戦争ができる国をめざす 「つくる会」教科書NO!メールニュース 第3号

転載歓迎です。

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 戦争ができる国をめざす 「つくる会」教科書NO!メールニュース
                     ◆第3号 発行2007年2月12日◆  
      発行:「つくる会」教科書裁判支援ネットワーク事務局      
                 E-mail:iga@mue.biglobe.ne.jp(伊賀)   

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▼目次 
【1】官製談合の視点から訴える〜杉並区教科書採択取り消し裁判
【2】とちぎ教科書裁判 原告の声
【3】・・・東京都の教員増田都子さん「講演会」の報告・・・ 愛媛から

▼内容
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【1】官製談合の視点から訴える〜杉並区教科書採択取り消し裁判
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扶桑社版教科書採択における手続きの違法性を問う裁判

 2006年12月20日、杉並区扶桑社版教科書採択に関する違法な公金支出の無
効を求める裁判の第1回口頭弁論が、東京地裁606法廷で開かれました。この裁判
に先立って、杉並区住民は同じく教科書問題で安倍晋三氏を提訴していますが、今回
の裁判は被告を杉並区長とし、採択において使われた公金の違法支出で訴えていま
す。問題の教科書は2005年8月に採択、2006年度から杉並区の中学生に配布
されすでに使われているもの。裁判は、教科書のイデオロギーを問うものではなく、
採択手続きにおいて違法性がなかったかどうかを問うものでした。筆者は、杉並区住
民として大きな関心をもって傍聴しましたが、裁判は、手続きの違法性に気づかせる
ばかりでなく、裁判所というものが決して私たち庶民と遠いものではなく、市民意見
を汲み上げる身近な場所であること、市民が主権者としてふるまうことの重要性に気
づかせるものでした。

主権者は誰かを思い出させてくれる自己紹介からの開廷

 裁判は11:30開廷、原告代表5名、被告代理弁護人3名、裁判長を含めた裁判
官3名、書記官1名によって、約40分間行われました。裁判は最初から興味深い成
り行きでした。裁判長が開廷を告げるか告げ終わらないうちに、原告代表が挙手しな
がら「すみません、始める前にお願いしたいことが…」と言い始め、「今日は、裁判
の第一回ということでお互い初めて顔を合わせました。これも何かの縁ですし、長い
おつきあいをするのですから自己紹介をお願いしたいと思います。私から自己紹介し
ます。私は原告の○○です」と発言。続いてほかの原告が次々に名乗り、原告側が裁
判官らに自己紹介をお願いしました。

 「名前は入口の札にかかっている通りですが…」と言う裁判長に、原告代表が「お
名前とお顔が一致しないので、お名前だけで結構ですから」と再度頼むと、裁判長
は、あまりこういうことはしませんがと断りながらも「私は大門です」と名乗り、両
側の裁判官及び書記官も名乗りました(吉田さん・小島さん・田野さん)。裁判長は
続けて「せっかくですから、被告側もどうぞ」と促すと、被告側の弁護人も名乗りま
した。

 原告代表は謝意を述べた後、「私たちは同じ対等な人間として裁判を行ってほしい
ので、裁判長と呼ばずに“さん”付けで呼ばせて頂きます」と述べました。裁判長は
慣例ではないとしながらも、不快を示すことはなく要望を受け入れ、同時に「限られ
た時間なので必要なことのみでご理解いただきたい」との念押しがありました。

原告は何を求めているのか

 次に、原告によって請求の趣旨と原因が読み上げられました。これも従来ならば、
書面通りかどうかを確認するだけで終わるところを、原告は要点を述べさせてほしい
と要望、「時間がないので省略を」と言う裁判長との短いやりとりを経て原告が述べ
ました。おかげで、傍聴する私たちにも何が問題になっているのかがよく理解できま
した。

