教育基本法の改悪を止めよう! 11・12全国集会参加報告 |
8000人を結集させた全国の運動の力で、
強行採決阻止から廃案へ! |
11月12日の「教育基本法の改悪を止めよう!11・12全国集会」には、全国から8000人を超える人々が結集し、集会とデモを繰り広げました。そして翌11月13日には、100名の国会議員要請団が衆参の国会議員一人一人を回り、教基法改悪をやめるよう要請しました。国会前ではリレーハンストが継続し、闘いは一層勢いを増しています。同日の昼には、要請団とリレーハンストの連帯集会が開催されました。
タウンミィーティングでのやらせ問題に関する事実が次々に発覚しています。福島知事選では与党が破れ、さらに安倍政権の支持率が急速に下落しています。安倍政権の右翼的反動的強行的な姿勢に対する世論の急速な離反が始まっているのです。
※内閣支持率下落53%、無党派と若者離反 本社世論調査(朝日新聞)
http://www.asahi.com/politics/update/1114/001.html
そして何よりも、子どもたちがいじめを苦にして次々と自ら命を絶つという事態が続いています。すべての責任を教基法に押しつけ、改悪法案を強行採決するなどもってのほかです。議論を振り出しに戻し、「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成」という教基法の基本精神をどう生かしていくのか、教育を巡る諸問題を具体的に丁寧に議論し検討していくことが緊急に必要です。
与党は15日の強行採決も辞さずの姿勢を示していますが、野党は採決を拒否し徹底抗戦の構えです。14日にも国会前集会、15日〜17日は、全国連絡会の第二弾座り込みが予定されています。これらの対国会直接行動を支える全国各地での運動を強めましょう。今一度、与党への抗議と野党への激励の声を集中しましょう。
2006年11月14日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
2:30時点で7000人が全国から結集し会場を埋め尽くす。
8000人を超える熱気であふれる会場
11月12日(日)、教育基本法改悪の国会審議が最大のヤマ場にさしかかる中、「教育基本法の改悪を止めよう! 11・12全国集会」が、日比谷公園大音楽堂で開催されました。私たち署名事務局も大阪から30名の代表を派遣し、闘いに合流しました。
1時半の開会を前に会場はすでに満席に近い状態で、後方には立ち見の人も大勢いました。周辺では右翼の街宣車約10台が「帰れ!」という怒号を撒き散らし、いやがおうにも緊張感が高まります。
集会の参加者は午後2時半の段階で7000人と報告され、最終的には8000人に膨れ上がりました。3年前に立ち上がった「教育基本法改悪を止めよう!全国連絡会」のねばり強い闘いの集大成であり、同会によってこれまで開催されたどの集会の規模をも大きく上回るものでした。この背後には全国各地での運動があります。司会者からは、教基法改悪法案の採択をじりじりと引き延ばし、ついに今週採択を阻止できれば、成立を断念させ廃案へと追い込んでいくことができるというぎりぎりのところまで運動が前進したことが力強く語られました。
集会は、全国連絡会の呼びかけ人の4人が、新自由主義と格差拡大、国家主義と愛国心の押しつけ、いじめ問題と教員攻撃などそれぞれ教育基本法の改悪の危険性を語り、それと闘っている各地の市民や団体がアピールするという形で進みました。
格差社会に抗議し闘う若者達の声
4人の呼びかけ人のうち、最初に登場したのは大内裕和さんです。教基法改悪が子どもや教育の商品化につながり、労働の序列化と密接に関わることを力説しました。不安定雇用に悩む今の若者に必要なのは、「カウンセリングや奉仕活動ではなく、労働組合である」との訴えに会場からは盛大な歓声と拍手が送られました。そして「ここに来ていない人々のことをどれだけ想像できるかがこの運動の思想性を表している」と締めくくりました。
大内さんの発言には、非正規雇用者の組合を立ち上げた若者や「うちらの声を国会にとどけよう!」と活動している高校生など若い人たちの発言が続きました。特にニートやフリーターとして働かざるを得ない若者たちが過酷な労働を強いられ真っ先に解雇の対象となるなど劣悪な労働条件と闘っている様子は、参加者の大きな共感をよびました。また、この集会を準備してきたスタッフ「あんころチーム」の元気な発言もありました。
集会のはじめは、高校生や非正規雇用組合を組織している若者など、若い人たちの発言が続きました。写真は「あんころチーム」。 |
愛国心おしつけ、日の丸・君が代強制に反対する闘いと勝利
