訴を取りやめるよう、強く求めます。合わせて大阪での郭貴勲さんへの控訴を取り下げるとともに、政府・厚生労働省が今月18日に表明した、新たな在外被爆者「援護策」=切り捨て強化策を撤回し、在外被爆者に被爆者援護法を適用するよう求めます。
在外被爆者の失望と怒りを呼んでいる新たな在外被爆者「援護策」=切り捨て強化策
李さんの今回の勝利は、12月18日に発表された厚生労働省の「在外被爆者の援護に関する当面の対応」を真っ向から否定し、根本的な見直しを迫るものです。この「援護策」は、「援護」どころか、新たな在外被爆者の切り捨て強化策としかいいようのないものです。
その内容の一点目は、「被爆者健康手帳等、在外被爆者の取り扱いに関して、法令上の規定の整備を行う(海外に居住する場合の届出規定の創設、被爆者健康手帳が国内でのみ有効であることの明記等)」。つまり、これまで通達で行ってきた、在外被爆者への援護法適用からの排除を、今度は省令に格上げして行おうというのです。郭貴勲さん判決において、援護法の根本趣旨に反し、憲法違反のおそれもある、と指摘されたことをさらに強化しようというのですから、驚きあきれてしまいます。
次に「概ね3年以内に、全ての在外被爆者が来日して、被爆者健康手帳の発行をうけることができるようにする、そのために来年度予算を5億円計上する」というものです。これも全く在外被爆者の実情を考慮しない官僚の作文です。多くの在外被爆者は80歳近くになっていて、日本に来るだけの体力がない被爆者の方も多く、渡日治療が受けられる在外被爆者は限られているのです。在外被爆者が求めていることは、被爆者はどこへ行っても被爆者であり、日本にいる被爆者と同じ援護を受けられる権利を持っている、ということであり、自分の生活している場所での援護です。"5億円出せば、3年で全ての在外被爆者が日本で渡日治療を受けられる"などという発想そのものがこの問題を真剣に考えていない証拠です。
「憤懣やるかたなくて夜も眠れない」。郭貴勲さんは今月21日の第二回控訴審後の第一声で怒りをぶちまけました。韓国、アメリカ、ブラジルの在外被爆者団体が、一斉に「期待していたが、まただまされた」と失望と怒りの声をあげています。郭貴勲さん勝訴をうけて以降の、坂口厚相の前向きな態度に、今度こそは、と期待を寄せていた在外被爆者にとって、今回の「援護策」は自分たちをだまし、蔑視し、差別するものでしかないのです。
郭貴勲さんに続く、李康寧さんの勝訴で、厚生労働省が行ってきた在外被爆者の援護法からの排除・切り捨ての違法性、違憲性はさらに明白となりました。この誤った法運用をさらに強化する「援護策」は撤回すべきです。そして、判決に従って、在外被爆者への被爆者援護法を適用すべきです。
もはや裁判で勝ち続けるしかない!来年も郭貴勲さん控訴審、李在錫さんの裁判支援を!
全くひどい「援護策」が出た直後の、26日の李康寧さんの勝訴は、失望・落胆した在外被爆者、支援者に再び勇気を与えてくれる貴重な勝利です。厚生労働省には全く期待できないことは今回の「援護策」でまたまた明らかになりました。裁判で勝ち続けることで、抜本的な政策変更を迫るしか道はありません。私たちが大阪で支援している郭貴勲さんの控訴審、李在錫さんの一審も絶対に負けられません。裁判支援の重要性がさらに増してきました。
12月21日の郭貴勲さん控訴審第二回公判は、大法廷を郭貴勲さんの支援者が埋め尽くしました。18日の厚相の発表という要因も加わって、次回も公判を行うこととなり、今回で結審という最悪の事態は避けることが出来ました。裁判長は、原告弁護団が申請した証人の申請については留保、証拠調べを行わずに次回結審を狙っているようです。が、この度の李康寧さんの勝訴という要因がさらに加わることで、容易には結審がしにくくなったと私たちは考えます。次回も12月同様、大量の傍聴参加で結審を阻止し、審理を徹底させ、控訴審勝訴を勝ち取らねばなりません。次回の郭貴勲さん控訴審の傍聴に参加しましょう。
また2月14日には李在錫さんの第二回目の公判も行われます。こちらも郭貴勲さん、李康寧さんに続いて地裁での勝訴を積み重ねるために、傍聴・支援を呼びかけます。
みなさん、来年も厚生労働省の在外被爆者切り捨て強化に反対し、在外被爆者の被爆者援護法適用のために、さらなる裁判への支援・協力をよろしくお願いします。(2001年12月28日)
【大阪での在外被爆者・被爆者援護法裁判の次回予定】
郭貴勲さん控訴審 第三回公判 2月5日(火)午後4時 202号大法廷
李在錫さん 第二回公判 2月14日(木)午後4時30分 806号法廷
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