 原告の請求趣旨は、杉並区長は教科書採択において違法に支出した公金約180万
円を区に返還せよというもので、その理由として、すでに違法な公金支出として訴え
た杉並区監査委員会の回答への不服、採択における手続きと規則の恣意的濫用、教科
書調査報告書の書き換えによる公文書偽造の疑い、2回開催された教育委員会の恣意
的延期、教育委員会開催時の過剰警備などによる違法性を挙げました。さらに「教科
書採択は国と一体となった入札行為である」とし、これらの規則濫用や公文書偽造等
の違法行為は特定の教科書を選ぶよう誘導する「官製談合であった」と主張しまし
た。

口頭弁論主義による分かりやすい裁判

 次に原告は、裁判の録音と口頭弁論主義の徹底を求め、ここでも裁判長との興味深
い問答がありました。まず、当裁判が録音や速記による記録がされていないことが確
認され、書記官が必要と判断した点しか記録が残されないことに対する原告の懸念が
示されましたが、「録音の規定はない」として退けられました。

 また口頭弁論主義についてですが、口頭弁論主義とは、文字通り口で述べることを
基本とする裁判の原則で、日本の訴訟制度は、口頭弁論主義を採用しています。しか
し、実際は裁判の効率化のため書面主義に頼るところが多く、ほとんどの裁判では
「書面通りですか」「はい」での進行が現実となっており、第三者に裁判を分かりに
くいものにさせている原因の一つと言われています。

 原告は口頭弁論主義を求めることで分かりやすい開かれた裁判を要望したというこ
とで、これに対し、裁判長は、裁判所では毎日多くの裁判が開かれていること、その
一つ一つが大事な事件であること、限られた時間で審理を行うためには書面による意
見交換が不可欠であることなどをあげ、「ご理解いただきたい」と述べ、「裁判所は
本来こうしたことを説明する必要はないのですが、原告は弁護士を立てない本人訴訟
であるため、できるだけ説明しています」とも付け加えました。原告側は裁判の迅速
な進行に異議はないとしながらも、裁判の一つ一つが大事であるのなら、なおさら大
事なところは口頭で弁論していきたいと述べ、食い下がりを見せました。

扶桑社版教科書と教育委員について、原告・意見陳述

 この後、裁判長により、被告側が答弁書を陳述するかどうか、原告側に証拠説明の
書類提出を求めるなど、いくつかの確認が行われ、最後に原告2名による意見陳述が
行われました。

 最初の原告代表は、この訴訟を起こす動機となった教科書について言及、全国での
採択率0.39%、即ち583の採択地域の中で2ヶ所(杉並区と栃木県大田原市)
しか採択されなかった扶桑社版歴史教科書の特殊性を指摘、その特殊な教科書をあえ
て採択できた杉並区の採択への疑問を示しました。

 原告はその教科書がどのようなものであるかを知らなければ採択の問題も見えてこ
ないとし、扶桑社版教科書を手に内容の紹介をしました。扶桑社版教科書は神話の記
述が多く、『歴史の名場面・日本海海戦』など戦争を美化した読み物が多いこと、同
教科書の副教材である同社ドリルでは「天皇の直系は誰であるか」の問いに「天照大
神」と回答させたり、アジア太平洋戦争については「インドネシアでは日本軍をどの
ような軍ととらえたか」の問いに「解放軍」と回答させるなど、恣意的に歴史を子供
に解釈させていると指摘、「このような答えを書かせられる子供たちは、日本が東ア
ジアで3,000万人以上の人々を殺戮した事実を知ることはないでしょう」との懸
念を示しました。

 続いて同原告は、この教科書を選んだ教育委員のプロフィールを紹介しました。杉
並区教育委員は5名、そのうち1名が「日本は他国に危害を加えたことはない」と発
言したこと、別の1名は「原爆の記述が薄くなっているが、皆すでに知っていること
だ」と発言したこと、教育長は元区長室長であり、歴史審議が紛糾した時に「率直に
言ってどうでもいい。私の中で消化できない」と発言したことなどを紹介し、これら
の教育委員を選んだ、被告である区長については次回の公判で明らかにするとしまし
た。