高橋哲哉さんは、「靖国参拝は首相の責務」と言い切った安倍首相の右翼的体質のもとで愛国心が押し付けられることに大いに警鐘を鳴らし、教基法にあいまいな「国」の概念を持ち込むことこそが、人々の感情を国家主義に動員することになるとして、そのからくりを暴きました。
高橋さんの発言には、東京地裁で日の丸・君が代強制違憲訴訟の全面勝訴を勝ち取った予防訴訟団、「日の丸・君が代」処分取り消しの人事委員会採決を勝ち取った北海道教組の報告が続きました。北海道教組は実に200名の代表を派遣していました。
福島瑞穂社民党党首と石井郁子共産党議員のあいさつもありました。福島党首は、「ヤラセをさせるモラルの欠如、倫理感の欠如の文科省は、どのツラさげて教育基本法を言えるのか」「顔を洗って出直せ」と力強くアピールしました。会場から爆笑と割れんばかりの拍手がありました。
東京地裁で勝利した予防訴訟弁護団からの報告、そして「規範意識」に欠けるのは文科省だと力強いアピール。 |
学校で人の命が次々と奪われていることの責任は文科省にある
三宅晶子さんは、子どもたちがいじめを苦に命を絶ち、まじめな校長が自殺するという異常事態が生じており、学校で人の命が次々と奪われていることの責任は文科省にあると激しく非難しました。そして現在問題になっているタウンミーティングの上意下達方式こそが、政府与党の目指す教育政策であると指摘しました。また、憲法で保証された労働者の団結権を否定する「日教組つぶし」を公言する政治家に激しい怒りをぶつけました。
子どもたちが命を懸けてまで訴えようとしたことは何なのか。教基法をないがしろにして学力偏重教育をし、教員が忙殺され子どもたちに手が回らないようにし、さらには日の丸・君が代を押しつけて精神的に追い込み、ストレスをため込んでいる学校が子どもたちにとって楽しく学べるところではなくなるのは当然です。それを教職員運動のせいにするなど言語道断です。三宅さんはこのように語りました。
今週一週間が勝負 15、16日の採決をなんとしても阻止しよう!
最後に小森陽一さんは、ここに来てマスコミが論調が変化し、「教基法の議論を一からやり直すべきだ」というような社説が出てきていることを紹介しました。小森さんも特に子どものいじめの責任は文科省にあると断罪し、いじめを数値目標で「評価」することが、かえって事態の隠蔽につながったことを批判しました。そして、われわれの運動の力で、特別委員会での論議を一日一日遅らせてきたと評価し、11月15日までに強行採決されてしまうことを阻止できれば勝利の展望が開けると力説し、参加者を大いに激励しました。
集会呼びかけ人たちが壇上にそろい、集会アピールを読み上げる。勝利に向けて、運動を広げることを確認した。
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多彩なパフォーマンスと各地からの発言 にぎやかなデモパレード
舞台では発言の合間に多彩なパフォーマンスが繰り広げられました。連日の国会前リレーハンストで歌われている“まちかど教育芸人はやし”による「教育基本法前文のうた」。「教育基本法しびれるー」と叫ぶ“杏”による詩の朗読。これらは、教育基本法や憲法を歌や詩にした絶妙なパフォーマンスでした。
また、全国各地の教職員組合、平和団体、弁護士、マスコミ労組等々の発言もありました。特に、タウンミーティングにおける「やらせ」問題は、集会参加者の怒りのひとつの集中点でした。「子どもたちにモラルや規範意識が欠けているから教基法を変えなければならないというが、規範意識が欠けているのは政府のほうではないか」という主張が何人もの人から繰り返され、そのたびごとに会場から大きな喝采が湧き起こりました。特に、公聴会が予定されている札幌、そしてタウンミーティングが予定されている大分からの闘争への決意表明に会場からは惜しみない拍手と激励の声が起こりました。
8000名の人々がデモ行進に出かけるのだから、会場を出るだけでもたっぷり時間がかかります。主催者によれば、最後尾の人は1時間ぐらいを覚悟しなければならないようでした。署名事務局は、東京の平和グループ「ピースニュース」と共に50名近くのデモ隊列を作り、日比谷公園から銀座、有楽町、八重洲口を通って東京駅まで、プラカードを掲げ、「教育基本法改悪反対」「教育の機会均等を破壊するな」「教育格差を許さない」「愛を法律で決めるな」などのシュプレヒコールをしながら約1時間余りを行進しました。
4人の呼びかけ人を先頭にデモ行進
署名事務局からも多数参加。東京の「ピースニュース」の人たちと一緒に行進しました。
「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」のブログにも全国集会の報告があります。
http://www.kyokiren.net/_action/1112report
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