カリフォルニア州オークランドで−−−−−−−−−−−−−−
戦争特需に群がる「戦争ビジネス」に抗議
平和デモに暴力で鎮圧。警察が木製弾で銃撃。


(AP Photo/Paul Sakuma)


(REUTERS/Tim Wimborne)


beanbag弾 (sf.indymedia.org より)

木製弾 (sf.indymedia.org より)
■戦争ビジネス、「死の商人」に対する抗議行動
 4月7日朝、カリフォルニア州オークランドの港湾地区で、警察が平和的デモンストレーションに対し、木製弾をはじめとする多くの「非致死(non-lethal)」の武器で発砲し、少なくとも20人以上が負傷し病院へ運ばれました。うち9人が港湾労働者であったといいます。

 いくつもの反戦抗議行動の部隊がデモンストレーションを行なっていましたが、その中で最大の部隊の数百人は、オークランド港にある2つの港湾荷役運送会社への通路でピケットを張りました。
 これらの会社は、対イラク戦争で大儲けをしている会社で、アメリカン・プレジデンシャル・ラインズ(APL)とスティーヴィング・サーヴィス・オブ・アメリカ(SSA)です。前者は、ネプチューン・オリエント・ラインの子会社で、軍事物資の運搬を行なっている会社です。後者は、この3月末に、イラクのウム・カスル港の管理と緊急物資輸送で米国政府と480万ドルの契約を結びました。この儲かる契約の入札から外国企業を排除するという不正も行なわれたと指摘されていました。

 この日の朝には他にも、コンコルド海軍武器庫へのデモ、サンフランシスコに通じる州間道路280号のランプ出口の一時封鎖など、いくつもの部隊が反戦抗議行動を展開しました。これらの抗議行動は、非暴力不服従の形で行なわれましたが、警察は多数を逮捕し、弾圧を強めています。特に、戦争の背後にある最も触れられたくない汚い側面(=経済的利権と汚職)、それをついた港湾地区の抗議行動では、警察は銃器まで使って抗議者を追い散らそうとしたのです。

■港湾労働者と反戦運動が結合
 オークランドは、サンフランシスコ湾の東岸に位置するアメリカ西海岸有数の港湾都市で、アフガン戦争に際して唯一反対票を投じたバーバラ・リー議員の地元でもあります。数か月前から、反戦デモ、抗議行動が断続的に続けられ、日常化していました。それに対して、警察は、3月20日の対イラク戦争開戦のときから弾圧姿勢をいっそう強めはじめていました。戦争開始から2日間で、サンフランシスコ警察によるデモの逮捕者は 1,300人以上にのぼりました。
 このオークランドでは、港湾労働者も対イラク戦争に反対しています。国際港湾労働者ユニオンILWU(the International Longshore and Warehouse Union)の現地支部は 、独自の反戦行動委員会を組織して対イラク戦争に反対しています。

 2日前の3月5日には、15,000〜20,000人の反戦集会が行なわれ、バーバラ・リー議員と歌手で活動家のハリー・ベラフォンテ氏がアピールし、金を戦争ではなく社会的必要に回すべきこと、アメリカを人民の手に取り戻すべきときであること、などが熱っぽく語られました。「イラク戦争は、政府の金と資源を、オークランド及び他のアメリカ諸都市での重要な社会的諸問題からそらしている」というのが、この集会とデモの共通テーマでした。反戦運動は、金の流れと経済的社会的諸問題とに焦点を当てるようになってきています。オークランドでの反戦抗議行動の主催者は、戦争で最も悪影響を受ける低所得者層とマイノリティが反戦運動に広範に参加するようにと考えているといいます。

■警察の弾圧が守ろうとした「戦争特需」
 この日の発砲について、警察は、「抗議者たちの中にアジテーターがいた。」と説明しましたが、そのような事実は全く確認されていないだけでなく、複数の参加者から、警察が発砲しなければならないような状況は全くなかったことが語られています。たとえば、「私は、朝5時からずっとそこにいました。私が見た唯一の暴力は、警察の暴力だけです。今日起こったことにとても驚いています。警察は、およそいかなる抗議もあってはならないという想定のもとに行動していたようでした。」と証言したのは、ナンシー・ネイデル副市長の有権者連絡係をしているジョウエル・ティーナさんです。
 また、警官が銃を発射しているところの写真でも明らかですが、整然とした隊列で、冷静に抗議者たちを狙い撃ちしたといいます。暴力的な行為を何一つ行なっていない抗議者たちに、少なくとも15分以上にわたって撃ち続けたのです。

 オークランドでの反戦運動は、平和を求める広範な市民の反戦運動と港湾労働者たちの反戦運動とが結びついて、戦争に直接加担している企業にも矛先を向けたものに発展しています。今回の警察の暴力的対応は、軍・政府・警察がいったい誰の利益を守っているのかということを如実に示しています。

参考記事:
○「オークランド港の抗議で警察の暴力が活動家に衝撃を与えている」(コモンドリームズ)
http://www.commondreams.org/headlines03/0407-07.htm
○「木製弾と投擲弾/オークランド警察が港湾労働者と平和抗議者を攻撃」(カウンターパンチ)
http://www.counterpunch.org/chretien04072003.html
○「数千人が反戦集会でオークランドに集う」(コモンドリームズ)
http://www.commondreams.org/headlines03/0406-06.htm


2003年4月9日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局