原告、杉並区の教科書採択は官製談合との見解を示す

 2人目の原告は、杉並区の教科書採択は官製談合であるとの見解を述べました。
「この提訴の本質と背景にあるものは、杉並区長並びに教育委員会を始めとする行政
のモラル低下である」とし、「民間企業各社がCSR(企業の社会的責任)やコンプ
ライアンス(法令遵守)を経営課題として取り組んでいる現在にあって、地方自治体
のモラルを失った実態に目を向けてほしい」と要望、杉並区の採択は、扶桑社という
一企業を選ぶための教科書採択の形を取った「官製談合」であると主張しました。

 同原告は、杉並区の教科書採択は、「検定、教科書、教育委員会という制度の特殊
性によってカモフラージュされた談合」であり、自然に選ばれていれば起こりえない
不合理があり、談合だったからこそ「住民監査請求の監査結果も本質を避けた回答に
なっている」と述べました。さらに官製談合防止法の入札における官の関与行為を禁
じる法律にふれ、「建設工事受注や物品購入で許されないことが、なぜ教科書購入に
許されるのか」と問いかけました。また「パソコン購入などで5社から1社を選ぶ場
合、一番評価の低い製品が選ばれるということはあり得ない。にも関わらず扶桑社の
教科書ではあり得るのはなぜか。なぜなら官製談合という恣意的な力が働いたからで
ある」と述べました。

地方自治体のモラルを司法の場で問う

 同原告は「官製談合はあるかもしれないではなく、チェック機能のない所では必ず
発生しうることが常識になりつつある」とし、「司法の場は、この地方自治行政のモ
ラルの無さを認識したうえで本件の本質に踏み込まれるよう」訴え、この提訴は「司
法の権威にかかわる審理である」ことを強調しました。

 これら2名の原告による意見陳述は裁判長により「要点をまとめ、それぞれ5分程
度で」と要望されていましたが、原告は結局ほとんど全文を読み上げたため、1名あ
たり8分程度を要しました。陳述が終わると裁判長より「やむを得ないということに
しますが、ルール違反を問題にしているということですし、ルールを守っていただき
たい」との注意がありました。また裁判長は「背景事情や原告の思いはよく分かりま
したので、訴状にある違法性5項目について証拠をあげるなど充分に意識して準備し
てください」と申し渡し、次回の公判日程(2007年3月9日)を決めた後、閉廷
しました。この日、被告側弁護人の方は、名乗った時と裁判長から確認を求められた
時に「はい」と答えたほかは、発言や陳述は何もありませんでした。

【筆者の感想】

 第一の感想は、裁判とはこんなにも面白いものだったのかというものです。この裁
判は、原告側が弁護士を立てない本人訴訟ですが、素人集団と裁判所とのやり取り
(時に押し問答?)が実に人間的で興味深く、また公金違法支出などと難しそうな裁
判を理解しやすいものにしています。

 原告らが裁判官らを「○○さん」と呼ぶのは、裁判官におもねることなく対等な人
間であろうとしている姿勢を示すためと思われ、裁判所というと権威の高いものに思
いがちな私たちに、今さらながら主権は誰にあるのか、司法は誰のものか、という原
点を思い出させてくれるものでした。また、教科書問題というテーマを、手続きにお
ける違法性という切り口で訴え、官製談合ではないかとの視点を持ち込んでいること
も興味深い点です。

 オール与党の議会政治において否決される案件が非常に少なくなったという記事を
朝日新聞で読みましたが、地方自治体の議会で憲法や規則による歯止めがほとんどか
からなくなっているいま、市民がこうした裁判を起こすことが、司法の力を取り戻す
原動力になるのではないかと思いました。被告側答弁など今後の展開が楽しみでもあ
り、市民裁判の意義を考えさせる裁判でした。
              (しみずえいこ) JANJANより転載

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■【次回公判】
   2007年3月9日(金)10:30〜
   東京地裁(霞ヶ関A1出口すぐ)6階 606法廷

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【2】とちぎ教科書裁判 原告の声
    「希望の光を灯されて−いざ教科書裁判へ」
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大田原市教育委員会が、扶桑社版「歴史」「公民」教科書を採択して以降、私は改め
て歴史認識の問題や、日本の教育行政、司法のあり方など多くの示唆や教えを与えら
れ、自分自身にとっても大きな転機を迎えるようなそんな日々を過ごしてきました。
県内外を通じた新しい仲間の皆さんとの出会いは、さらに豊かな活力ある運動の内実
を見せて頂くことにもつながり、大きな大きな勉強となりました。栃木での裁判の提
訴を準備する契機を与えてくれた愛媛の皆さん、杉並の皆さん、そして教科書裁判の
支援をお引き受け下さった大阪の皆さん、その他大勢の皆さんに対し、この場をお借
りして心から感謝申し上げます。栃木での教科書裁判がみんなで築きあげていく運動
の中で、しっかりと歩み続けていけるよう、力を尽くしたいと思いますので、これか
らもよろしくお願い申し上げます。
 ところで、教科書問題が地元の運動課題として目の前におかれて以降、わずか1年
ちょっとの間ですが、日本という国のあり方はみるみる変わっていきました。安倍新
首相は堂々と改憲を公約にかかげ、扶桑社版教科書採択においても彼こそまさしく確
信犯に他なりません。
 戦後60年余を迎え、なぜここまで日本社会がボロボロになってしまったのか、そ
の本源的な理由を私は、扶桑社版教科書を読む中から与えられました。最大の理由は
「天皇制」です。扶桑社の教科書は「歴史」「公民」双方とも、天皇への敬意をにわ
かにかき立てる仕立てになっており、うまく国家主義へと子どもたちをいざなってい
きます。戦後、新憲法が制定されても、第1章に「天皇」が居座り、「象徴天皇制」
という名の封建社会が日本を支配してきました。したがって「人権」を根付かせる社
会風土はいっこうに実りません。天皇を敬う社会を残したために、日本人の心の中か
ら「人権感覚」はへし折られ、それは「温情」に置き換えられたに過ぎません。だか
らこそ、「国のため」(国に借金があるから)我慢をするのは当たり前とばかりに、
弱者切り捨ての格差社会が、平然と現実のものとなっています。天皇制が残されてき
たということは、戦前の国家主義社会を再びよみがえらせるための布石であったとい
うことを、今頃になって私はようやく明確に受けとめ始めているところです。布石は
現在順調に成果をあげ、未来を築く子どもたちの心の中をコントロールする手段とし
て再び、戦前と同じように教科書の中で暴れ始めているのです。
これを何とかしなければ・・・!課題の持つ重要性は大変大きなものとして私に迫っ
ていました。しかし、その思いは強まるばかりでしたが、どうしたらいいのか、私は
決め手を欠いていました。通り一辺倒のことを続けているだけでこれを覆すことが出
来るのだろうか・・・。
そんな思いの時出会ったのが、「教科書裁判」です。
「悪い判例が出ると運動の妨げになるから」という意見を私自身が別の運動課題の際
に抱いたこともあります。しかし、だからといって裁判をしないとすれば、それは自
ら「檻のない牢獄国家」にとぼとぼと入り込んでいく敗北をもたらすことに他ならな
いということを、今回の教科書裁判の準備作業を通じて私は嫌やというほど学びまし
た。
愛媛の教科書裁判を支えてこられた生田暉雄弁護士の手法や理念に学ぶことははかり
しれないほど大きいでしょう。司法の訴訟指揮に対する徹底した追及と、あくまでも
市民主体の立場で裁判に加わろうとする姿に私は大きな希望の光すら見い出している
のです。
1人の1人の市民が尊重されるということがどういうことなのか、実践を通じて表現
している愛媛の裁判に学び、これに続くことを私は選択しました。裁判官との垣根を
粉砕し、三権分立を市民のものにすることを通じてしか、この裁判は勝利出来ませ
ん。
多くの皆さんとともに「とちぎ教科書裁判」の闘いを築いていけますことを切に願っ
ています。ともに頑張りましょう!

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■生田弁護士の講演会
  日時 3月21日(水・祝)午後2時〜
   場所 宇都宮大学 1121教室
   内容 @教科書裁判の報告
      A生田弁護士への不当懲戒処分問題
      B教育基本法を違法とする裁判の説明、等。
   費用 無料(会場でカンパを要請)

■とちぎ教科書裁判 第1回口頭弁論
日時 3月22日(木)午前11時
場所  宇都宮地方裁判所 302号法廷

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【3】・・・東京都の教員増田都子さん「講演会」の報告・・・ 
               えひめ教科書裁判を支える会 
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増田さんの実践から学ぶ!

私たち、「えひめ教科書裁判を支える会」は、去る1月27日、松山市の男女共同参画
推進センター「コムズ」で、東京都の中学校社会科教員の増田都子さんをお招きし
て、「なぜ、私は免職処分になったのか?」という演題で講演会を開きました。

講演会では、増田さんが、憲法や、教育基本法(改正前)の精神を、どのようにし
て、忠実に、教育の現場で実現しようと努力して来られたのかを聞くことができまし
た。その、子どもたちに接する姿勢や授業内容は、学校現場で子どもたちに支持さ
れ、信頼されていた様子を知ることが出来ました。特に、「紙上討論」という学習は
子どもたちにも好評で、学習意欲を増進し、考える力を高めるなど、増田さんの、活
き活きとした実践の話を聞くことができました。

ところが、心ない保護者の起こした出来事に巻き込まれ、それを待っていたかのよう
に、その平和教育こそ我慢ならないし、放置する事はできないと考える「つくる会」
や、同調する右翼団体、そして、同じ思想を持つ反動的な都議会議員等による誹謗・
中傷などの集中攻撃を受けることとなり、そして、それらの圧力に後押しされて勢い
づいた都教委による現場外しの「研修センター」入所などの処分攻撃を何度も受け、
厳しい状況下にありながらも、平和教育を実践してこられたことについて、気っ風の
いい語り口でお話をされました。

反動的な都議会議員等による、悪質な攻撃に対しては、最高裁に於いて慰謝料支払の
判決によって断罪され、被告の都議等もそれに応じていますが、深く反省して攻撃を
止めるのではなく、さらに激しく攻撃し続けているといいます。

ご存じのように、昨今、石原都政下においては、「国歌斉唱」問題でも顕著なよう
に、改悪教育基本法や憲法改悪の先取り、と言うよりも、教育反動の急先鋒として突
出した攻撃が繰り広げられている状況下にあります。増田さんは、その東京都におい
て、子どもたちに真実を教え、自分たちで考える強い子どもたちが育つようにとの強
い思いを持ち続け、平和への強い思いを基に、教育実践を続けてこられたのです。し
かし、2006年3月中旬に他校への転勤「内示」を受けた僅か2週間後、都教委から突
然「分限免職処分」の通知を受けました。強い圧力が在ったことを伺わせますが、都
教委は何ら正当な理由の説明も出来ず、明らかに出来ないままです。増田さんは、昨
年9月に「免職処分の撤回」等を求めて提訴され現在係争中です。(その他にも、名
誉毀損や損害賠償損請求等、幾つかの裁判を余儀なくされ争っておられます。)

2001年の教科書採択の時、東京都立の養護学校と共に、他県に影響を与える目的を
持って、全国に先駆けて「つくる会」教科書を県立養護・ろう学校に違法採択した愛
媛では、超鷹派・極右思想の持ち主である元文部官僚の加戸守行知事の教育への強引
な「介入」と、県教委の教科書採択における「不正」「違法行為」などを追求して裁
判で闘っています。それだけに、お話が終わってからの、増田さんへの質問も次々と
出て、内容の濃い有意義な講演会となりました。

えひめ教科書裁判を支える会の「新たな取り組み」

 講演会では、いま、私たち「えひめ教科書裁判を支える会」が係争中である「違法
な教科書採択」に対する3件の裁判についての報告、また、教科書検定や採択を始め
とした「教育」全体に対する、権力側の「支配・介入」そのものを問い糾すことを目
的に、与党自民党および、当時自民党幹事長として違法行為の指揮を取った安倍晋三
等を被告とした「教基法違反の確認・損賠」訴訟についての現況および、これからの
取り組みについての報告がありました。

香川県弁護士会による、生田弁護士への「不当懲戒処分」について

 講演会では、私たち市民運動をボランティアで支援して下さっている香川県弁護士
会所属の生田暉雄弁護士に対しての、極めて不当な「懲戒処分」についても説明が在
りました。昨年10月、香川県弁護士会は、社会的な不正義を行っている者達により入
れ知恵され示唆されたとしか考えようのない「懲戒処分申立者」による申立理由が、
でたらめであり処分の根拠となりうる理由がないことから、懲戒委員会自らが懲戒理
由をデッチ上げて付け加え、その部分を根拠とした「業務停止3ヶ月」と言う不当
「懲戒処分」を通告してきました。常識では信じられないこの不当処分に対して、生
田弁護士は、直ちに、日弁連に対して「調査」と「審理」の要請をされましたが、私
たち「えひめ教科書裁判を支える会」も、松山市と高松市で記者会見を行い、不当性
を訴え、香川県弁護士会に対しては抗議声明を提出し、また、日弁連に対しても公正
・迅速な審理を行い、生田さんの名誉回復が図られるよう要請しました。

 日弁連は、緊急な措置として、異例ともいわれる『処分の効力を停止する必要があ
る』という決定を行いましたが、私たちは、生田弁護士の1日でも早い名誉回復と、
香川県弁護士会が過ちを繰り返すことのないように懲戒処分の不当性が厳正に断罪さ
れること、「処分の取消」を求め要請行動を行っています。

 生田弁護士ご本人からも、この「不当懲戒処分」関連していると思われる、社会的
な不正義を追求する事件や訴訟など、それに至るまでの背景と思われる事柄について
説明がなされました。

今日、社会全体、特に権力を持つ者達を中心に広範な分野で腐敗が進行している事は
衆目の事実です。しかし、振り返れば、そのことは、主権者たる国民全体がそれを許
して来たのであり、厳しく監視し、追及して闘ってこなかった、私たち自身の問題で
もあると言えます。

交流を深め、闘いの輪が拡がる懇親会と翌日の打合会

終了後は、講演会の余韻を引き継いで、増田さんを囲んだ懇親会を行い、自己紹介や
質問、そして裁判等の意見交換など活発な交流の場となりました。

翌28日は、前日の講演会でも少し報告があった、「改正教基法」そのものが「憲法違
反」・「教基法違反」であるとする「新たな裁判」について、法律が作られてしまえ
ばもう終わり、闘えない、といような状況から脱却し、権力側のやりたい放題を許さ
ない闘いとして、全国各地から新たな運動をつくり出すことを目的とする、「改正教
基法の憲法・教基法違反」訴訟の相談会が開かれ、メール等で配付されていた「訴状
案」を基に、活発な議論が交わされました。

この相談会には、生田さんや増田さんなど、前夜宿泊された杉並の方に加え、横浜科
書裁判を闘われた高嶋伸欣さんや、大阪、広島からの参加者が加わって活発な議論が
行われました。現在は、4地方での提訴が予定されています。

以上

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えひめ教科書裁判

■扶桑社版教科書出荷差止め
  第3回口頭弁論
  2月13日(火)11:00
  集合 10:30 松山地方裁判所 1F
  
 採択が公共入札における落札行為であること。
 扶桑社・「つくる会」が共同事業者であること等、
 原告らの主張の核心部分を追及します。

■非公開採択審議違法確認
  第5回口頭弁論
  2月15日(木)16:00
  集合 15:30 松山地方裁判所 1F
  
県教委が採択審議を非公開とした理由の矛盾を追及します。

いずれの裁判も結審となる可能性があります。
裁判終了後報告会を行います。
  
傍聴は、公正な裁判を行わせる<ちから>です!
 ぜひ、傍聴にきてください! 

えひめ教科書裁判を支える会

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▼3裁判へのカンパのお願い
○とちぎ教科書裁判を支援する会
  郵便口座:00130−6−611733 「とちぎ教科書裁判を支援する会」
○杉並の不当な教科書採択取り消し裁判の会
  郵便口座:00190−4−372466 「杉並の不当な教科書採択取り消
し裁判の会」
○愛媛の教科書裁判を支える会
  郵便口座:01610−4−31943 「教科書裁判を支える会」

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